闇の中の光
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#627 [ゆーちん]
嘘はだめだから、ちゃんと言い直せと叱られたから、言い直した。


「世界一大好きな人。」


泣いてる私を抱きしめた哲夫の笑顔は、幼稚園児みたいだったよ。


笑顔がキラキラしてた。

⏰:09/01/23 22:58 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#628 [ゆーちん]
私の心は闇だった。


だけど哲夫っていう、手をかざしたくなるような光が照らしてくれた。


「哲夫は光だ…。」

「光?俺、改名したっけ?」

「違う、そうじゃない。」

「じゃあ何。」

⏰:09/01/23 22:59 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#629 [ゆーちん]
「ずっと闇の中でウロウロしてた私に、哲夫が光を与えてくれた。そういう意味の光。その光のおかげで、私…こんな幸せな気分になってる。」

「じゃあ言わせてもらうけど。」

「何?」

「闇がなきゃ光は輝かねぇんだぞ?知ってた?つまりシホがいなきゃ俺は生きてけねぇっつう事だな。」

⏰:09/01/23 23:00 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#630 [ゆーちん]
何が、つまりだよ。


全然つじつま合わないし。


やっぱりちょっとバカなんだ。


そんな人間らしい哲夫の温もりに、涙が止まらなかった。


マスカラを塗る前でよかった。


塗ってたら、黒い涙だって哲夫にバカにされそうだからね。

⏰:09/01/23 23:00 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#631 [ゆーちん]
『これ以上抱きしめていると、歯止めが効かないから。』と笑いながら、私から離れた哲夫。


もっと哲夫の傍に居たかったんだけど…私も化粧の途中だし。


涙を拭いてからマスカラやアイライン、そしてアイシャドーを目に施す。

⏰:09/01/23 23:01 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#632 [ゆーちん]
このメイクは、哲夫に教えてもらった【シホのメイク】だ。


明日、萌子に戻ったら…またあの派手な化粧をしなきゃなんないのかな。


…って、別にそこまで完璧にシホと萌子を切り替えなくてもいいのか。

⏰:09/01/23 23:04 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#633 [ゆーちん]
目の前に迫る運命が近付くと、急に慌ててしまう私は、ただの臆病者だった。


焦っちゃって、恐くなっちゃって…また痛い思いをするのかなと思うと、何もかも投げやりたくなる。

⏰:09/01/23 23:04 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#634 [ゆーちん]
でも違う。


それは間違ってる。


いくら苦しくても、いくら辛くても、いくら恐くても、いくら痛くても…もう逃げちゃいけないんだよ。


【死】に逃げるのは、試合放棄してるって事。


私はまだまだ戦えるんだ。


戦うべきなんだ。

⏰:09/01/23 23:05 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#635 [ゆーちん]
まだ戦ってもいないのに、私は常に【敗退】の覚悟をしたまま、殴られたり蹴られたり…。


それで人生全てを嫌になる。


人間としての楽しさや希望や、光。


そんな素敵なもの全部を自ら手放そうとしていたんだ。

⏰:09/01/23 23:05 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


#636 [ゆーちん]
そんな萌子の人生を、哲夫が変えてくれた。


色んな感情を教えてくれて、色んな希望を持たせてくれた人。


【命の恩人】だなんて言葉は一生関係のない言葉だと思っていたけど、今、ここにいる哲夫がそうだ。


そんな言葉が頭に浮かぶ自分にも、その言葉の対象である哲夫にも、【ありがとう】を与えたい。

⏰:09/01/23 23:06 📱:SH901iC 🆔:OVGZkR5U


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