闇の中の光
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#657 [ゆーちん]
他愛もない事だけど、私には心が奮い立つぐらい幸せな言葉なんだ。
インスタントの紅茶にお湯を入れただけなのに、美味しいって。
社交辞令かもしれないけど、嬉しい。
:09/01/24 18:31 :SH901iC :JFMqBZYE
#658 [ゆーちん]
こんな気持ちをどうやって伝えればいいのかわかんないけど、私なりの言葉で説明しよう。
大丈夫。
シホとしてのタイムリミットは、まだある。
萌子に戻る前に、シホとして、萌子の話をしておきたい。
:09/01/24 18:32 :SH901iC :JFMqBZYE
#659 [ゆーちん]
「今から話す事、上手く伝わらないかもしんない。けど私なりに頑張って伝えるから聞いてね。」
するとのんちゃんは、いつもの優しい笑顔を見せてくれた。
そのエクボに、何度と心を落ちつかしてもらっただろう。
:09/01/24 18:32 :SH901iC :JFMqBZYE
#660 [ゆーちん]
「私、シホなんかじゃないの。」
「…。」
のんちゃんは、何も言わなかったし、何の反応も見せなかった。
「本当の名前は、金河萌子って言うんだ。」
「…そっか。」
「ごめんなさい。ずっと黙ってて。」
:09/01/24 18:33 :SH901iC :JFMqBZYE
#661 [ゆーちん]
「謝んないで。ていうか名前なんて何だっていいじゃん。あだ名みたいなもんだよ。」
「…うん。」
薄々気付いてたのかもしんない。
驚いているというより、確信を持った表情だったから。
:09/01/24 18:33 :SH901iC :JFMqBZYE
#662 [ゆーちん]
ゆっくりと萌子の話をした。
哲夫にお伽話をした時に、過去を思い出す痛みへの免疫はついたつもりだった。
だけどまだ弱かった。
途中、何度も泣きそうになった。
けど…泣かなかったよ。
泣いてちゃ、のんちゃんに伝えらんないもん。
:09/01/24 18:34 :SH901iC :JFMqBZYE
#663 [ゆーちん]
冷めきった紅茶で何度も喉を潤わせながら、話した。
途中、哲夫にも助けてもらいながら。
「それで私決めたの。明日…っていうか日付的には今日だね。」
「もしかして…」
「うん。萌子に戻るよ。それで、親と話し合ってみる。」
:09/01/24 18:35 :SH901iC :JFMqBZYE
#664 [ゆーちん]
今までずっと、過去を聞くのを禁じられていた哲夫の仲間であるのんちゃんは、信じられないって顔をしながら萌子の過去を聞いていてくれた。
そのお伽話のクライマックスが、今日でシホを辞めるってもの。
そりゃ、ビックリするよね。
:09/01/24 18:35 :SH901iC :JFMqBZYE
#665 [ゆーちん]
「すぐ帰って来るんだよね?」
「…わかんない。」
「何で?」
「親と和解できるなら、金河家で暮らすと思う。許せないぐらいムカつく親だけど…何だかんだで、ここまで育ててくれたのは、あの人達だし。」
:09/01/24 18:36 :SH901iC :JFMqBZYE
#666 [ゆーちん]
「育ててくれたって…子供に援交させて金稼ぎさす親なんか最低だよ?」
「うん。わかってる。最低な親だよね。」
「だったらどうして…」
「哲夫が、味方だから。」
「…哲夫さんが?」
:09/01/24 18:36 :SH901iC :JFMqBZYE
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