闇の中の光
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#678 [ゆーちん]
シホとして最後に見た夢は覚えていない。
それほど熟睡できたんだ。
安心しながら、心地よく、眠ったんだ。
誰かの温もりを感じながら眠るだなんて、私には贅沢すぎる。
そんな贅沢をさせてくれた哲夫の腕の中で、いつもの時間に自然と目を覚ました。
:09/01/24 21:22 :SH901iC :JFMqBZYE
#679 [ゆーちん]
ぼーっとしながら、布団の中の温かさと哲夫の体温を楽しむ。
何も考えずに、ただただ布団の中でじっとしていた。
目を開けて眠っていたのかもしれない。
頑張らなきゃって前に進もうとする私がいる。
だけど、もう少し甘えていようよってすがっちゃう自分もいる。
:09/01/24 21:23 :SH901iC :JFMqBZYE
#680 [ゆーちん]
結局、哲夫も目を覚まし、必然的に起きる事になっちゃったけど。
「おはよ。」
「おはよう。」
「んー…便所。」
哲夫が起き上がり、ベットからいなくなると冷気が入ってきた。
なんだか寂しい。
:09/01/24 21:23 :SH901iC :JFMqBZYE
#681 [ゆーちん]
寂しがってる場合じゃない。
明日からは、この温もりは無いのかもしれないし。
いつまでも甘えてるわけにはいかない。
ベットから起き上がり、洗面所で顔を洗う。
目が覚める。
モヤモヤしていた気持ちも、眠気と共に吹き飛ばしてやった。
:09/01/24 21:29 :SH901iC :JFMqBZYE
#682 [ゆーちん]
パジャマを脱ぎ、何を着ようかと悩んでいた時だった。
「おっはー!」
まさかの来客。
康孝だ。
「あ、おはよう。」
「シホちゃん。何で下着姿なわけ?」
康孝が苦笑いする。
:09/01/24 21:30 :SH901iC :JFMqBZYE
#683 [ゆーちん]
「何着ようかなって。」
すると哲夫が言った。
「着るもの決めてから脱げよ、バカ。」
そう言って、康孝の手に握られていた袋を奪い、そのまま私に手渡した。
「えっ、何これ。」
「ちょうど着るもの悩んでたんだろ?俺からのプレゼント。」
と、康孝が笑った。
:09/01/24 21:30 :SH901iC :JFMqBZYE
#684 [ゆーちん]
袋の中身を見て、息を飲み込んだ。
「これ…」
私が初めてここに来た時、着ていた服だ。
あんなに汚かったのに、新品のように綺麗。
「私の制服…」
「康がクリーニングに出してくれたんだぞ。」
「ヤッちゃんが?」
「たまには俺だって役に立つだろ?」
:09/01/24 21:31 :SH901iC :JFMqBZYE
#685 [ゆーちん]
舌を出してピースサインをした康孝はバカっぽかった。
幼稚園児以下。
だけどそんな康孝が好きだった。
仲間として、男として、人として、好きだった。
だけどそれは哲夫への【好き】とは、また違う。
人間の感情は、数え切れない。
:09/01/24 21:35 :SH901iC :JFMqBZYE
#686 [ゆーちん]
「それともう1つプレゼント。」
「え?」
「玄関にツルピカに輝いてるローファーが待ってるぞ。」
康孝の言葉を聞いた私はすぐさま玄関まで走った。
康孝の言う通り。
汚かったローファーが、ピカピカしている。
:09/01/24 21:35 :SH901iC :JFMqBZYE
#687 [ゆーちん]
驚いていた私を追い掛けて来た康孝が、教えてくれた。
「靴みがき買って来て、みんなで磨いたんだぞ。」
【ありがとう】を何度言えばいいのかわからない。
【嬉しい】を通り越した感情が私を襲う。
「私、何て言ったらいいのか…」
「お礼はいいから早く服着ろ。」
:09/01/24 21:36 :SH901iC :JFMqBZYE
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