闇の中の光
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#685 [ゆーちん]
舌を出してピースサインをした康孝はバカっぽかった。


幼稚園児以下。


だけどそんな康孝が好きだった。


仲間として、男として、人として、好きだった。


だけどそれは哲夫への【好き】とは、また違う。


人間の感情は、数え切れない。

⏰:09/01/24 21:35 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#686 [ゆーちん]
「それともう1つプレゼント。」

「え?」

「玄関にツルピカに輝いてるローファーが待ってるぞ。」


康孝の言葉を聞いた私はすぐさま玄関まで走った。


康孝の言う通り。


汚かったローファーが、ピカピカしている。

⏰:09/01/24 21:35 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#687 [ゆーちん]
驚いていた私を追い掛けて来た康孝が、教えてくれた。


「靴みがき買って来て、みんなで磨いたんだぞ。」


【ありがとう】を何度言えばいいのかわからない。


【嬉しい】を通り越した感情が私を襲う。


「私、何て言ったらいいのか…」

「お礼はいいから早く服着ろ。」

⏰:09/01/24 21:36 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#688 [ゆーちん]
部屋に戻ると哲夫が笑ってた。


「哲夫ぉ、ローファーが…」

「フッ。よかったな。半泣きなってるし。」

「泣いてないよ。もう泣かないって決めたんだから。」

「そ。早く服着ないと風邪ひくぞ。」

「うん。今さっきヤッちゃんにも服着ろって叱られた。」

⏰:09/01/24 21:37 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#689 [ゆーちん]
二人の視線は気にならない。


というか着替える私なんか見ていなかったのかも。


久しぶりに袖を通した制服は、ひんやりしていた。


やけに体にフィットする。


あぁ、私はやっぱり紛れも無い【金河萌子】なんだって実感した。

⏰:09/01/24 21:38 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#690 [ゆーちん]
スカートを短くし、あの日履いてた靴下を引っ張り上げる。


靴下は、クローゼットの下の引き出しの1番奥に潜んでた。


久しぶりに取り出すもんだから、なんだか違和感たっぷりだった。

⏰:09/01/24 21:39 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#691 [ゆーちん]
「ほほぉー。シホちゃんも何だかんだでまだ現役だもんな。やっぱ制服似合うわ。」


康孝がそんな言葉をサラッと言いきると、哲夫に『セクハラかよ。』と笑われていた。


そんな笑ってた哲夫が、小さな声で呟いた。

⏰:09/01/24 21:39 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#692 [ゆーちん]
「懐かしいな。」


康孝も『あぁ。』と私を見ながら懐かしんでいた。


「つい昨日の事みたい。制服着た女が俺のナイフ握って眠ってたんだよな。」

「哲夫の部屋に知らない女子高生がいて、俺すっげぇビックリした。」

⏰:09/01/24 21:40 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#693 [ゆーちん]
「髪も服も化粧もぐちゃぐちゃで汚かったよな。」

「いきなり殺せって要求するし?」

「哲夫に何言われたのか知んねぇけど、次会った時はケロッとした顔だった。」


二人は私を見ながら懐かしそうに昔話を続けた。

⏰:09/01/24 21:42 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


#694 [ゆーちん]
色んな感情が混ざりあう。


嬉しいけど、寂しい。


恥ずかしいような、緊張するような。


二人の視線を気にしながらも鏡の前に座り、化粧をし始めた私。


化粧は、哲夫に教えてもらった【シホのメイク】を施した。

⏰:09/01/24 21:42 📱:SH901iC 🆔:JFMqBZYE


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