闇の中の光
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#734 [ゆーちん]
母を信じてもいいのかもしれない、と思ったのは私が萌子に戻って1週間後の事だった。
冬休みがちょうど終わったので、私は康孝にクリーニングしてもらった制服を着て高校にまた通う事にした。
:09/01/25 11:52 :SH901iC :PIdEEYAI
#735 [ゆーちん]
冬休み前から長く休んでいたのだ。
担任に何か色々と聞かれる事だろうと、うんざりしていた。
「…いってきます。」
朝、ぎこちなくリビングを出た。
「萌子。」
「…何?」
母は言った。
「一緒に学校まで行きましょう。ずっと休んでたんだから、先生に説明しないと。」
:09/01/25 11:53 :SH901iC :PIdEEYAI
#736 [ゆーちん]
驚いた。
授業参観なんて来た事もなく、個人懇談さえ嫌がる母が自ら学校に出向くなんて。
私と母は、朝の寒い道を歩いて学校まで進んだ。
ぎこちなく、くすぐったい。
:09/01/25 11:54 :SH901iC :PIdEEYAI
#737 [ゆーちん]
学校に着き、職員室に行く。
担任が私を見て、目を丸くした。
「金河!」
久しぶりにその苗字を呼ばれた。
シホには苗字がなかったから。
「話を聞かせて下さい。こちらへ。」
担任が用意した教室に、3人で入る。
寒く、かび臭い教室。
:09/01/25 11:54 :SH901iC :PIdEEYAI
#738 [ゆーちん]
「ご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした。」
母が、頭を下げた。
目を疑う。
あの、母が?
「冬休みに入る前から、私が体調を崩してしまい、ずっとこの子が私の面倒を見てくれていたんです。」
「お母様が体調をお崩しで?」
:09/01/25 11:55 :SH901iC :PIdEEYAI
#739 [ゆーちん]
私は黙って、母の話を聞いた。
「はい。学校にも連絡出来なくて本当に、色々とお手数かけて申し訳ありません。」
よくもまぁそんな嘘を。
「いえ、事情があったのなら仕方ないです。また今日から登校してくれるのなら、私達教師側としても嬉しいですからね。」
:09/01/25 11:56 :SH901iC :PIdEEYAI
#740 [ゆーちん]
嘘臭い教師の笑顔を睨んでやった。
心配なんかしなかったくせに。
ただのサボりだと思ってたに違いない。
わざわざ頭を下げる必要なんてないよ、お母さん。
「金河。授業は進んで勉強について行けないかもしれない。そんな時はいつでも先生に相談しなさい。友達だって助けてくれる。」
:09/01/25 11:56 :SH901iC :PIdEEYAI
#741 [ゆーちん]
虫ずが走る。
萌子の友達なんて、何も助けてくれないよ。
話が終わり、担任が職員室に戻った。
「あの嘘、ちゃんと付き合うから。」
それだけ言って、私はさっさと母から離れようと歩き出した。
「あっ、萌子待って。」
足を止め、振り返ると、心臓が跳ね上がる光景が目に飛び込んで来た。
:09/01/25 11:57 :SH901iC :PIdEEYAI
#742 [ゆーちん]
何年ぶりに見ただろう。
「お弁当、持って行きなさい。」
「…ん。」
これが、母からのお詫びのしるしなのだろうか。
ちょっと、泣きそうになった。
【ありがとう】を言うのが嫌で、お弁当を抱きしめ、私は教室までかけてった。
:09/01/25 11:57 :SH901iC :PIdEEYAI
#743 [ゆーちん]
教室に入ると、視線が痛かった。
「萌子じゃ〜ん!」
「マジご無沙汰。」
「生きてたんだ、ウケる〜。」
何か…吐きそう。
また昔の自分に戻りそうで。
「おはよう。」
それだけ言って席に座った。
:09/01/25 11:58 :SH901iC :PIdEEYAI
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