闇の中の光
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#760 [ゆーちん]
そんな私の幸せが、家を出て好きな人と暮らす事なら応援すると親は言った。


だけど仕送りを頼まれた。


結局お金かよ、って思ったけど援交してた時の苦痛とか苛立ちは感じなかった。


2人は私の巣立ちを、私は2人への仕送りを承諾し、話はまとまった。

⏰:09/01/25 12:11 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#761 [ゆーちん]
久しぶりにその携帯電話を使う。


ずっと料金は支払われていて、いつでも使える状態にしてくれていた。


「もっしっしー。」

「フフッ。元気そうだね。」

「俺はいつだって元気。」


私の兄のような人の11ヵ月ぶりの声には、何の変わりもなかった。

⏰:09/01/25 12:11 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#762 [ゆーちん]
「あの倉庫に迎えに来てくんないかな?」

「おうよ!」


康孝の威勢のいい返事。


よかった。


私の新たな旅立ちの出だしは好調。


断られたら、そのお伽話は見事に狂っちゃうからね。

⏰:09/01/25 12:12 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#763 [ゆーちん]
「ヤッちゃーん!」

「お久〜!」


相変わらずうるさい車。


康孝も相変わらずで、頭をくしゃくしゃと掻き乱してくる意地悪なところは変わらない。


後部座席に乗り込み、車はシホの家に向かう。

⏰:09/01/25 12:13 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#764 [ゆーちん]
シホに戻った途端、笑顔がどんどん溢れて来る。


そんな車内で、康孝と色んな事を話した。


「髪伸びたなー。」

「専属の美容師がいるから、他の美容師には切って貰わないの。」

「プッ。芸能人かよ。」

「前髪だけは自分で切ってたけど。」

「ふーん。相変わらずパッツン前髪で色も大人しい茶色だな。シホちゃん、って感じ。」

⏰:09/01/25 12:15 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#765 [ゆーちん]
メイクだってシホのまま。


私自身、そんな自分を気に入っていたんだ。


「のんちゃん元気?」

「おー、元気元気。彼氏できたみたいだぞ。」

「うっそぉ!色々聞きたいなぁ。」

「んじゃ早速今日の集会来いよ。また迎えに来てやるから。」

⏰:09/01/25 12:15 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#766 [ゆーちん]
ちょうど車は目的地に到着。


「いいの?」

「遠慮はいらないぞ、マイシスター。」

「英語似合わないね。」

「うるせっ!んじゃまた夕方に。」

「うん。ありがと。」


うるさい車から降りると、康孝は走り去った。

⏰:09/01/25 12:16 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#767 [ゆーちん]
11ヵ月ぶりのもう一つの我が家。


インターホンを押す。


ガチャ…


ドアが開く。


持っていた荷物は思わず手からずり落ち、その手は迷わず前に伸びる。


金髪頭をした笑顔の彼に。

⏰:09/01/25 12:23 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#768 [ゆーちん]
「…哲夫っ。」

「おかえり、シホ。」

「ただいま。」


そのあとしばらく、哲夫の腕の中で泣いたのは言うまでもないよね。

⏰:09/01/25 12:23 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


#769 [ゆーちん]
12月のシホの帰宅。


それには1つの約束が関わっていた。


『イルミネーションを飾ろう。来年まで我慢しろ。』


そう、あれは私の我が儘でもあった約束。


家にクリスマスのイルミネーションを飾りたいって言うと、哲夫は来年だと約束してくれた。


その約束が叶えるための12月の帰宅。

⏰:09/01/25 12:24 📱:SH901iC 🆔:PIdEEYAI


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