闇の中の光
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#96 [ゆーちん]
「何これ。」
「つなぎ服っつーの?見た事ない?」
「工事現場の人みたい。」
「いや?」
「いや。」
「もぉー、ペットのくせに文句言うなよ。」
そう言って哲夫は携帯電話で誰かに電話をかけた。
「お前、戻って来れる?…うん…うん…そう、じゃあ。」
簡単な電話を済ませた哲夫は、服を探すのをやめて、再びつなぎ服を私に手渡した。
:08/12/30 17:50 :SH901iC :Z9srDs2E
#97 [ゆーちん]
「康が来るから車出して貰おう。いるものとか欲しいものとか何でも買ってやるよ。」
「康って…」
「さっきのバカヅラ男。康孝って言って、みんなから康とかヤッちゃんて呼ばれてる。」
「そうなんだ。」
:08/12/30 17:51 :SH901iC :Z9srDs2E
#98 [ゆーちん]
パンツ一枚のまま、哲夫は煙草を吸い始めた。
「康が来るまでに服着ろよ。」
「…何で?」
「何でって…主人の命令だからだよ。」
「ふーん、主人ねぇ。」
下着もつけずに、言われた通りつなぎ服を着た。
「おっきい。」
「仕方ねぇだろ。男物なんだから。」
:08/12/30 17:52 :SH901iC :Z9srDs2E
#99 [ゆーちん]
「普通のTシャツとかないの?」
「あるけど…Tシャツのがいいのか?」
「うん。」
「…わがままな奴だな。買い物行ったら、しつけ本も買わないとなー。」
そう言って笑うだけで、結局哲夫はTシャツも出してくれなかった。
:08/12/30 17:53 :SH901iC :Z9srDs2E
#100 [ゆーちん]
しばらくすると、さっきの男が来た。
康孝だ。
「お待たせ〜。」
「悪いな。ちょっと車出してくれる?」
「えぇ!来ていきなり?」
「シホを飼うのに色々必要でさ。」
「…シホ?犬でも飼うの?」
キョトンとする康孝に、哲夫は言った。
「犬じゃない。人間だ。」
:08/12/30 17:53 :SH901iC :Z9srDs2E
#101 [ゆーちん]
アゴで私をさす哲夫。
「えっ、飼うって…この子?」
哲夫は笑う。
私は何も言わない。
驚いている康孝は私に言った。
「あんた、テッちゃんに飼われんの?」
:08/12/30 17:54 :SH901iC :Z9srDs2E
#102 [ゆーちん]
私は何も言わず、康孝を見た。
「シホってあんたのこと?」
「…。」
「何で?つーか、死んだんじゃないのかよ。」
「死んだよ。」
「え?」
私が口を開くと、康孝はまた驚いていた。
「さっきの汚い女子高生は死んだ。」
「えっ…何言ってんの。」
:08/12/30 17:55 :SH901iC :Z9srDs2E
#103 [ゆーちん]
「私はシホ。哲夫に飼われてんの。ただのペットだよ。」
もう、死のうだなんて考えは1ミリもなかった。
今はただ、哲夫のペットなんだって自分で自分に言い聞かせている。
私はシホなんだ、って。
:08/12/30 17:55 :SH901iC :Z9srDs2E
#104 [ゆーちん]
全然理解のできていない康孝を見て、哲夫は笑った。
「どうよヤッちゃん。面白いペットだろ?」
「いや…つーかさ…」
「詳しい事はまた集会の時にでも教えてやるよ。とりあえず車出してよ。早くしないと日が暮れる。」
哲夫の頼みに、康孝は納得のいかないまま、頷いていた。
:08/12/30 17:56 :SH901iC :Z9srDs2E
#105 [ゆーちん]
「シホ、おいで。」
哲夫に呼ばれ、床から立ち上がった私。
いきなり目の前が暗くなった。
「はい、サングラス。すっぴんは嫌だろ?化粧品買ってやるから、それまでこれで我慢な。」
:08/12/30 17:57 :SH901iC :Z9srDs2E
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