WHITE★CANDY
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#252 [Gibson]
家に帰ってからも、CDを繰り返し聴き、歌詞を覚えながら歌の練習をする。

「『ハニー 君に伝えたい』かぁ…。
私も優平に、もっと素直な気持ちを言えたらなぁ…。」

歌詞カードを握りしめ、ため息をついた。
不器用な自分の性格に悩むことは、しょっちゅうである。

ライブ本番は、その優平も自分の歌を聴きにくる。
まずは、間接的に自分の思いを伝えることに励もう。

⏰:09/02/01 03:35 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#253 [Gibson]
そして一週間後、ライブ当日の日となった。
大学近くの、小さなライブハウスを借りて行われる。

スタート時間は、夕方の4時から。
私を含む東吾兄たちの出番は、4時半頃の予定である。

今日の服装は、シャツの上にパーカーを羽織り、ジーンズという格好だ。
ステージ衣装といっても、普段着とあまり変わらない。

⏰:09/02/01 03:49 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#254 [Gibson]
「よし!皆全力を出し切ろうな!」

私たちの前の組が終わった時、控え室で藤野さんの一声と共に、皆で円陣になって手を揃えた。

そして、音を立てずに歩きながらステージ上へと向かう。

やるだけのことはやった。
後は、その成果を発揮するだけだ―

⏰:09/02/01 13:45 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#255 [Gibson]
私以外の4人が暗がりの中ステージ上に立ち、それぞれ軽く音の調整を確認し終えた後、パッと明るく照明が点いた。

「皆さんこんにちは!」

佐々木さんが、客席側に挨拶をする。

4人の勇姿を、ステージの隅で見守る私。
成功を祈るように、両手を握った。

⏰:09/02/01 14:02 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#256 [Gibson]
一曲目の演奏が始まった。
練習やCDで、何度も聴いた歌。


ギターボーカルの佐々木さんは、誰からも好かれるタイプの人間だと思う。
笑顔が似合っていて、包容力のあるオーラをしている。

太くてどっしりした声は、歌詞の良さに一層重みがかかる。

その上、歌いながらギターもしっかり弾ける。
中学一年の頃から練習をし始めたらしい。

⏰:09/02/01 14:11 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#257 [Gibson]
同じくギターの坂田さんは、後ろに束ねられるほど髪が伸びきっていて、どこか脱力感のある人。

でも、練習となると一転して真面目な雰囲気に変わる。
空いてる時間は、ほとんど個人練習に当てていたとか。

ベースの藤野さんは、メンバーのリーダー的存在で、皆にまとまりがあるのは、彼の存在が大きいからだと他のメンバーは言う。

知的さは外見上だけでなく、学部もトップで入学したらしい。

大学に入って始めたベースも、すぐにコツを掴んだらしく、何をやっても出来るタイプの人間。

⏰:09/02/01 14:26 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#258 [Gibson]
最後に、ドラムの東吾兄。
突発的に物事の判断を決めることが多いので、危なっかしくてハラハラさせる。

初めて会った時から、友達の元基と似ていると思った。

深く考えることを知らないで、いつもヘラヘラ笑っていて、真面目な印象がない。

でも、自分が一度でも仲間だと感じた人には、全力で大切にする。
そうやって私も、彼にたくさんの素直な所に引き連れてもらった。

肝心のドラムの腕は…そこそこかな。

⏰:09/02/01 14:39 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#259 [Gibson]
3曲目が終了した時、佐々木さんが舞台袖の私を見た。

次の曲で最後となる。
いよいよ私の出番だ。

「…これから、特別ゲストを紹介します!」

佐々木さんが私に、「OK」のアイコンタクトをする。

ステージ上へとゆっくり歩き出す私。
ここまでは、予め5人で決めた手順通りだ。

⏰:09/02/01 14:50 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#260 [Gibson]
「彼女は、ドラムの古沢くんの知り合いの高校生。
今回、一曲だけボーカルを務めてくれることになりました。」

ステージの中央まで行った所で、佐々木さんが私のことを説明をする。

"高校生"の部分で、少し客席側がざわついた。

「皆さん初めまして、雨宮真希って言います…。
下手ですが一生懸命歌います…。」

想像していたよりお客さんの人数が多くて、心の中で驚く。
そのことで、喋る声が小さくなってしまった。

⏰:09/02/01 15:02 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


#261 [Gibson]
「真希ー!がんばれー!」

薄暗い客席の中、私に声援を送ったのはエリだった。
その隣には元基、そして優平。

その近くにはますちゃん含むクラスメート数人に、竹下さんたちもいる。

優平が眩しい笑顔で、ずっとこちらを見ている。
彼の頭上にだけ、明かりが灯されているように感じた。

⏰:09/02/01 15:11 📱:SH705i 🆔:sK5ROudg


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