WHITE★CANDY
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#280 [ぎぶそん]
真っ白い表紙の、「クローバーな彼」という題名の本を手に取る。
後ろの説明文に目を通してみる。
主人公の女性が、とある男性と出会ってからの人生を綴った内容だと書いてある。
恋愛小説か…。
正直一番苦手な分野で、これまでこの手のジャンル物は避けてきた。
というか、読んでみてもさっぱり理解できなかった。
でも、今となっては少し、共感し得る部分があるかも知れない。
唯一異性だと意識する、優平の顔が浮かんできた。
:09/02/15 07:24
:SH705i
:Rs2aN72w
#281 [ぎぶそん]
貸出カードに書籍の名を書き込み、図書室を出ようとした時だった。
「真ー希っ!やっぱりここにいた。」
開いたドアの前で、エリがひょっこりと顔を出してきた。
「エリ!?どうしたの、エリが休みに学校来るなんて珍しい。」
「んー、そろそろ進路について真面目に考えようかと思って。」
規定のサイズよりスカートの長さがぐんと短い彼女は、こう見えて堅実に生きるタイプである。
:09/02/15 09:36
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#282 [ぎぶそん]
「トリマー?」
「そう。犬や猫の毛を、チョキチョキと切ってあげるの。」
学校近くのファーストフード店に二人で入ると、エリが希望の進路を話してくれた。
彼女の自宅は、犬や猫を数百飼っている。
そして彼女自身にも、動物が好きだという印象がある。
今の所は、動物の身なりに関する専門学校に進学したいという。
:09/02/16 02:03
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#283 [ぎぶそん]
「それで、真希は進路どうすんの?」
「うーん…、高校を出てすぐ就職するより、とりあえずまたどこかに進学しようかなーって、少し思った。」
東吾兄と出会い、大学というものに少し触れてみて、進学に魅力を感じた部分はある。
「それがいいよ。
真希は私や元基とは違って、そこそこ成績いいんだし。
それに…。」
「それに?」
エリがソーダを口に含む。
:09/02/16 02:12
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#284 [ぎぶそん]
「頑張って優平と同じ大学に受かれば、また四年間一緒になれるよ。」
エリの顔の表情がニヤつく。
「へ、変なこと言わないでよ…。」
「ま、桜井家のお坊ちゃんが目指してんのは、目下T大なんだろうねー。
仲良い友達でも、彼は次元が違いすぎるわぁ。」
エリが窓の外の景色を見ながら言う。
「うん。」
掠れるような声で返事をし、アイスコーヒーを飲んだ。
:09/02/16 02:20
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#285 [ぎぶそん]
「あ、そうそう。
例の旅行の件なんだけど、この夏優平のおじ様が仕事で別荘に滞在しててさ、中止になりそうって。」
旅行とは一学期に四人で計画し、この夏休みに実行するはずだったもの。
「え?そうなんだ…。」
せっかく過保護の父に了承を得たのに、仕方ないとはいえ気持ちは浮かなかった。
「大丈夫。残念がることはないって。そのかわり、優平が自分の家を招待してくれるってよ!」
:09/02/16 02:29
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#286 [ぎぶそん]
「来週の月曜日、美原駅に着いたら迎えに来てくれるって。」
そこは優平の住む街だ。
「分かった。」
「フフ、彼ん家はきっと、別荘以上に豪勢だと思うよ。」
自分の家を見せることに抵抗していた優平が、初めて私たちを招いてくれた時だった。
:09/02/16 16:31
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#287 [ぎぶそん]
その日の夜、夕飯を済ませた後、一人部屋で宿泊に備えて、かばんに荷物を詰める。
まだ一週間も先だというのに、張り切り過ぎかな。
父にはそのまま、皆で別荘に泊まりに行くということにしておいた。
また一々訂正して、うるさく言われるのが目に見えていた。
旅行じゃないなら、わざわざ男子高校生の自宅に泊まりがけする理由はない、ってね。
:09/02/16 21:30
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#288 [ぎぶそん]
「マキロン、旅行なんだって?また楽しそうだな〜!」
東吾兄が、アイスキャンディー片手に私の部屋を訪ねて来た。
「東吾兄だって、大学で生き生きしてたじゃん。」
「俺さー、高校ん時はその魅力に気づかなかったけど、やっぱ制服の特権ってスゲーよなー。
それ纏ってるだけで、青春さが増すの。
うん、光陰矢の如し。」
東吾兄が、オレンジ色のアイスキャンディーをかじる。
彼の発言は、時々意味深なようで意味不明だ。
:09/02/16 21:42
:SH705i
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#289 [ぎぶそん]
「桜田くんだっけ?
こないだ打ち上げに付き添ってくれた子も一緒なんだろ?」
「桜井だよ。」
「ああ、そうそう。
彼かっこいいよなぁ!俺にはない爽やかだわ。」
彼の話に耳を傾けながら、畳んだ衣服をかばんに詰め込む。
「なあ、マキロンさぁ…。」
東吾兄が、私の近くにしゃがみ込む。
:09/02/16 21:59
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