WHITE★CANDY
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#331 [ぎぶそん]
風呂上がり、優平の部屋を訪ねてみた。
30畳の広々した洋室に、堂々と置いてあるピアノ。
ダブルベッドより大きなベッドは、どんなに寝返っても落ちたりしなさそうだ。
ワックスで綺麗にコーティングされた、ピカピカの白い床を歩く。
:09/02/18 17:31
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#332 [ぎぶそん]
二人でベランダに出て、少し欠けた月を眺める。
夏の夜風が、風呂上がりのポカポカとした体に気持ちよく当たる。
「…真希はさ、どういう時自分の幸せを感じる?」
「え?うーん…。
色々あるよ。推理小説のトリックが何となく解った時。東吾兄にTVゲームで勝った時。数学の難しい問題が解けた時。」
「あはは。真希らしいな。」
:09/02/18 17:41
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#333 [ぎぶそん]
「俺ね、正直毎日の生活の中で、何かに困ったり不自由したことはない。」
「うん。」
そうだろうな、と思う。
「でも、いつも何かがしっくり来ないんだ。
俺って、相当な我が儘だよな。
皆こんなに良くしてくれるのに。」
「…。」
:09/02/18 17:49
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#334 [ぎぶそん]
「俺、幼稚園から中学まで、私立のエスカレーター式の学校に行ってたんだ。
でも、どこか周りと馴染めなくてさ、高校は親父に無理言って、公立の学校に通わせてもらうことにしてもらった。」
「少しだけエリから聞いたことある。」
「元基と初めて話した時のこと、今でも覚えてる。
高校入りたての時、部活見学で隣にあいつがいてさ。
"美味しい棒の味を知らないなんて、お前人生損してるぞ!"って豪語されて、俺そんな時代遅れの中にいたのかー、って。」
「元基ってば、そんなこと言ったの?本当ウケるね。」
:09/02/18 18:04
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#335 [ぎぶそん]
「それでその後、コンビニに行って、2人で美味しい棒を買ったんだ。
1本10円なんて思えないほどうまかった。」
「"美味しい棒"、だしね。」
「それから、元基といると楽しいなって思うようになって、あいつの後に着いていくようになったかな。
あいつは俺が知らない沢山の面白いことを、まるで手品の種を明かすかのようにもったいぶらず教えてくれるんだ。」
「ちっちゃい頃はがき大将だったみたいだしね。」
:09/02/18 18:11
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#336 [ぎぶそん]
「それである日、あいつ数人の女子に、"桜井くんはお金持ちのお坊ちゃんなんだから、下品なこと吹き込んだらダメよ"って言われたことがあって。
そしたらあいつ、"家柄とか関係なく付き合うのが男同士の付き合いだー"って言い返してさ。
ああ、友達ってこういうもんなんだ、ってその時思った。」
「うん、うん。」
"少し馬鹿な所があるけど、絶対にいい奴です"
元基のことを誰かに説明するならば、私はきっとこう言うだろう。
:09/02/18 18:20
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#337 [ぎぶそん]
「次第にあいつがエリと付き合うようになって、"また自分に似た、活発な子を好きになったなぁ"って、あの時は思ったなぁ。」
「本当、あの二人は似た者同士だ。」
今頃、仲良くやってるのかな。
「それで、エリが真希を連れてきて…、正直、初めて接した時の第一印象は"何かすげーバリアはってそう"だった気がする。」
「よく言われるから平気。」
自分では、あまり意識はないのだけど。
:09/02/18 18:30
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#338 [ぎぶそん]
「…真希さ、確か従姉妹の幼稚園生がいるよな?」
「うん。お母さんの妹さんの子供のこと?」
「俺、いつかの夕方、真希がその子と手を繋いで歩いてるのをたまたま見たんだ。」
「そうだね、叔母さんが急用になった時なんかは、代わりに幼稚園まで迎えに行ってたりしたことがあるよ。」
:09/02/18 18:46
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#339 [ぎぶそん]
「歩く道の途中で、真希がその子にアイスを買ってやっててさ。
その時ちらっと見えた横顔が…どう表現していいのかは分からないけど、凄く綺麗だった。」
「えぇっ!?錯覚かなんかじゃないの?」
彼があんまり真面目な顔でそんなことをいうので、私は笑ってみせた。
「…その数日後、今度は放課後事務員さんと花壇の手入れしてるのを目撃したんだ。
"何だ、普通にいい子じゃん"って。
さすが元基が好きになった子の友達ではあるなって。」
「…。」
そんな所まで見られてたんだ。
:09/02/18 19:08
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#340 [ぎぶそん]
「真希のお母さんが、真希が物心つく前に亡くなったって聞いた時、俺が何かその分の心の溝を埋められたら…って思った。」
「優平…。」
「何だろう。元基やエリの笑った顔も大好きだけど、その中で真希が笑ってくれた時が、俺にとって何よりも嬉しい瞬間なんだ。」
「…ありがとう。」
少しばかり、涙ぐみそうになった。
:09/02/18 19:18
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