WHITE★CANDY
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#381 [ぎぶそん]
次の授業の時、弥生が先生に当てられる場面があった。
難しい問題に対して、迷うことなくスラスラと答える彼女。
見事に正解すると、クラス内が少しざわめいた。
『大人しいフリしてんのが窮屈でさ』
思い出す、昨日の彼女の台詞。
彼女の周りの席の子たちが、"すごいねー"などと話し掛けている。
"そんなことないよ"と、謙虚に小さく照れる弥生。
今の姿は彼女にとって、仮の姿だと言うのだろうか?
私からして見れば、彼女は一人の小柄で愛らしい女子高生だ。
:09/04/05 00:04
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#382 [ぎぶそん]
その晩、風呂上がりに和室を通り過ぎると、父が母の仏壇を磨き上げていた。
「…お父さんってさ、お母さんが悪い過去を持ってたとしても、お母さんのことを好きになってた?」
タオルで濡れた髪を乾かしながら、父の横に座り込む。
「ああ、もちろん!」
「どうして?マイナスに思ったりしない?」
にこやかに答える父に聞き返した。
:09/04/05 12:23
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#383 [ぎぶそん]
「父さんは、今この瞬間の母さんを好きになったんだから。
おしとやかで、可憐で、あったかくて。
昔のことを聞いた位じゃ、その心は揺るがないさ。」
隅々まで行き渡るように、父はひたすら雑巾を持つ手を動かし続ける。
「お母さんって、それほどお父さんにとって素敵な人だったんだね。」
遺影に映る母の顔を見る。
まるでこの世にある全ての悪行を許すかのように、こちらに優しく微笑んでいた。
:09/04/05 12:26
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#384 [ぎぶそん]
その後部屋にこもり、早めに読書を終えると、ランプを消す。
暗い部屋で、布団に潜り目をつむったまま考え込む。
自分の周りには、エリや元基のように、あっけらかんとしたタイプの人間が多かった。
その分弥生のようなタイプの人間が、気にかかってしまう。
彼女は自分から、少女としてのあどけなさややんわりとした雰囲気を、廃除しているように思える。
『生まれて来て欲しくなかった』とは、どういう意味なのだろうか?
そんな親、本当にいるのだろうか。
少なくとも、今の私には分からない。
:09/04/05 12:37
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#385 [ぎぶそん]
弥生が私たちの学校に転校して来て、二週間が経った。
彼女もだいぶクラスに溶け込んできて、クラスの皆が彼女を特別視する回数も減ってきた。
「あれ、弥生ちゃんとD組の町田じゃない?」
昼休み、エリと外にある自販機に向かう途中、校庭で弥生と他のクラスの男子が話し込んでる姿が見えた。
町田は先生に盾突いたり、放課後はケンカ三昧の日々で、素行があまり良くないことで有名だ。
ガラの悪い男子と物静かな女子の組み合わせ。
その違和感から、遠くにいても目立つ。
:09/04/05 12:44
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#386 [ぎぶそん]
「町田ったら、今度は弥生ちゃんに手出そうとしてんのかねー。
あいつが前付き合ってた子、清楚な感じだったし。」
「何か嫌な予感がする…。」
「そう?弥生ちゃんみたいな優等生は、あんな奴に引っ掛かったりしないでしょ。」
二人の姿を見続けていると、町田が一方的に言い寄ってる様子ではなさそうだ。
弥生の方も、相手の話に対して静かに頷いている。
この時心が覚えた小さな胸騒ぎを、私は逃さなかった。
:09/04/05 12:52
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#387 [ぎぶそん]
放課後、元基から優平が図書室にいると聞き、さっそく行ってみることにした。
今日一日彼の姿を見ていない。
特別用事がある訳ではないが、無償に会わずにはいられなかった。
「優平…?」
図書室に入ると、勉強道具が散らばる机に、顔を伏せたまま優平が眠っていた。
彼の黒くて艶のある髪を、夕日が窓越しに照らす。
:09/04/05 17:59
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#388 [ぎぶそん]
彼の近くの椅子に、腰を下ろしてみる。
死んだように眠る、優平の寝相にぴったりの表現だ。
その寝顔を、じっくりと観察する。
長い睫毛や筋の通った鼻に、思わず見入ってしまう。
疲れてるのかな?
きっと毎日、たくさん勉強してるんだろうな。
彼が起きないように、そっと頭を撫でてみた。
:09/04/05 18:01
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#389 [ぎぶそん]
トクン、トクンと心臓の音が体内でこだまする。
その髪を繰り返し触ってみる。
彼に近付けば近付くほど、今度はその体に触れたいという気持ちになる。
今、どんな夢を見ているのだろう。
その中に、私は映っているのかな!?
優平がどんな過去を持っていたとしても、今この瞬間のときめきは色褪せないだろう。
:09/04/05 18:11
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#390 [ぎぶそん]
「ん…。わ、真希っ!」
一時間後、眠りの王子が目を覚ました。
私の存在に気づくと、その場であわてふためく。
「あ、起きた?」
彼が寝ている間、読んでいた本を閉じる。
「ずっと居たの?起こしてくれて良かったのに。」
「気持ち良さそうに寝てたから。」
今日初めての、彼との会話。
彼と些細なやり取りが出来るだけで、今日一日があでやかなものになるよ。
それは、雨上がりの虹のように。
:09/04/05 18:15
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