WHITE★CANDY
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#330 [ぎぶそん]
「ウフフ。それでいいと思うわよ。心から優平のことを見ているからこそ、そうやって悩むと思うわ。」

「え?」

「でも、これからも見る目を変えてあげないでいてね。
彼、こんな必要以上の贅沢に囲まれた環境の中、あんなに健気に真っすぐと育ったのよ。」

「はい。」

優平は大切な友達であり、一人の大切な人に変わりはない。

祥華さんに打ち明けてみて、改めて気づかされた大事なこと。

「ありがとうございます、祥華さん。」

⏰:09/02/18 11:07 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#331 [ぎぶそん]
風呂上がり、優平の部屋を訪ねてみた。

30畳の広々した洋室に、堂々と置いてあるピアノ。

ダブルベッドより大きなベッドは、どんなに寝返っても落ちたりしなさそうだ。

ワックスで綺麗にコーティングされた、ピカピカの白い床を歩く。

⏰:09/02/18 17:31 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#332 [ぎぶそん]
二人でベランダに出て、少し欠けた月を眺める。
夏の夜風が、風呂上がりのポカポカとした体に気持ちよく当たる。

「…真希はさ、どういう時自分の幸せを感じる?」

「え?うーん…。
色々あるよ。推理小説のトリックが何となく解った時。東吾兄にTVゲームで勝った時。数学の難しい問題が解けた時。」

「あはは。真希らしいな。」

⏰:09/02/18 17:41 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#333 [ぎぶそん]
「俺ね、正直毎日の生活の中で、何かに困ったり不自由したことはない。」

「うん。」

そうだろうな、と思う。

「でも、いつも何かがしっくり来ないんだ。
俺って、相当な我が儘だよな。
皆こんなに良くしてくれるのに。」

「…。」

⏰:09/02/18 17:49 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#334 [ぎぶそん]
「俺、幼稚園から中学まで、私立のエスカレーター式の学校に行ってたんだ。

でも、どこか周りと馴染めなくてさ、高校は親父に無理言って、公立の学校に通わせてもらうことにしてもらった。」

「少しだけエリから聞いたことある。」

「元基と初めて話した時のこと、今でも覚えてる。

高校入りたての時、部活見学で隣にあいつがいてさ。
"美味しい棒の味を知らないなんて、お前人生損してるぞ!"って豪語されて、俺そんな時代遅れの中にいたのかー、って。」

「元基ってば、そんなこと言ったの?本当ウケるね。」

⏰:09/02/18 18:04 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#335 [ぎぶそん]
「それでその後、コンビニに行って、2人で美味しい棒を買ったんだ。
1本10円なんて思えないほどうまかった。」

「"美味しい棒"、だしね。」

「それから、元基といると楽しいなって思うようになって、あいつの後に着いていくようになったかな。

あいつは俺が知らない沢山の面白いことを、まるで手品の種を明かすかのようにもったいぶらず教えてくれるんだ。」

「ちっちゃい頃はがき大将だったみたいだしね。」

⏰:09/02/18 18:11 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#336 [ぎぶそん]
「それである日、あいつ数人の女子に、"桜井くんはお金持ちのお坊ちゃんなんだから、下品なこと吹き込んだらダメよ"って言われたことがあって。

そしたらあいつ、"家柄とか関係なく付き合うのが男同士の付き合いだー"って言い返してさ。
ああ、友達ってこういうもんなんだ、ってその時思った。」

「うん、うん。」

"少し馬鹿な所があるけど、絶対にいい奴です"

元基のことを誰かに説明するならば、私はきっとこう言うだろう。

⏰:09/02/18 18:20 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#337 [ぎぶそん]
「次第にあいつがエリと付き合うようになって、"また自分に似た、活発な子を好きになったなぁ"って、あの時は思ったなぁ。」

「本当、あの二人は似た者同士だ。」

今頃、仲良くやってるのかな。

「それで、エリが真希を連れてきて…、正直、初めて接した時の第一印象は"何かすげーバリアはってそう"だった気がする。」

「よく言われるから平気。」

自分では、あまり意識はないのだけど。

⏰:09/02/18 18:30 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#338 [ぎぶそん]
「…真希さ、確か従姉妹の幼稚園生がいるよな?」

「うん。お母さんの妹さんの子供のこと?」

「俺、いつかの夕方、真希がその子と手を繋いで歩いてるのをたまたま見たんだ。」

「そうだね、叔母さんが急用になった時なんかは、代わりに幼稚園まで迎えに行ってたりしたことがあるよ。」

⏰:09/02/18 18:46 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#339 [ぎぶそん]
「歩く道の途中で、真希がその子にアイスを買ってやっててさ。
その時ちらっと見えた横顔が…どう表現していいのかは分からないけど、凄く綺麗だった。」

「えぇっ!?錯覚かなんかじゃないの?」

彼があんまり真面目な顔でそんなことをいうので、私は笑ってみせた。

「…その数日後、今度は放課後事務員さんと花壇の手入れしてるのを目撃したんだ。
"何だ、普通にいい子じゃん"って。
さすが元基が好きになった子の友達ではあるなって。」

「…。」

そんな所まで見られてたんだ。

⏰:09/02/18 19:08 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#340 [ぎぶそん]
「真希のお母さんが、真希が物心つく前に亡くなったって聞いた時、俺が何かその分の心の溝を埋められたら…って思った。」

「優平…。」

「何だろう。元基やエリの笑った顔も大好きだけど、その中で真希が笑ってくれた時が、俺にとって何よりも嬉しい瞬間なんだ。」

「…ありがとう。」

少しばかり、涙ぐみそうになった。

⏰:09/02/18 19:18 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#341 [ぎぶそん]
「…私ね、この間初めて恋愛小説を借りたの。」

今度は、私から話を持ち掛けた。

「その中にね、主人公の女の人が、好きになった男性と初めて出会った時のことを、まるで四つ葉のクローバーを見つけた時と同じような気持ちだ、って表現してた部分があった。」

「うん。」

⏰:09/02/18 19:23 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#342 [ぎぶそん]
「私にとって、優平がそう。最近じゃ、ただこうして一緒に過ごしてるだけで、私にとって幸福な時間が流れてる。

お父さんや東吾兄、エリや元基たちといる時とはまた違う温かい感情を、優平は私に与えてくれるんだ。」

ねぇ、お母さん…。
お母さんは私を目の前のこの人と出会わせる為に、私を産んでくれたの?―

少なくとも今は、そう思うよ。

⏰:09/02/18 19:39 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#343 [ぎぶそん]
数日後、私は桜井家から帰って来た。

祥華さんや沼木さんを始めとした使用人の方たちに、何度も感謝の気持ちを述べた。

夢のような時間をありがとうと、優平をここまで立派に世話してくれてありがとうと。

数日の間、普段の日常では到底成し得ないような、セレブリティな生活を送った。
でも、優平とただ二人で佇んでた時が、一番心が満たされていた。

⏰:09/02/18 19:47 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#344 [ぎぶそん]
日曜日の昼下がり、エリとファミリーレストランで一緒に食事を取ることになった。

「どうだったー、初めての桜井家は?二人きりの方がいいと思って、私たち敢えて行かないことににしたの。
まあ、結果騙す形になっちゃったのは謝るね。」

エリが、"申し訳ない"のポーズを取る。

「ううん。そのお陰で、何か優平に近づけた感じ。」

二人の優しさを、私は汲み取った。

⏰:09/02/18 19:56 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#345 [ぎぶそん]
「ねぇ、エリはさ、どういう時自分の幸せを感じる?」

優平に尋ねられたことを、今度はエリに聞いてみた。

「えぇー?
そうねぇ、元基が珍しく何か奢ってくれた時とか、頭髪検査を上手くくぐり抜けられた時とか、新しく買ったマスカラが、思った以上にボリュームがあった時とか。」

「あはは。エリらしいね。」

⏰:09/02/18 20:03 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#346 [ぎぶそん]
「じゃあ、真希は?」

「…私はね、幸せを感じる瞬間って生きてる内で数え切れないほどあるけど、最近特に一番それを感じたのは…。」

そう。
自分が好きである人に、自分の気持ちが届いた時。

その上、相手も自分と全く同じ気持ちであった時。

私と優平はあの晩、あれから手を繋いだままずっと、一晩中語り明かしてたんだ。

エリも元基と付き合うようになった時、こんな気持ちだったのかな?

あの日、私たちの心の距離は、限りなくゼロに近づいていた。

Chapter04 END.―

⏰:09/02/18 20:12 📱:SH705i 🆔:fL1Gvzv6


#347 [ぎぶそん]
Chapter05
「生きるということ」

⏰:09/02/25 22:37 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#348 [ぎぶそん]
蝉たちの鳴き声が消えかかる頃、夏休みも終了し、二学期が始まった。

久しぶりに対面するクラスの皆。
少し日焼けした肌の色以外は、皆の様子はあまり変わっていない。

「それ本当?松田。」

「ああ間違いない!てっしーが見たこともない生徒と一緒に居たんだ。きっと転校生だよ!」

夏休みボケも覚めてきた数週間後、朝教室に入るや否や、何やらエリたちが集まって騒いでいるのが見えた。

⏰:09/02/25 22:46 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#349 [ぎぶそん]
「どうしたの?何かあった?」

自分の席にカバンを置くより先に、まずエリたちに声を掛けてみた。

「ああ、真希。
もしかしたら今日、うちのクラスに転校生がやって来るかも知れないって。」

「え?」

エリの話によると、担任の手島先生が、うちのクラスにいない子と職員室から出て来るのを、クラスメートの男子が目撃したらしい。
その子は女子生徒だったという。

⏰:09/02/25 22:53 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#350 [ぎぶそん]
「おい松田、その子どんな感じだった?」

「さあ、俺が見たのは後ろ姿だったから、よく分かんなかった…。」

「俺、どうせだったら可愛い子がいいなぁ。」

「やめとけやめとけ。昔から転校生ってもんは、期待ハズレが関目の山さ。」

「ま、それもそうだよなぁ。」

色々と言葉を交わす男子たち。

⏰:09/02/25 22:59 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#351 [ぎぶそん]
チャイムが鳴り、朝自習の時間が始まっても、転校生かも知れないという子のことを考えていた。

一学期も終わり、クラス内では既に各々のグループが固定化されている。

男子も女子も分け隔てなく仲が良いのがうちのクラスの特色だけど、新しくどこかのグループに入るというのは、そうすぐにはいかないだろう。

本当に転校生が現れた時は、積極的に声を掛けてみよう。
誰だって、独りは寂しい。

⏰:09/02/25 23:07 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#352 [ぎぶそん]
朝自習が済んでから十分後、手島先生がドアを開け、教室へとやって来た。

同時に、クラス内のざわつきがピタリとなくなる。

先生が教壇へと歩く度、小さくパタパタと鳴るスリッパの音。

「あー、今日は朝のホームルームを始める前に、皆に是非とも紹介したい人がいる。
君、入って来てくれたまえ。」

先生の指示と共に、ドアの付近に立っていた女子生徒が教室に入って来た。

⏰:09/02/25 23:17 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#353 [ぎぶそん]
「今日から皆と同じクラスになった、村上弥生さんだ。
皆、仲良くするんだぞ。」

「初めまして、村上といいます。皆さんよろしくお願いします。」

女の子らしい高い声で挨拶をしてから、頭を下げる転校生。

彼女の登場によって、教室内が小さくどよめく。

身長や体格はエリに似ていて小柄ではあるが、どこか落ち着いている。

見た目は愛嬌もなく無愛想でもない、クールな感じであった。

⏰:09/02/25 23:27 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#354 [ぎぶそん]
「山崎、ブスがやって来たどころか、普通に美少女じゃん!」

「ハハハ、ごめんごめん。」

「転校する前はどこに住んでたのー?」

「ねぇ、村上さん。お昼は私たちと一緒に食べましょう?」

休み時間になった途端、村上さんの周りを皆が取り囲む。
クラス内が、いつも以上に賑やかになる。

⏰:09/02/25 23:32 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#355 [ぎぶそん]
「あーあ。男子ってば、可愛い子が来たからってデレデレしちゃってー。」

「自分のクラスに転校生がやって来るっていうのは、生まれて初めてかな。」

皆の転校生が訪れた喜びようを、窓側でエリと二人で傍観する。

それにしても転校生の村上さん、どこか陰があるように思えるのは、気のせいかな…―

⏰:09/02/25 23:38 📱:SH705i 🆔:r/GN9WtE


#356 [ぎぶそん]
放課後、エリと職員室を利用し、教室に戻ってみると、村上さんが教科書をカバンに詰めていた。

「村上さん、一人?
良かったら、私たちと一緒に帰らない?」

彼女の元に行き、積極的に話し掛けるエリ。

「えっと…。」

「私は長谷部エリ。エリでいいよ!
こっちは雨宮真希。同じクラスだし、何かあった時は言ってね。」

そこで初めて自己紹介をした。

⏰:09/03/23 22:09 📱:SH705i 🆔:akN.NqpQ


#357 [ぎぶそん]
「ねえねえ、コンビニでアイス買わない?」

雑談をしながら、三人で教室を後にする。
主にエリが話題を出す。

「…あ!」

階段を下りようとした所で、部活へと向かおうとする優平と遭遇した。
彼のショルダーバッグに着けてあるキーホルダーが、小さく揺れる。

「今帰り?」

「うん。」

彼と視線を合わせるだけで、不用意に胸の心拍数が上がる。

⏰:09/03/23 22:18 📱:SH705i 🆔:akN.NqpQ


#358 [ぎぶそん]
「えっと…。」

優平が、初見の村上さんを不思議そうに見つめる。

「あ!彼女は今日うちの学校に転校してきた、村上弥生さん!」

彼の態度を察知すると、エリが説明をする。

「へえ、そうなんだ。初めまして。」

「優平、真希から村上さんに乗り換えたら承知しないんだからねっ!」

「えっ!!」

エリの台詞に、私と優平は二人して照れた。
私たちの関係って、一体どんなものなのかな…―

⏰:09/03/23 22:25 📱:SH705i 🆔:akN.NqpQ


#359 [さや]
待ってました

⏰:09/03/26 15:07 📱:F905i 🆔:GreNRE2o


#360 [ぎぶそん]
>さやさん

返事遅くなりました。
コメント有り難うございます!

最後まで書き上げるので、良ろしければお付き合いよろしくお願いします(^-^)

⏰:09/04/02 08:44 📱:SH705i 🆔:K79dghiA


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