WHITE★CANDY
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#60 [ぎぶそん]
その後は、街をぷらぷらして目についた雑貨屋さんやブティック店を見て回り、気に入ったものがあれば購入したりした。

「んー。甘い。」

「雨宮さん、私のも食べてみて!」

一通り買い物を終えると、アイスクリーム屋さんに入った。

吉田さんという子が、私に自分のものを勧める。
以前、エリも同じようなことをしてくれたな、と思い出した。

同性同士ではしゃぐ楽しさが、だんだんと分かってきた。

⏰:09/01/16 17:31 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#61 [ぎぶそん]
「すっかり暗くなっちゃったねー!
雨宮さん、まだ帰らなくていい?」

時計の針は、8時を過ぎた所である。
家の門限は、とっくに過ぎていた。

「うん、大丈夫。」

私は今日も、父に無断で遅く帰ることを決めた。

「そう!じゃあ最後に、とっておきの場所に連れていってあげる!」

⏰:09/01/16 18:16 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#62 [ぎぶそん]
三人に誘導されるがまま、歩き続ける。

「…ここは?」

数十分後、町外れにある、廃墟されたビルに到着した。
薄暗く、薄気味悪い。

「ここはねー、私たちの秘密の!
誰も来ることはないから、ここで包み隠さず、色んな話をするの!
ガールズトークって奴ね!」

⏰:09/01/16 19:24 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#63 [ぎぶそん]
「ねぇ、雨宮さん?」

竹下さんが、じりじりと近づく。
その表情は、さっきまでの明るさを失っている。

「桜井くんとは、付き合ってる訳じゃないよね…?」

「…え…!?」

⏰:09/01/16 19:59 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#64 [ぎぶそん]
「優平とは、ただの友達だけど…。」

「…。」

私の返答に、竹下さんは何も反応しない。
シーンとその場が静まる。

ドンッ―

数分して、竹下さんが突然私の体を突き飛ばす。

「痛っ…。」

私は、その衝撃で尻餅をついてしまった。

⏰:09/01/16 20:57 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#65 [ぎぶそん]
「…あんたさえいなければ…あんたさえいなくなれば、桜井くんは振り向いてくれるかも知れないのに。」

取り乱す竹下さん。
残りの二人は、宥める気配もなく、黙ってそれを見ている。

「あんたは邪魔な存在なのよ!」

彼女らが今日、私を誘った理由を理解した。
私のことを、ずっと恨んでいたのだ。

⏰:09/01/16 21:04 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#66 [ぎぶそん]
「皆、出て来て。」

竹下さんの合図で、今まで隠れていたと思われる、ガラの悪そうな男たちがぞろぞろと登場する。

「雨宮さん、彼氏いないんでしょ?
私が紹介してあげるね。
ここにいる中から、好きなの選んでいいよ。」

竹下さんが、不気味な笑みを浮かべる。

⏰:09/01/16 22:24 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#67 [ぎぶそん]
「へぇ、なかなか可愛いじゃん。」

「ねぇ、俺らといいことしようよ?」

図体のデカい男と、金髪の男が近づく。

金髪の男が、私の左手首を掴む。

「離して…っ!」

私はその手を振り払い、パーカーのポケットから、携帯電話を取り出した。

⏰:09/01/16 22:29 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#68 [ぎぶそん]
「もしもし、エリ?…あっ!」

エリに助けを呼ぼうとするが、金髪の男に携帯電話をすぐに取り上げられた。

「なーにしてんの?
さあ、俺らと遊ぶよ?」

ニヤニヤと笑う金髪の男。

怖い…―

⏰:09/01/16 22:33 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#69 [ぎぶそん]
「あっ!あれ何だろう?」

私は建物の中の、遠くを指差した。

私のそのしぐさで、男たちが一斉に指差さす方を確認する。

私はその隙に、その場を勢いよく走り出した。

古典的なやり方が、結構容易に通用した。

⏰:09/01/16 22:38 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#70 [ぎぶそん]
廃墟ビルから出て、ひたすら一直線に走り続ける私。
徒競走には少し、自信があった。

「待てー!」

後ろから、男たちが追ってくる。

とりあえず、人気の多い所に―

⏰:09/01/16 22:43 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#71 [ぎぶそん]
「あっ…!」

足がそろそろ疲れ切ってしまいそうな時に、私はつまづいてしまった。

遂に、追っていた男たちとの距離はなくなってしまった。

「雨宮さん、逃げるなんてひどいわね。
せっかく私たち、今日誘ってあげたのに。」

私を取り囲む男たちの中心に、竹下さんが腕組みをして仁王立ちをする。

⏰:09/01/16 22:49 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#72 [ぎぶそん]
「…私が消えたとしても、優平はあなたを好きになったりなんかしない!」

私は地面に倒れたまま、竹下さんの目を見て言った。

「何ですって!
皆、好きにやっちゃっていいよ!」

私のその一言は、彼女の怒りの導火線に触れてしまった。

もうダメだ…―

⏰:09/01/16 22:54 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#73 [ぎぶそん]
全力で走った後で、立ち上がる気力は残っていなかった。

そして、恐怖に立ち向かう勇気もなかった。

お父さん、ごめんなさい。
きちんと門限を守っておけば、こんなことにならなくて済んだのに―

だんだんと、意識が遠退いていく。

帰りたい、お父さんが待ってる家に―

⏰:09/01/16 23:00 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#74 [ぎぶそん]
「ちょーっと待ったー!」

頭の奥の方で、聞き慣れた声がする。

「ああ?何だテメーは!?」

一人の男が、その人に向かって威圧する。

「俺は、今そこで倒れている子の父親だ。」

お、お父さん…!?―

私は、うっすらと目を開けてみた。
ラフな格好をした父の姿が、そこにはあった。

⏰:09/01/16 23:08 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#75 [ぎぶそん]
「げっ、親父かよ…。」

「おい、警察沙汰になる前にズラかろーぜ。」

男たちはこぞって、その場を走り去っていった。

「真希っ。大丈夫!?」

エリが私の元に駆け寄り、私の体を抱える。

「…エリ?どうしてここが分かったの…?」

「最近、この辺の廃墟ビルで、不良軍団が何やらしてるって聞いたから、もしかしたらって…。」

⏰:09/01/16 23:18 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#76 [ぎぶそん]
「ちょっと!真希に何てことすんのよ!
この責任は、みっちり取ってもらうからね!」

エリが、竹下さんたち三人に向かって怒鳴る。

三人は、オロオロとし始め、今にも泣きそうだった。

「ま、待ってエリ…。
そんなに三人を責めないで…。」

⏰:09/01/16 23:22 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#77 [ぎぶそん]
「例え私を陥れる為の芝居だったとしても、今日一日、凄く楽しかったよ…。」

「真希…。」

嘘ではなかった。

交友関係が少ない私としては、エリ以外の女の子と遊ぶのが、
非常に新鮮で、新しい自分とまた出会えた気持ちになった。

⏰:09/01/16 23:29 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#78 [ぎぶそん]
「ごめんなさい…雨宮さん…。」

三人が私に謝りながら、声を上げて泣き出す。

「今度真希を誘う時は、私の許可が必要だからね!」
エリが、きつく三人に言う。

「うん、うん…。」

ふう、これで一件落着…―

長い休日が、終わろうとしていた。

⏰:09/01/16 23:35 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#79 [ぎぶそん]


「膝、派手に擦りむいちゃったなー。
帰ったら消毒だな。」

父が私をおんぶをしながら、家まで帰宅する。


「お父さん、心配かけてごめんなさい…。」

「おっ、今日はやけに素直だな!」

「お父さんこそ、全然怒らないね。」

⏰:09/01/16 23:40 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#80 [ぎぶそん]
「母さんもなー、学生の時、今日みたいに女子から恨みを買われてたなー。」

「へぇ、どうして?」

「そりゃ、父さん絡みだろー。」

「…自分で言わないでよ…。」

「ハハハ。
まあ、母さんは同性から妬まれやすかったな。
男子の注目の的だったし。」

⏰:09/01/16 23:45 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#81 [ぎぶそん]
「…竹下さんたちのこと、学校に言ったりしたらダメだよ?」

「はいはい、お嬢様。
やっぱ、そういうところが母さんに似てるな!

母さんも、いつも『あの人たちを責めたりしないで』って、最後に言ってたわー。」

「…。」

⏰:09/01/16 23:50 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#82 [ぎぶそん]
「…お父さん。」

「何だ?」

「…今日こんなことがあったし、旅行はもう行っちゃだよね。」

本当は一人だけ行けないのは寂しいが、父をこれ以上不安にさせたくないので、諦めることにした。

⏰:09/01/16 23:55 📱:SH705i 🆔:enD1izvA


#83 [ぎぶそん]
「…エリちゃんって、お前と比べて随分ちっちゃいのに、パワフルな子だよな。」

「え?うん。」

「彼女、『お父さん、真希が危ないかもです』って、真っ先に俺んとこに連絡してくれたんだぞ?

その後はー、めぼしい所を駆けずり回って。」

「うん…。」

私の為に必死になってくれたエリを思うと、胸がキュッと締め付けられる。

⏰:09/01/17 00:00 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#84 [ぎぶそん]
「…向こうに行ったら、一日一回は連絡すること!」

「えっ?」

「友達との旅行、楽しんで行ってこい!」

「お父さん…。ありがとう…。」

背中越しに、遂に父の承諾を得た。

⏰:09/01/17 00:04 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#85 [ぎぶそん]
「お父さん!」

「何だ?まだ何か不満があるのか?」

「さっき、私のピンチに駆け付けてきた時の姿…かっこよかったよ。」

父の首に回してる両腕を、ギュッと更に力を入れる。
目をつむり、父の背中に顔をうずめる。

お父さんの匂い、安心するな―

⏰:09/01/17 00:09 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#86 [ぎぶそん]
真希、真希ってうるさくて、
いつまでも幼い子供みたいに私を扱う所が、時々"ウザい"と感じる。

でも、いざという時は私の気持ちを一番に解ってくれるんだ。

男手一つで、ここまで育てるの、大変だったよね…?

いつもありがとう、お父さん。

―Chapter01 END.―

⏰:09/01/17 00:19 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#87 [ぎぶそん]
Chapter02
「恋という感情」

⏰:09/01/17 11:57 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#88 [ぎぶそん]
「真希、どっか転んだのかそれ。珍しいな。」

「え、うん。」

数日後の学校―

優平には、竹下さんたちとの出来事を言っていない。
もし私が告げたりすれば、彼は彼女らを、これから軽蔑の眼差しで見ることになるだろう。

⏰:09/01/17 12:03 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#89 [ぎぶそん]
「雨宮さーん!
一緒に購買行こう!」

教室のドアの前で、数人の女子が私を呼ぶ。

「お前、竹下たちと仲良いんだ?」

「うん。じゃあ、またね優平。」

あの日以来、竹下さんたちとは、穏和な関係を築けている。

⏰:09/01/17 16:42 📱:SH705i 🆔:6QbR1UbY


#90 [かほ]
おもしろいです
更新たのしみです!!

⏰:09/01/17 16:44 📱:D903iTV 🆔:86aXJrCk


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