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#126 [蛍火]
 
「私の元を離れるなら強くなりなさい。」

そう言うと
私に通帳と印鑑を持たせた


「さぁ行きなさい!」


そして泣きながら私を追い出した
 

⏰:09/02/03 14:17 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#127 [蛍火]
 

大きなバッグを持って私が向かった先は
あの女の子の家

知り合ってまだ間もないけど
私にとって彼女は
親友とも言える存在になっていた


「私、産む事に決めたよ」


彼女はなんて言うだろうか
やっぱり反対するだろうか

私は思い切って彼女に打ち明けた

⏰:09/02/03 15:14 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#128 [蛍火]
 
「そっか…絢音が決めたんだから私は応援するよ」


彼女は…賛成してくれた
応援してくれた

この町から出て行く前に
ここに来てよかった

打ち明けてよかった

これからどうなるか分からないけど
頑張れる気がした

⏰:09/02/03 15:28 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#129 [蛍火]
 
「そんなに荷物持ってどっか行くの?」

彼女が私の荷物を指差して不思議そうに聞いてきた


「旅行に行くんだ」

「そっか!いいなぁ
楽しんできなね!」

とっさに嘘をついた
だって心配かけたくないし
この町には二度と戻らない

⏰:09/02/03 15:35 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#130 [蛍火]
 
「じゃ帰るね!」

「うん、また明日!」

「また明日!ばいばい」




そして私はさよならした

家族と親友とこの町に


もう二度と戻らない
私は強くなるんだ

⏰:09/02/03 15:40 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#131 [蛍火]
 

電車に揺られ辿り着いたのは東京

母から渡された通帳には200万入っていた

使いたくないけど
生きるには使うしかない

まずは住む家を探した

でも中学生に貸してくれる業者なんてそう簡単に見付からない

私は駅前で手当たり次第に声をかけ住ませてくれる人を探した

⏰:09/02/03 15:48 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#132 [蛍火]
 
すると1人のおばあちゃんが
私に耳を傾けてくれた


その人が大家のおばあちゃん

この人に出逢えなかったら
私は今頃どうなっていたんだろう

おばあちゃんは出産する時の
手続きにも手を貸してくれた

⏰:09/02/03 16:00 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#133 [蛍火]
 
そして無事出産することが出来た

私が望んで育てた実
私が望んで産んだ命


命名 望実


 

⏰:09/02/03 16:07 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#134 [蛍火]
 
でも私は本当に望実を産んでよかったのかな…?

これで正解だったのかな…?

望実が成長するに従って分からなくなる


そして母から貰った200万は出産費用と家賃、生活費で
いよいよ底がついた

⏰:09/02/03 16:37 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


#135 [蛍火]
 
働かなきゃ…


中学生でも働ける場所
2人分の生活費が稼げる場所

そんな都合のいいバイトなんてある訳なかった。

あるとすれば




援助交際
 

⏰:09/02/03 16:43 📱:auCA3C 🆔:fkLkKwkQ


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