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#330 [蛍火]
だって…だって
なんか悲しくて
すごく切なくて
望実に申し訳なくて
胸が苦しいんだもん
「お前さー」
「気まぐれなんて言ったらコウノトリに失礼だろ」
:09/02/14 19:13 :auCA3C :HVZ.y9Tg
#331 [蛍火]
知らないよそんなの
コウノトリなんか居なければいいのに
コウノトリなんか信じないよ
「チビがお前を選んだんだ」
:09/02/14 19:23 :auCA3C :HVZ.y9Tg
#332 [蛍火]
え?
「お前に会いたいからチビはコウノトリにお願いしたんだ」
そんな…
「だからコウノトリはお前にチビを運んだんだ」
溢れ出る涙で視界がぼやけていく
「何千何億いる中でチビはお前を選んだんだよ」
:09/02/14 19:28 :auCA3C :HVZ.y9Tg
#333 [りん]
凄いいい話ですK
主さん頑張ってケy
:09/02/14 22:41 :W61SH :dcQgiQKs
#334 [くまちゃん]
更新してくださいヘ(`∀´)
続ききになりますっ〆
:09/02/15 10:45 :W61K :WH0QXto.
#335 [蛍火]
――のぞみ…っ
「まぁ俺の勝手な解釈だけどさー、
――ほら見てみ?」
そう言って飾られている写真の一枚を手に持って私に見せる
「すっげー幸せそうだと思わない?」
言葉にならない程の涙が一気に流れる
写真の中の望実は本当に幸せそうに笑っている
:09/02/15 11:41 :auCA3C :ayTi/s32
#336 [蛍火]
りんさん
くまちゃんさん
ありがとーですっ!
:09/02/15 11:42 :auCA3C :ayTi/s32
#337 [蛍火]
「運び方は最悪だったかもしれない
普通に運べば何も問題はなかった
でもそれは、お前とチビが強くなる為の過程なんだと俺は思う」
過程…?
「過去を無くす事は出来ない
お前だって忘れる事は出来ない
チビも大きくなるにつれ不思議に思う
“私のパパはどうしていないの?”ってね」
:09/02/15 11:56 :auCA3C :ayTi/s32
#338 [蛍火]
それは…私が一番恐れていたこと
自分がレイプされて出来た子供って知ったら望実は私を恨むんじゃないか
産まれて来なければ良かった…って後悔するんじゃないか
自分自身の存在を消そうとするんじゃないか
望実が真実を知ってしまった時が
一番怖いんだ
:09/02/15 12:06 :auCA3C :ayTi/s32
#339 [杏子]
更新してください.‥・*゜
:09/02/15 18:01 :W61K :WH0QXto.
#340 [りん]
このお話大好きです
頑張れってくださいケト
:09/02/15 18:22 :W61SH :.T3QcuFs
#341 [蛍火]
「今は小さいし適当に誤魔化しが出来るだろう
でもチビが今のお前と同じ位の年になっても誤魔化せるか?
チビに嘘をついてでも、お前はその事実を隠し通すか?」
一瞬涙が止まった
だって私は
:09/02/16 00:37 :auCA3C :iNC7soQI
#342 [蛍火]
杏子さん
りんさん
どもです★
更新します(^^)!
:09/02/16 00:38 :auCA3C :iNC7soQI
#343 [蛍火]
隠し通す…
つもりだった
嘘をつく罪悪感はある
でもそれ以上に望実の反応が
怖いから
何も言わない私を見ながら遥が続ける
:09/02/16 00:47 :auCA3C :iNC7soQI
#344 [蛍火]
「もし隠し通すんであれば何も知らないチビは
揉める事なくお前がついた嘘を受け入れるだろう」
「でもそうしたらさ、お前が苦しんだ過去の出来事は
全て無かった事にされちゃうんだよ」
そんなの
分かってる
:09/02/16 01:04 :auCA3C :iNC7soQI
#345 [蛍火]
「知らない男に無理矢理ヤられたんだろ?」
!!
「な…んで知って……」
「お前の男に対する反応見てたら分かる」
気付いて……たんだ
「怖かったろ?
無理やり押さえ付けられて」
:09/02/16 01:12 :auCA3C :iNC7soQI
#346 [蛍火]
……怖かった
「逃げたくても女のお前じゃ逃げられない」
私、一生懸命抵抗したの
止まっていた涙が再び流れ出す
「体中を触られて男の手がお前を犯していく」
やだ
:09/02/16 01:23 :auCA3C :iNC7soQI
#347 [蛍火]
「乱暴に、的確に」
やめて…っ
鮮明に蘇る記憶
「そしてお前の内部に男が「聞きたくないっ!」
私は無意識に耳を押さえて叫んでいた
「もうやめてッ…もう……やだよッ…!!」
:09/02/16 01:32 :auCA3C :iNC7soQI
#348 [蛍火]
もう…もう
思い出したくないの
あんな男の顔
思い出したくないの
それでも遥は話し続ける
:09/02/16 01:42 :auCA3C :iNC7soQI
#349 [蛍火]
「お前が辛くて必死に抵抗した事も
怖くて泣き叫んだ事も
苦しくて死にたいと思った事も
男の力を全身に受けた事も
苦しみ
痛み
恐怖
絶望感
ぜーんぶ無かった事にされちゃうんだぜ?」
:09/02/16 01:57 :auCA3C :iNC7soQI
#350 [蛍火]
無かった事に……
私は、忘れたい
でも
「無かった事になんか出来ないだろ?」
「………」
「無かった事にしたらあの時耐えたお前の存在は消えてしまうんだよ」
耐えた……?
:09/02/16 02:08 :auCA3C :iNC7soQI
#351 [蛍火]
「お前はあの苦しみから必死に耐えて頑張ったんだ」
私が頑張った……?
「その頑張りがあったからチビを産めたんだ」
「それは隠すべき事なのか?
お前だってあの時の苦しみを消されたら悲しいだろ?」
:09/02/16 09:54 :auCA3C :iNC7soQI
#352 [蛍火]
そうだ、私は……耐えた
一生懸命頑張った
泣いて
もがいて
苦しんで
それを無かった事にされてしまうのは
悲しい
「……でも望実には言えないっ…!」
:09/02/16 09:57 :auCA3C :iNC7soQI
#353 [蛍火]
言えないよ……
遥がまた背を向ける
「言わなきゃ意味がないだろ」
「だって…」
「チビに自分を否定される事が怖い?」
どうしてこの人は私が思っている事を
ズバズバ言い当てるんだろう
:09/02/16 10:05 :auCA3C :iNC7soQI
#354 [蛍火]
「当然チビはショックを受けて荒れるだろうな」
「お前と同じ位チビも苦しむ」
「でもそれを乗り越えていくのが“親子”ってもんなんじゃないの?」
目頭が熱くなる
止まったかと思うとまた溢れる
「お前が身を傷つけてまで育てた命なんだ
愛情だって人一倍注ぎ込んだ命なんだ
お前がチビを抱き締めてやれば
それが伝わらない訳ないだろ?」
:09/02/16 12:47 :auCA3C :iNC7soQI
#355 [蛍火]
今まで必死に望実を育ててきた
愛情だって誰にも負けない
それは今もこれからも変わる事はないと思う
「ちゃんと…伝わる……?」
声が震える
涙で遥がよく見えない
私こんなに涙脆かったかな
:09/02/16 13:11 :auCA3C :iNC7soQI
#356 [蛍火]
なんか…言ってよ
なんで急に黙るの?
やっぱり伝わらないの?
ぼやける視界の中で遥が近付いてくるのが分かる
も……早く
早く
“伝わるよ”
って言ってよ…っ
私を安心させてよ……!
:09/02/16 13:23 :auCA3C :iNC7soQI
#357 [蛍火]
「…っ!」
―――涙が零れ落ちる
全身が遥の体温に包み込まれ私の震えが一瞬で止まった
私をぎゅうっと抱き締める遥
微かな煙草の匂いが私を落ち着かせる
「…私…は…ッ……」
:09/02/16 16:17 :auCA3C :iNC7soQI
#358 [蛍火]
「だいじょーぶ」
途切れ途切れ口を開く私に
遥が優しくその言葉をくれた
“大丈夫”
それは私が待っていた言葉
不安を取り除いてくれる言葉
遥が私の頭を大きな手で撫でる
あったかい手
:09/02/16 17:24 :auCA3C :iNC7soQI
#359 [も〜ら]
あげ〜
:09/02/16 18:36 :F706i :je6uvah6
#360 [蛍火]
「人ってさー、」
遥の声が体に響く
すごく
安心する
「どんな生き物よりも成長するって知ってた?」
「………」
「年寄りになっても死ぬまで成長するんだ」
:09/02/16 19:37 :auCA3C :iNC7soQI
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