漆黒の夜に君と。[BL]
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#288 [ちか]
暫くしてガラガラと扉が開く音がし、恭弥はその音の先を目で辿った。
「君は……――、」
「どーも。」
言葉を遮って軽く頭を下げたのは透だった。
その手には冥の物と思われるカバンが握られている
:09/02/17 19:45 :P906i :1RMuTNrs
#289 [ちか]
「…あの、冥は?」
どうやら部活に出る前に冥にカバンを届けに来たらしい。
「だいぶ前に出ていったよ。」
他人から聞く『冥』と言う響きに、さっきの『彼女』と言う言葉を思い出して恭弥はまた眉間にシワを寄せた。
:09/02/17 19:53 :P906i :1RMuTNrs
#290 [ちか]
その表情に透も何かを察したのか目つきを変えた
2人の間に続く淀んだ沈黙。
「―――……もしかして冥に何かしました?」
冷たい声が室内に響いた
:09/02/17 20:02 :P906i :1RMuTNrs
#291 [ちか]
「………別に。」
「なんですか、その『間』は。」
「僕はしたつもりない。」
「…じゃあ、心当たりはあるんですね。」
「‥‥‥‥‥。」
(分かりやすい奴…。)
睨みあっていた目を逸らして黙りこむ恭弥に透は呆れた顔をして心の中でそう呟いた。
:09/02/17 20:12 :P906i :1RMuTNrs
#292 [ちか]
「別に先輩にどうこう言うつもりはありませんけど、冥の事傷つけたら…」
「傷つけたら?」
「ぶっ殺しますよ。」
目だけが笑っていないその冷たい笑顔を向けて、透はまた扉に手をかけた。
:09/02/17 20:18 :P906i :1RMuTNrs
#293 [ちか]
「君、冥のなんなの?」
透の後ろ姿をキッと睨んで言った。
「……幼なじみですよ。」
そう言い残して透は保健室を去っていった。
:09/02/17 20:27 :P906i :1RMuTNrs
#294 [ちか]
張り詰めた空気の残りが保健室に漂う中、一度大きくため息を吐いて恭弥もその場を後にした。
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気がつけばグラウンドから学生達の声が沢山聞こえてきて、今が放課後だと言う事を知った。
教室に置きっぱなしのカバンを思い出して、俺はそこから立ち上がり、教室へと重い足を運んだ。
:09/02/17 20:38 :P906i :1RMuTNrs
#295 [ちか]
今何時だろ‥‥‥。
アイツもしかしてまた校門で待ってたりして!!!
そんな事がふと頭を過り、少し足を速めた。
が、
なんであんな奴に気遣ってんだ、俺!
と1人ツッコミをしてまた速度を落とした。
:09/02/17 20:46 :P906i :1RMuTNrs
#296 [ちか]
放課後の廊下は静まりかえっていて、足音がよく響いた。
教室に入ると、ガランとした薄暗い中を夕日の光が差し込んでいてなんとも不思議な雰囲気。
カバンを取ろうと自分の席に目線をやると1人の男が窓に持たれながらこっちを見ていた。
:09/02/17 20:54 :P906i :1RMuTNrs
#297 [ちか]
逆光でその顔が良く見えず、俺は目を細目ながら近づいていく。
「遅い。」
漸く(ヨウヤク)顔がはっきりと見えたところで、昨日と同じセリフが教室に響いた。
:09/02/17 20:56 :P906i :1RMuTNrs
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