漆黒の夜に君と。[BL]
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#594 [ちか]
「守っていたつもりだった。だけど、それは僕の勘違いで‥‥―――
実際は何も、僕は優里に何もしてやれてなかった…」
その言葉は自ら自分を追い詰めているようだった
俺は震える恭弥の手を強く握った。
「そんな事ない…っ」
:09/03/11 23:06 :P906i :KaqMZK1M
#595 [ちか]
「優里は恭弥の事、好きだって言ってた。恭弥の為に学校でも明るく振る舞ってた。恭弥が、もし何もしてやれてなかったらこんな事してないよ、絶対。
恭弥は…ちゃんと、優里を守れてたよ。」
今俺の目の前に居る恭弥は余裕も無くて、すごく弱い。
だけど、それは優里がそれほど大切だったから。
大切にしてたから。
:09/03/11 23:18 :P906i :KaqMZK1M
#596 [ちか]
俺は恭弥を力の限り抱き締めた。
恭弥の不安を少しでも無くしてあげたかったんだ。
俺にとっては、恭弥が
それほど大切だったから
暫くして、看護婦の人が俺達に安心の言葉をくれた。
:09/03/11 23:22 :P906i :KaqMZK1M
#597 [ちか]
精密機械の音だけが響く部屋に連れていかれた。
ベッドに寝ているのは優里。
「今は呼吸も安定していますし、命にも別状はありません。直に目も覚めるでしょう。」
先生の話を聞いて、俺達は安堵の息をもらした。
それから俺達は優里の目が覚めるまで、一睡もする事がなかった。
:09/03/11 23:31 :P906i :KaqMZK1M
#598 [ちか]
気づけば夜が明けて、朝になっていた。
「兄‥‥貴‥‥?」
「優里っ…――!!」
小さい声にも過敏に反応した俺達は優里の名前を呼んだ。
「ごめん…。」
優里は呟くように言った。
:09/03/11 23:39 :P906i :KaqMZK1M
#599 [ちか]
「心配したよ…――」
「ごめん‥‥。」
この淡白な会話にどれほどの感情が詰まっている事だろうか。
この不器用な兄弟の間には。
暫く兄弟同士で会話を交わしたあと、優里は俺に目をやった。
:09/03/11 23:43 :P906i :KaqMZK1M
#600 [まな]
面白すぎますっ!!
文才ありまくりですねっ!!
もう感動です…
:09/03/11 23:45 :PC :j6gUNdeY
#601 [ちか]
「ありがとうな…冥。」
その笑顔に寂しげな表情は欠片も無かった。
「お、おう!」
俺は笑顔で返す。
少しは俺らの距離も縮まったかな‥‥?
:09/03/11 23:48 :P906i :KaqMZK1M
#602 [ちか]
「驚いたよ。」
病室を後にしたあと、恭弥に言われた。
「え?何が?」
そう言って疑問の瞳を向けると、恭弥はふふっと笑った。
「優里が人の事名前で呼ぶなんて初めてだったから。」
:09/03/11 23:53 :P906i :KaqMZK1M
#603 [ちか]
「え‥‥」
それって‥‥――
それって‥‥‥――――
「友達って意味じゃない?」
恭弥はにっこりと笑った。
「ホントに?!」
「病院内では静かに、ね」
嬉しかった。
むかつく奴だけど、
ひねくれた奴だけど、
とにかく嬉しかった。
:09/03/11 23:57 :P906i :KaqMZK1M
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