漆黒の夜に君と。[BL]
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#681 [ちか]
―――‥‥それから何時間経っただろうか。
「‥‥冥。」
「は、ハイ‥?」
「僕の説明聞いてた?」
「聞いてたつもり‥デス」
「‥‥‥‥。」
改めて言うのもなんだけど、俺ほんとに勉強に向いてないみたい…
:09/03/17 18:01 :P906i :7cJZ1/ng
#682 [ちか]
四角い透明なテーブルに
隣同士で座る俺達。
この体勢でどれくらい居た事だろう。
恭弥にも呆れられるぐらい重症なのか、俺‥‥
俺はどうにかこの問題くらい解こうと頭をフル回転させた。
ついでにシャーペンも。
しかし、
「‥‥‥‥やっぱ無理‥」
俺には解けません…。
自分の不甲斐なさに涙が浮かんできた。
「冥さぁ‥‥、」
「へ?」
潤む目を右側に向けると
頬杖をつく恭弥がぼんやりと滲んで見えた。
:09/03/17 18:15 :P906i :7cJZ1/ng
#683 [ちか]
「よくウチの高校に入れたね。」
真面目な顔で言われて
内心傷ついていたのは
言うまでもないだろう
だけど本人の顔を見る限り悪気は無いんだろう…
「受験生の頃は、毎日透に教えてもらってたから…。」
懐かしいなあ。
あの頃も透に呆れられたり、馬鹿にされたりしたっけ…
でもいっつも初めから教えてくれて、おかげでこの学校にも受かったんだよな。
それから半年しか経ってないのに、何故かすごく懐かしく感じた。
:09/03/17 18:21 :P906i :7cJZ1/ng
#684 [ちか]
― 恭弥side.―
「あの頃は毎日透に教えてもらってたから…。」
教え疲れて多少ぼんやりしていた頭がその言葉でふと醒めた。
冥のその口から、
“透”と言う名前を聞くだけで、少しだけ腹立たしかった。
:09/03/17 18:25 :P906i :7cJZ1/ng
#685 [ちか]
懐かしそうな瞳で何かを考えているところを見ると、考えている事なんてだいたい想像がついた。
その考えの中にやっぱり
“透”と言う存在が居ることも。
そう思うと急に胸が苦しくなった。
奥から湧いてくる小さな怒りと独占欲。
僕以外の奴の事なんて考えるな。
僕以外の奴をその瞳で見るな。
その手で触れるな。
そんな子供染みた気持ちが僕の胸を掻き鳴らした
:09/03/17 18:31 :P906i :7cJZ1/ng
#686 [ちか]
:09/03/17 18:33 :P906i :7cJZ1/ng
#687 [ちか]
きっとこれが、
嫉妬ってヤツなんだろうな。
「恭弥?どうかした?」
「ん、いやなんでもないよ。」
まさか自分が誰かにこんな感情を抱く日が来るなんて思ってもなかったから、今の自分が少し微笑ましかった。
目の前には不思議そうな顔で僕を覗きこむ愛しい人。
そして、止めどなく溢れてくる欲望。
:09/03/17 18:46 :P906i :7cJZ1/ng
#688 [ちか]
こんな感情が初めてなだけに、止め方も他へのやり方も僕には解らなかった。
‥‥‥‥今は、思いのまま動いてみようか。
僕なりに。
:09/03/17 18:50 :P906i :7cJZ1/ng
#689 [ちか]
「ねえ、冥。」
プリントと睨み合う横顔を見つめながら愛しいその名前を呼ぶ。
「なに?」
声はそう言ってるけど、紙切れとの睨み合いは続き、一向に僕に目線を寄越そうとはしない。
しかし、そうされると余計にこっちを見させたくなるもの。
:09/03/17 21:30 :P906i :7cJZ1/ng
#690 [ちか]
「僕、思うんだけど、」
「なに‥おわっ?!?!」
男にしては偉く細い肩を乱暴に引き寄せみた。
そのまま無理矢理こっちへ向かせて顎を軽く掴み、顔を寄せる。
「きょっ、きょおや?!///」
みるみるうちに赤くなっていく顔。
上擦る声。
すべてが愛しくてたまらない。
:09/03/17 21:52 :P906i :7cJZ1/ng
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