漆黒の夜に君と。[BL]
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#750 [ちか]
そう考えた瞬間、胸の奥が苦しくなって無償に切なくなった。

今じゃこれが何故だかちゃんと解る。
だからこそ苦しいんだ。
いつか俺以外の人を見つけて、俺の手の届かないどこかに行ってしまいそうで。

「せんせー。」

「ん?」

呟きのように小さな声に、短い返事が返ってくる
その目は紙の束を見つめたまま。

⏰:09/03/22 23:10 📱:P906i 🆔:DXTf0Jxg


#751 [ちか]
「もしもの話だけどさ…」

「なんだ?」

雑な返事。

「ほんとにもしもだよ?」

そう。これはあくまで“もしも”の話。

「だからなんだよ。」

なかなか本題に入ろうとしない俺に先生の返事も乱暴になる。

⏰:09/03/22 23:18 📱:P906i 🆔:DXTf0Jxg


#752 [ちか]
「もし…先生の前に、どう考えても先生より彼女に相応しい男が現れたとしたら…」

「なんだソレ。ヤな話だな。」

先生はふっと小さく笑ってそう言った。

「まぁまぁ。それで、その男が先生の彼女を好きだって言い出したら…どうする?」

そう、これは今の俺の現状に似せた例え。

先生ならどうするかなって。

⏰:09/03/22 23:27 📱:P906i 🆔:DXTf0Jxg


#753 [ちか]
俺が質問を投げ掛けたところで先生はやっとプリントから目を離し、俺の方へその目を移した。


「どうするって‥別にどうもしないだろ。」

「え?」

どんな答えが返ってくるだろうと半ば緊張していた俺に返された答えは、予想以上にあっさりしたモノだった。

その単純な答えに俺は思わず間の抜けた声をもらす。

⏰:09/03/23 12:43 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#754 [ちか]
「‥なんで?落ち込んだり、焦ったり‥しないんですか?」

「そんなことしても疲れるだけだろ。」

その口振りに余裕さが窺える。
その余裕さゆえに俺の頭はさらに疑問で埋まってゆき、小首を傾げた。

そんな俺を見て先生はさらに言葉を続けた。

⏰:09/03/23 12:49 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#755 [ちか]
「あのなぁ、その男が彼女に似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもないんだよ。
彼女が俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってことだろ?
ならそれでいいじゃねーか。
誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない。
考えるだけ無駄だ無駄。
俺、疲れることはしない主義だからな。」

そう言って先生は柔らかい笑みを見せた。

⏰:09/03/23 17:26 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#756 [ちか]
『似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもない』

『俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってこと』

『誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない』‥――

言葉の一つ一つが頭に染み込んでくる。

そうだ。恭弥はいつだって俺を見ててくれてる。
誰が出てこようがそれは変わらなかった。
悩む必要なんて無かったんだ、初めから。

⏰:09/03/23 17:36 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#757 [ちか]
胸の締め付けがスッと解けていくのが分かった。


「先生、たまには良いこと言うんですね。」

「“たまには”ってのは余計だ。」

そう言って先生はまた俺にデコピンを食らわせようとする。
それを片手で掴む俺。

「同じ手はくらいません」

得意気にニッと笑ってみせる。

⏰:09/03/23 17:46 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#758 [ちか]
手を離そうとしない俺に先生はムッとしたご様子。
しかしその顔はすぐに笑顔へと変わっていく。
ニヤリと笑うその顔は鬼と言うより悪魔だ。

「て言うか、なんだお前そう言う恋愛してんの?
ふーん。へえ〜。」

「べ、別にそれは関係な‥ッ///い゙って!!」

空いていた片手が否定しようとする俺に命中した

「甘いな日下。
手は二つあるんだよ。」

にっこり微笑む先生。

やられた‥‥。

⏰:09/03/23 18:00 📱:P906i 🆔:O6X.h/Hk


#759 [knj]
メチャクチャいいですv(*^^*)/
感動しました(T_T)
続き頑張って下さい\(*^^*)/
応援してます(^∇^o)(o^∇^)

⏰:09/03/23 19:49 📱:W61PT 🆔:134pqGpo


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