漆黒の夜に君と。[BL]
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#775 [ちか]
>>772「正直、恭くんの口からあんな言葉を聞く日が来るなんて思っていませんでした。」
眉を寄せ、苦く笑う神楽さん。
その言葉の意味が良く分からなくて、俺は首を傾げた。
そんな俺を見て神楽さんはふふっと笑うと、話を続けた。
:09/03/26 12:11 :P906i :T1.t4GZE
#776 [ちか]
「恭くんと私は親同士が友人でして、本当に幼い頃から顔見知りだったんですが、その頃から恭くんにはなんとも言えないオーラのようなものがあって、私自身もその頃は近寄りがたい存在だと思っていました。」
「へ、へえ‥」
オーラ‥ねぇ。
なんか想像つくかも。
:09/03/26 12:21 :P906i :T1.t4GZE
#777 [ちか]
「そもそも、私と恭くんが初めて言葉を交わしたのは、うちの父が主催したその年初等部に入学する子供を持つ友人と子供同士を祝うのパーティーの席でのことでした。」
「は、はあ‥」
なんか話それてきてる気が‥
:09/03/26 12:29 :P906i :T1.t4GZE
#778 [ちか]
――‥11年前
(語り:神楽)
そのパーティーで私は主催者の娘と言うこともあり皆さんの前でピアノを演奏することになったんですが…
なんせ騒ぎ事が大好きな父ですから、いらした方も多く、まだ6つだった私は直前になって逃げ出してしまったんです。
パーティー会場から出た私は闇雲に走って着いた場所に小さく踞(ウズクマ)り、泣いていました。
:09/03/26 12:41 :P906i :T1.t4GZE
#779 [ちか]
『神楽お嬢様?!』
『神楽お嬢様ーっ!!』
狭い部屋でしたし、私自身隅っこで小さくなって居たものですから、私を探しに来た人達も全く私も見つける気配はありませんでした。
それからだんだんと騒がしさがおさまってきた頃、ドアが開く音がしました。
:09/03/26 19:08 :P906i :T1.t4GZE
#780 [ちか]
靴音がして、誰かが部屋に入ってきたようでした
私は、怒られるのが怖くてただ小さく震えるだけ‥
やがて私の前でその靴音はピタリと止みました。
『かぐらちゃん?』
ふいに名前を呼ばれ、私は咄嗟に顔をあげました。
『やっぱりかぐらちゃんだ。』
そこに立っていたのが恭くんだったのです。
:09/03/26 19:15 :P906i :T1.t4GZE
#781 [ちか]
涙で歪んだ景色にぼんやりと恭くんの顔が浮かびました。
『なんで泣いてるの?』
恭くんはそう言って私の瞳に溜まった涙を拭ってくれました。
私は皆さんの前ピアノを弾くのに緊張して逃げ出してきたことを打ち明けました。
涙で言葉に詰まる私の話を、恭くんはただ静かに聞いてくれました。
:09/03/26 22:25 :P906i :T1.t4GZE
#782 [ちか]
『でも、かぐらちゃんが居なくなってみんな心配してたよ?』
恭くんの言う“心配”の2文字が私の幼心を罪悪感でいっぱいにしましたが、それでも私は皆さんの前に立つのが怖くて【いや、いや】と言わんばかりに首を横に振りました。
ですが、その時です。
『ん〜、じゃあぼくも一緒に弾いてあげる。』
『え‥?』
思ってもみなかった発言に私は潤んだ瞳を恭くんに向けました。
:09/03/26 22:50 :P906i :T1.t4GZE
#783 [ちか]
『2人なら大丈夫でしょ?』
私は小さくコクンと頷きました。
『じゃあ行こ。』
そう言って笑顔で手を差し伸べられた時、私は恋に落ちたのです。
あの時の笑顔はもう可愛いらしくて可愛いらしくて‥
:09/03/26 22:57 :P906i :T1.t4GZE
#784 [ちか]
「そうだったんですかぁ‥」
ほんのりと頬を紅くする神楽さん。
なんか自分の世界って感じ。
そんな神楽さんに適当な相槌を打つ俺。
内心は俺の知らない恭弥を知ってる神楽さんが羨ましくて、少し妬いていた。
でも、やっぱり話それてない?
:09/03/26 23:01 :P906i :T1.t4GZE
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