漆黒の夜に君と。[BL]
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#101 [ちか]
「あはは、やっぱり可愛い。」
「それも嬉しくないっ!!!」
「あはは」
「笑うなっ!!」
そんな言い合いを続けていると、
「恭弥様、もう少しで到着でございます。」
と運転手の人が言った。
:09/02/03 22:55 :P906i :Z2RBanbU
#102 [ちか]
そして数分後。
静かに車が停まった。
ガチャ
「行ってらっしゃいませ。」
「ありがとう。」
「それではまた帰りにお迎えにあがります。」
そう言って車は再び走っていった。
:09/02/03 22:58 :P906i :Z2RBanbU
#103 [ちか]
毎日こんな事してもらってたのかあ。
そりゃ、遅刻常習犯の俺が恭弥と会わないわけだ。
そんな事をぼんやり考えていると、
「じゃ、また帰りにね。」
と言って恭弥はスタスタと先に歩いていった。
:09/02/03 23:02 :P906i :Z2RBanbU
#104 [ちか]
ガラガラッ
教室を開けた途端、クラスメイトが俺に群がってきた。
(なになになに?!?!)
あっという間に囲まれてしまった。
:09/02/03 23:25 :P906i :Z2RBanbU
#105 [ちか]
「今、黒羽先輩の車から降りてきたよね?!」
「え、う、うん・・」
「やっぱり一緒に降りてきたのって日下君だったんだあ!!」
「まぁ・・」
「なんで一緒だったの?!」
「えっと・・、」
「「「なんで?!?!」」」
そんな一辺に答えれるかあああ!!!!
:09/02/03 23:33 :P906i :Z2RBanbU
#106 [ちか]
やっとの事で質問攻めから脱出し、自分の席に着く事が出来た。
「お疲れさーん」
「・・あぁ透か。ありがと。」
話かけてきたのは親友の蓮見透(ハスミトオル)。
「お前生徒会長と絡みあったっけ?」
「・・んー、まぁ..な。」
:09/02/03 23:37 :P906i :Z2RBanbU
#107 [ちか]
「へえー。人気者に関わると大変だねえ。」
「お前他人事(ヒトゴト)だと思って・・」
「だって他人事だし(笑)」
そう言って透は笑った。
「てかさあ、アイツってそんな人気者なの?」
:09/02/03 23:50 :P906i :Z2RBanbU
#108 [ちか]
「そりゃ、黒羽恭弥つったら人気人気。
あの頭脳(アタマ)にあの運動神経、しかも美形。
それで大金持ちのボンボンとくりゃあ、人気にならねーワケねえだろ(笑)」
「そーなんだ・・」
あんなド変態野郎のどこがいいんだか。
:09/02/03 23:55 :P906i :Z2RBanbU
#109 [ちか]
「HR始めんぞー。席つけー。」
そう言って担任が入ってきた。
いつにも増して長ったらしい担任の話。
(だりぃなあ。)
:09/02/04 00:00 :P906i :2CiSMaGI
#110 [ちか]
朝からいろいろあったせいか、疲れ果てた俺を睡魔が襲った。
授業なんて全く耳に入らない。
だいたい窓側の席で寝るなってのが無理な話だよ。
:09/02/04 00:02 :P906i :2CiSMaGI
#111 [ちか]
ふとグラウンドの方に目をやると、どっかのクラスが体育の授業中。
あの黒髪の長身野郎は・・
まさしくアイツ。
:09/02/04 00:07 :P906i :2CiSMaGI
#112 [ちか]
やっぱり一際目立っている。
そりゃあのルックスだもんな〜。
なんて思いながら見てると
(・・げっ、目合った!!)
向こうも俺に気づいたようだ。
:09/02/04 00:11 :P906i :2CiSMaGI
#113 [ちか]
(あっかんべー。)
なんて子供じみた事をしてみた。
すました顔のアイツがやけに気にくわなかったから。
・・が、アイツは特に表情を変える事もなく目をそらしてしまった。
無視か?!
いや、やっぱり俺に気づいてなかったのか・・?
相手にされなかったせいか急に恥ずかしくなった。
:09/02/04 00:16 :P906i :2CiSMaGI
#114 [ちか]
しかしそれは気のせいじゃなかった。
昼休み、5限目の教室移動の為廊下を歩いてると、向かい側から歩いてきたのはまたしてもアイツ。
今度は完全に目があった。
この距離ならそれくらい分かる。
・・なのにまたそらされた。
:09/02/04 00:22 :P906i :2CiSMaGI
#115 [ちか]
少し苛立った俺は、すれ違い際に
「なんでさっき無視したんだよ。」
と話しかけた。
しかしそれも無視。
これは明らかに無視だ。
聞こえてないはずがない。
なんらかの反応を期待してた俺は、驚いて振り返った。
:09/02/04 00:27 :P906i :2CiSMaGI
#116 [ちか]
アイツが通る度にみんな振り返る。
教師だって生徒だって、
みんなアイツをチヤホヤする。
そうだ。
俺の知ってるアイツは、
そう言う奴だった。
今朝まであんなに近かったはずの存在が、急に遠くに感じた。
:09/02/04 00:34 :P906i :2CiSMaGI
#117 [ちか]
よく考えてみれば、
俺とアイツが出会ったのは今年の春で、ちゃんとした言葉を交わしたのは昨日の夜が初めてで。
そんな俺がアイツの眼中にあるわけないよな。
振り返った先に居るアイツは誰かと優しい笑顔で話してる。
:09/02/04 17:17 :P906i :2CiSMaGI
#118 [ちか]
そんな光景を見た瞬間、
なぜか胸が軋んだ。
なんなんだろう、これは。
昨日知り合ったばかりの奴になんの感情を抱いているんだろう・・―
:09/02/04 17:20 :P906i :2CiSMaGI
#119 [ちか]
全身が熱くなった。
見たくないのに目はアイツを追ってしまう。
これじゃ、まるで・・――
:09/02/04 17:22 :P906i :2CiSMaGI
#120 [ちか]
キーンコーン
カーンコーン..
予鈴が鳴ってふと我に返った。
「あれ、冥?」
声の主は透。
:09/02/04 17:25 :P906i :2CiSMaGI
#121 [ちか]
「お前一人?」
「あ、うん。ちょっと担任に呼び出されてたから。」
「そっか。俺もちょっと部長と話しててさあ。
次移動だよな?一緒に行こーぜ。」
「うん..」
そう頷いてもう一度振り返る。
アイツはもう居なくなっていた。
:09/02/04 17:30 :P906i :2CiSMaGI
#122 [ちか]
「冥?どうかした?」
「・・いや、なんでもない。行こっ」
俺は何を気にしてるだ。
馬鹿みたいに。―――‥
_
:09/02/04 17:32 :P906i :2CiSMaGI
#123 [ちか]
俺は少し先にいる透にかけよって、早足でそこを去った。
早くこの場所から離れたくて。
この気持ちを忘れたくて。
―――――‥‥‥
―――――――――――
:09/02/04 17:36 :P906i :2CiSMaGI
#124 [ちか]
SHRが終わって帰る支度をする。
いつもなら水曜日は慌ただしく教室を出る筈なのに、店を辞めさせられた俺にはもうその必要はない。
『じゃ、また帰りにね。』
朝のアイツの言葉が蘇った。
:09/02/04 17:43 :P906i :2CiSMaGI
#125 [ちか]
今は会いたくない。
そう思いながら俺は机に顔を伏せた。
「はぁ・・」
口からは自然にため息が
零れる。
:09/02/04 17:50 :P906i :2CiSMaGI
#126 [ちか]
「帰んねーの?」
透が俺の顔を覗きこむようにして聞いた。
「ん、あ..いや帰るけど。」
帰るけど・・――、
どっちに帰ろうか。
:09/02/04 17:56 :P906i :2CiSMaGI
#127 [ちか]
「んじゃ、行くぞ。」
透はそう言って優しく笑うと、俺の頭をポンポンと叩いた。
きっと心配してるんだろう。
コイツ、昔っから俺が落ち込んでる時そうするから。
:09/02/04 18:01 :P906i :2CiSMaGI
#128 [ちか]
俺は思い腰を上げ、透と教室を出た。
「なあ、透ー。」
「なんだよ?」
「今日さ、お前ん家に泊めてくれない?」
「別にいいけど・・、なんで急に?」
「んー、今日は帰りたくないって言うか・・」
「ふーん。」
:09/02/04 18:26 :P906i :2CiSMaGI
#129 [ちか]
靴を履き替えて校門に向かった。
アイツの家に帰らなくて済む。
アイツに会わなくて済む。
そう思うと、少し気持ちが軽くなった。
しかしそんな時も束の間、俺の足は校門の前で止まった。
:09/02/04 18:36 :P906i :2CiSMaGI
#130 [ちか]
`
「遅い。」
ジャリ..と砂を鳴らして、
不機嫌そうに俺を見つめそう言うのは
俺が今一番会いたくない人。
:09/02/04 18:46 :P906i :2CiSMaGI
#131 [ちか]
なんでアイツが?!
もしかして待ってた?!
いきなりの出来事に俺は動揺を隠しきれず、言葉に詰まった。
「何分待ったと思ってるの?」
いつからかけていたのか、眼鏡をかけた顔がやけに色っぽい。
:09/02/04 21:42 :P906i :2CiSMaGI
#132 [ちか]
>>128訂正
思い腰
└→×
重い腰
└→○
すいません><
:09/02/04 21:44 :P906i :2CiSMaGI
#133 [ちか]
なんで怒ってんの?!
て言うか、待ってくれなんて頼んだ覚えはない!!
だいたいさっきまで無視だったくせに!!
言いたい事がありすぎて、余計に俺は言葉を詰まらせた。
「・・・君は?」
恭弥の視線が俺から隣へと移った。
:09/02/04 21:53 :P906i :2CiSMaGI
#134 [ちか]
「蓮見・・透って言います。」
透の声がやけに低くて、俺はチラリと横目で透を見た。
「ふうん・・。」
そう言って恭弥は上から下、下からまた上へと透を舐めるように見た。
2人の間に淀んだ空気が流れているような気がするのは、俺の勘違いだろうか・・
:09/02/04 21:59 :P906i :2CiSMaGI
#135 [ちか]
「コイツに用があるんですよね?俺帰るんで、遠慮せずにどうぞ。じゃあな、冥。」
「え、ちょっ・・透っ!!!?」
透は刺々(トゲトゲ)しく言い放つと、一度恭弥を睨んでスタスタと帰っていってしまった。
_
:09/02/04 22:04 :P906i :2CiSMaGI
#136 [ちか]
今の状況で俺を一人にしないでくれ!!(泣)
と言いたいけど、さっきよりもさらにすごい剣幕で怒っているコイツを目の前にしてそんな事言えるはずがない。
「・・・帰るよ。」
そう言って恭弥は俺の腕を掴んだ。
:09/02/04 22:23 :P906i :2CiSMaGI
#137 [ちか]
その力はすごく強くて、俺は咄嗟に恭弥の手をどけた。
なんなんだよ・・。
無視したり、
いきなり怒ったり..
勝手すぎるんだよ・・―っ
なぜかまた胸が軋んだ。
:09/02/04 22:29 :P906i :2CiSMaGI
#138 [ちか]
また身体が熱くなる。
さっきより胸が苦しくなる。
「―――・・・んで、」
「え?」
「なんでアンタはそう勝手なんだよっ!!!!」
俺は恭弥を睨みつけて言った。
突然の反論に驚いているのか恭弥は目を丸くしていた。
:09/02/04 22:40 :P906i :2CiSMaGI
#139 [ちか]
「無視したり、急に怒ったり・・・勝手すぎるんだよっ!!!」
一度込み上げて来た感情は止まる事をしらない。
「無視?なんの事?」
「とぼけんなよ!!
体育の時も廊下の時もっ・・――!!」
今さらとぼけるなんて酷いじゃん・・
そうやって俺をいい様に利用して・・・――っ
:09/02/04 23:02 :P906i :2CiSMaGI
#140 [ちか]
「ズルいんだよっ・・――!!」
そう言って俺は恭弥の胸を強く叩いた。
視界がぼんやりと滲んだ。
無視されてから一日中頭はコイツの事でいっぱいで。
苦しくて、辛くて。
これじゃまるで、
“片思い”でもしてるみたいだ‥‥――
:09/02/04 23:12 :P906i :2CiSMaGI
#141 [ちか]
言いたい事を吐き捨てるように言い終わると、俺は恭弥の顔を恐る恐る見た。
恭弥はまだ驚いた顔している。
が、すぐにその表情は笑顔へと変わった。
そして、
ひょいっ
:09/02/05 00:09 :P906i :3G19hwBE
#142 [ちか]
「わっ!?!?」
突然冥をお姫様抱っこのような形で抱き抱えた。
「思ったより軽いんだね。」
そう言って車に乗せると、「いつもより出来るだけ早く着くようにして。」と言い、車を出させた。
:09/02/05 00:13 :P906i :3G19hwBE
#143 [ちか]
っな・・・、
コイツまた強引にっ・・―
しかもお姫様抱っこって!!
俺がなんで怒ってるのか、まるで伝わってない!!
・・て言うか、絶対さっきより機嫌よくなってる!!!!
:09/02/05 00:30 :P906i :3G19hwBE
#144 [ちか]
(もう知らねーっ!!)
俺は心の中でそう叫んで、プイっと顔を窓の方に向けた。
沈黙の中、車は行きしなより3倍も4倍も早く黒羽家に着いた。
:09/02/05 00:38 :P906i :3G19hwBE
#145 [ちか]
家の前に着くと、恭弥は俺を引っ張り車から降りた。
「離せっ!!離せってば!!!!」
「・・・・・・。」
なんの応答もないまま、恭弥はただ俺を引っ張って歩いていく。
強く握られた手首が少し痛い。
:09/02/05 01:00 :P906i :3G19hwBE
#146 [ちか]
玄関でのメイドと執事の出迎えに見向きもせず、だだっ広い廊下を早歩きで通りすぎ、階段を上がって。
ガチャッ
着いたのには俺の部屋・・?
:09/02/05 01:00 :P906i :3G19hwBE
#147 [ちか]
>>146訂正
着いたのには
└→×
着いたのは
└→○
すいません
:09/02/05 01:12 :P906i :3G19hwBE
#148 [我輩は匿名である]
面白い
:09/02/05 08:02 :F703i :h2jki5C.
#149 [ちか]
:09/02/05 16:44 :P906i :3G19hwBE
#150 [ちか]
>>146恭弥は静かにドアを閉めると、掴んでいた手を強く引いて俺をベッドに座らせた。
「なんなんだよっ!!」
ドアの前に突っ立っている恭弥を睨みつけて言った。
:09/02/05 17:05 :P906i :3G19hwBE
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