漆黒の夜に君と。[BL]
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#721 [ちか]
大切 な 人 …―――
いつの間にか自然と体の震えは止まっていた。
抱かれている肩から恭弥の温もりが伝わってくる
なんて落ち着くんだろう
が、そのすぐ後から急に照れが込み上がってきて顔が赤くなっていくのを感じた。
:09/03/19 18:53 :P906i :mlPc9IaA
#722 [ちか]
「はっ離せ‥よ!//」
「やだ。」
そう言って満面の笑みを浮かべる。
やばい‥今一瞬クラッときた‥///
「ほ、ほ、本気…」
大きな瞳をさらに大きくして恭弥の言葉を繰り返す神楽さん。
そのか細い声に神楽さんの存在を思い出した俺はその声の先に慌てて目をやった。
:09/03/19 21:18 :P906i :mlPc9IaA
#723 [ちか]
相当なショックを受けてるらしい。
そりゃそうだろうな…
肩はさらに震えていた。
「きょ…う…くん…が‥ほ‥んき‥‥―――」
「か、神楽さん?!?!」
神楽さんはそのまま後ろに倒れこんでしまった。
:09/03/19 21:23 :P906i :mlPc9IaA
#724 [ちか]
「神楽さん?!神楽さん?!」
揺すっても起きない。
「暴れるの通り越して気絶しちゃったみたいだね。」
物珍しそうな目で神楽さんの顔を除きこむ恭弥。
「俺のせいだ…。」
俺のせいでこんなにショック受けて‥
:09/03/19 22:08 :P906i :mlPc9IaA
#725 [ちか]
:09/03/19 22:10 :P906i :mlPc9IaA
#726 [ちか]
「冥は責任感じすぎ。」
恭弥はそう言って眉間にシワを寄せていた。
「だ、だって‥‥」
って言うか、お前もちょっとは責任感じろよ!!!!
「別に僕達悪いことしてないんだから。そんなに1人で責任感じなくていいんだよ?」
至って平然とした顔で言ってのける恭弥。
:09/03/19 22:46 :P906i :mlPc9IaA
#727 [ちか]
そう言われて気持ちが軽くなった反面、あまりに堂々すぎるその態度に苛立ちも感じた。
でも、そうだよな‥
別に悪いことはしてないはず‥
嘘なんかついたって、いつかまた今日みたいにバレてしまう日が来るんだから、これで良かったんだよな…。
:09/03/19 22:48 :P906i :mlPc9IaA
#728 [ちか]
そのあと、俺と恭弥は気を失っている神楽さんを別の部屋に運んだ。
「じゃ、俺部屋戻るから。おやす…みぃ?!?!」
声が上擦ったのは恭弥に腕を強く引っ張られたから。
「あんな部屋(半壊状態)で寝れないでしょ。
僕の部屋おいで。」
:09/03/19 22:53 :P906i :mlPc9IaA
#729 [ちか]
そう言えばそうだった…
恭弥、こう言うところ優しいよな。
「ありが…、」
礼を言おうと振り返ったその時。
「さっきの続きしたいしね」
囁かれる甘く低い声。
「っな…!!///」
向けられる意地悪な笑顔
さっきの言葉は、やっぱり前言撤回!!!!
:09/03/19 23:01 :P906i :mlPc9IaA
#730 [ちか]
「まっまだプリント残ってるし!!!!///」
「明日の放課後までに僕がやっといてあげる。」
それはラッキー!
って違ーう!!(1人ツッコミ)
「や、でもっ!!
自分の力でやらなきゃ…」
「冥に拒否権はありません。」
そうやって妖艶な笑みを向けられたら最後。
この後、俺がどうなったかはご想像にお任せします‥///
:09/03/20 11:53 :P906i :ZLvEnrdE
#731 [ちか]
翌朝、目が覚めると目の前には恭弥の顔。
「★!?#@%$?!//」
「あ、今起こそうと思ったんだけど、」
心なしか恭弥の顔に『つまんない』と書いてあるように見えた。
俺は咄嗟に上体を起こした。
どうやって起こすつもりだったんだか知らないけど、顔近すぎっ!!!///
:09/03/20 12:13 :P906i :ZLvEnrdE
#732 [ちか]
「冥、顔真っ赤だよ?」
「き、気のせい気のせい!!///俺シャワー浴びてくるっ!!」
益々赤みを増す顔を適当に隠しながらバスルームに逃げ込んだ。
朝から心臓に悪いっつーの‥‥。
:09/03/20 21:53 :P906i :ZLvEnrdE
#733 [ちか]
それから着替えたあと、朝食を食べに1階に降りたけど神楽さんは一度も姿を見せなかった。
そして今、いつもの車に乗り込んで学校に向かってる。
「てかさぁ、…言っちゃってよかったの?」
「ん?何を?」
「か、神楽さんに‥俺達のこと。」
:09/03/20 21:59 :P906i :ZLvEnrdE
#734 [ちか]
小さくそう呟くと、恭弥は「あぁ。」と短く声を漏らした。
今思い出したかのように
「あぁ、って‥‥。
恭弥ってホントにマイペースだよなぁ。」
「そう?
まぁ、でも神楽なら大丈夫だよ。」
偉く余裕な態度。
どっからそんな自信湧いてくるんだ?
:09/03/20 22:07 :P906i :ZLvEnrdE
#735 [ちか]
「なんで?」
恭弥があまりに自信に満ち溢れた顔をしてるもんだから、俺は少し眉を寄せてそう聞いた。
すると、恭弥は俺の方を見て優しく微笑んでこう言った。
「神楽なら解ってくれるって信じてるからね。」
:09/03/20 22:24 :P906i :ZLvEnrdE
#736 [ちか]
恭弥のことだからまた、
「なんとなく。」とか、
「大丈夫そうだし。」とか
そんな適当なことを言うんだろうと思っていた俺は、予想外の答えに言葉を無くした。
その瞳は、本当にあの人を信じきっていて、これが幼馴染みの絆なのかな、なんて納得してしまった自分が居た。
:09/03/20 22:48 :P906i :ZLvEnrdE
#737 [ちか]
そのあと恭弥は
「あと、言っておいた方がそろそろ神楽も僕のこと諦めてくれるかなと思って。」
と付け足したから、ちょっと感動は薄れたけど。
まぁ、それも恭弥らしいよな。
:09/03/20 22:55 :P906i :ZLvEnrdE
#738 [ちか]
学校に着いて俺達はそれぞれの教室へと別れた。
何一つ変わらないいつもの教室。
いつもの友達。
私生活だいぶ変わった分、一番気を抜ける場所ってここなのかもな。
:09/03/21 13:44 :P906i :Meagy3sM
#739 [ちか]
そんなことをぼんやりと考えながら平和な1日が終わり、放課後になった
つまり、今からまた高橋先生の居残り。
あ、プリントはちゃんと自分でやったよ?
透に教えてもらいながらだけど。
1人ぽつんと座っていると、暫くして先生が入ってきた。
:09/03/21 22:06 :P906i :Meagy3sM
#740 [ちか]
「遅れて悪いな。」
そう言って先生は俺の前にイスを持ってくるとガタンと音をたてて座った。
「先生、俺このプリント全部解いたんですよ?この俺が。」
机の上の紙の束をぽんぽんと叩きながら得意気に話す俺。
「おっ、頑張ったな。
まぁ蓮見にでも見てもらったんだろうけど。」
全部お見通しってワケか
「…先生、一言多い。」
先生はその一言で俺の得意気な顔を一瞬にして曇らせた。
:09/03/22 14:25 :P906i :DXTf0Jxg
#741 [ちか]
俺の拗ねた態度を見て先生は、ははっと笑うと、プリントを自分の方に向けて目を通しだした。
「けっこう合ってるな。」
「ほんとに?さすが俺!」
「さすが蓮見じゃな「先生、うるさいですよー?」
なんだよ、蓮見蓮見って
俺だってちょっとは頑張ったっつーの。
:09/03/22 18:00 :P906i :DXTf0Jxg
#742 [ちか]
先生がプリントに目を通してる間、俺はそれを頬杖をつきながら見つめた。
地毛だか染めてんだか知らないけど焦げ茶色の短髪に、切れ長な目。
筋の通った高い鼻に薄い口の、高橋先生はいわゆるイケメン。
こりゃ女子から人気にもなるわな。
モテるの自覚してるところが恭弥に似てるかも。
「‥‥先生ってさ、彼女とか居るんですか?」
先生を見てるうちに、いつの間にかそんなことを口にしていた。
:09/03/22 18:07 :P906i :DXTf0Jxg
#743 [ちか]
案の定先生も突然の質問に驚いて目を丸くしていた。
「まさか男の生徒からそんな質問されると思ってなかったわ。」
そりゃそうだろうな。
先生の苦笑いに俺も苦笑いで返す。
「まぁ…居るけど。」
少し先生の頬が赤らんで見えた。
:09/03/22 18:49 :P906i :DXTf0Jxg
#744 [ちか]
「どんな人?どんな人?」
急かすように食いつく俺に、先生は暫く黙りこんだあと、
「かなり美人…。」
と言って、照れ隠しなのか片手で顔を隠した。
相当その彼女に惚れてるんだろうな、なんて思わせるほどに真っ赤な顔が微笑ましくて、ついニヤついてしまった。
:09/03/22 19:13 :P906i :DXTf0Jxg
#745 [ちか]
「へえ〜!中身は??」
赤くなる先生を面白がってさらに質問を続ける俺
「んー、俺なんかより全然頭良くて大人で…、」
先生より頭の良い美人な大人かー。
へえー。ふーん。
「って!!そんなこと聞いてる暇あったら単語覚えろっつってんだろーが!!」
「い゙たっ!!んな分厚いのんで普通頭叩く?!?!」
「黙って覚えろっつの。」
…やっぱこの人鬼だ。
:09/03/22 21:18 :P906i :DXTf0Jxg
#746 [ちか]
覚えろって言っても…
じんじんと痛む頭を擦りながらふいに窓の外へ目をやった。
梅雨時には珍しい快晴。
校門の方に目をやった時、ふと神楽さんのことを思い出した。
神楽さん、あの後大丈夫だったかな…?
:09/03/22 21:50 :P906i :DXTf0Jxg
#747 [ちか]
そこから、頭に浮かんでくるのは神楽さんと恭弥のことばかり。
昔からって言ってたけどいつからの仲なんだろ?
神楽さんは恭弥のどこを好きになったんだろ?
恭弥のこといつから好きだったんだろ…?
恭弥はなんであんな綺麗な人好きにならなかっ‥‥‥あ、破壊力のせいかな?
て言うか、
:09/03/22 21:55 :P906i :DXTf0Jxg
#748 [ちか]
:09/03/22 21:57 :P906i :DXTf0Jxg
#749 [ちか]
そう言えば、俺なんかのどこが良かったんだろう?
俺、バカだしガキだし、
顔だって童顔でカッコいいとは言えないし…
俺なんかよりカッコいい人も可愛い人もアイツの周りならいっぱい居るだろうし…家柄だって、俺、全然恭弥に相応しくないし…
あの夜、もし出逢ってなかったら恭弥は好きになってなかったのかな?
:09/03/22 22:20 :P906i :DXTf0Jxg
#750 [ちか]
そう考えた瞬間、胸の奥が苦しくなって無償に切なくなった。
今じゃこれが何故だかちゃんと解る。
だからこそ苦しいんだ。
いつか俺以外の人を見つけて、俺の手の届かないどこかに行ってしまいそうで。
「せんせー。」
「ん?」
呟きのように小さな声に、短い返事が返ってくる
その目は紙の束を見つめたまま。
:09/03/22 23:10 :P906i :DXTf0Jxg
#751 [ちか]
「もしもの話だけどさ…」
「なんだ?」
雑な返事。
「ほんとにもしもだよ?」
そう。これはあくまで“もしも”の話。
「だからなんだよ。」
なかなか本題に入ろうとしない俺に先生の返事も乱暴になる。
:09/03/22 23:18 :P906i :DXTf0Jxg
#752 [ちか]
「もし…先生の前に、どう考えても先生より彼女に相応しい男が現れたとしたら…」
「なんだソレ。ヤな話だな。」
先生はふっと小さく笑ってそう言った。
「まぁまぁ。それで、その男が先生の彼女を好きだって言い出したら…どうする?」
そう、これは今の俺の現状に似せた例え。
先生ならどうするかなって。
:09/03/22 23:27 :P906i :DXTf0Jxg
#753 [ちか]
俺が質問を投げ掛けたところで先生はやっとプリントから目を離し、俺の方へその目を移した。
「どうするって‥別にどうもしないだろ。」
「え?」
どんな答えが返ってくるだろうと半ば緊張していた俺に返された答えは、予想以上にあっさりしたモノだった。
その単純な答えに俺は思わず間の抜けた声をもらす。
:09/03/23 12:43 :P906i :O6X.h/Hk
#754 [ちか]
「‥なんで?落ち込んだり、焦ったり‥しないんですか?」
「そんなことしても疲れるだけだろ。」
その口振りに余裕さが窺える。
その余裕さゆえに俺の頭はさらに疑問で埋まってゆき、小首を傾げた。
そんな俺を見て先生はさらに言葉を続けた。
:09/03/23 12:49 :P906i :O6X.h/Hk
#755 [ちか]
「あのなぁ、その男が彼女に似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもないんだよ。
彼女が俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってことだろ?
ならそれでいいじゃねーか。
誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない。
考えるだけ無駄だ無駄。
俺、疲れることはしない主義だからな。」
そう言って先生は柔らかい笑みを見せた。
:09/03/23 17:26 :P906i :O6X.h/Hk
#756 [ちか]
『似合うか似合わないかなんて俺が決めることでも他人が決めることでもない』
『俺を選んでくれてるうちは、彼女にとっては俺が一番相応しいってこと』
『誰が出てこようが、本人の気持ちが俺に向いてるなら焦る必要も、負い目感じる必要もない』‥――
言葉の一つ一つが頭に染み込んでくる。
そうだ。恭弥はいつだって俺を見ててくれてる。
誰が出てこようがそれは変わらなかった。
悩む必要なんて無かったんだ、初めから。
:09/03/23 17:36 :P906i :O6X.h/Hk
#757 [ちか]
胸の締め付けがスッと解けていくのが分かった。
「先生、たまには良いこと言うんですね。」
「“たまには”ってのは余計だ。」
そう言って先生はまた俺にデコピンを食らわせようとする。
それを片手で掴む俺。
「同じ手はくらいません」
得意気にニッと笑ってみせる。
:09/03/23 17:46 :P906i :O6X.h/Hk
#758 [ちか]
手を離そうとしない俺に先生はムッとしたご様子。
しかしその顔はすぐに笑顔へと変わっていく。
ニヤリと笑うその顔は鬼と言うより悪魔だ。
「て言うか、なんだお前そう言う恋愛してんの?
ふーん。へえ〜。」
「べ、別にそれは関係な‥ッ///い゙って!!」
空いていた片手が否定しようとする俺に命中した
「甘いな日下。
手は二つあるんだよ。」
にっこり微笑む先生。
やられた‥‥。
:09/03/23 18:00 :P906i :O6X.h/Hk
#759 [knj]
メチャクチャいいですv(*^^*)/
感動しました(T_T)
続き頑張って下さい\(*^^*)/
応援してます(^∇^o)(o^∇^)
:09/03/23 19:49 :W61PT :134pqGpo
#760 [ちか]
>>759└→knjさま*
ありがとうございます!!
嬉しくて涙が(´;ω;`)
感動してもらえて、書いてる側としてもほんま嬉しい限りです*´∀`*
これからも楽しんでもらえるように一生懸命頑張りますっ★
:09/03/23 21:50 :P906i :O6X.h/Hk
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