漆黒の夜に君と。[BL]
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#784 [ちか]
「そうだったんですかぁ‥」

ほんのりと頬を紅くする神楽さん。
なんか自分の世界って感じ。
そんな神楽さんに適当な相槌を打つ俺。
内心は俺の知らない恭弥を知ってる神楽さんが羨ましくて、少し妬いていた。

でも、やっぱり話それてない?

⏰:09/03/26 23:01 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#785 [ちか]
「あ、すいません思い出していたらつい長々と…。話の続きを‥えーっと、あ!そうです、そうです!その頃から私はずっと恭くんだけを見てきました。
外見はもちろん、内面もお優しい恭くんは、それはもう俗に言う"モテモテ"でした。」

俺は相槌を打ち続けるものの、神楽さんに対する恭弥の態度を思い出しながら納得のいかないような顔をしていた。

だって内面もお優しいってさぁ…ねぇ?

⏰:09/03/26 23:09 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#786 [ちか]
そんな俺をよそに、マシンガン的なテンポで話を続ける神楽さん。

が、モテモテでしたと言ったあと一息ついてテンポは緩やかになった。

「ですが、恭くんはどんな美人が言い寄って来ようとも、見向きもしませんでした。…今まで一度も。
ですから、私もこの思いが受け入れて貰えなくても別に良かったのです。
恭くんに“特定の方”が現れなければ…それで良かったのです…。」

だんだんと悲しそうな顔をする神楽さんに俺は多少の罪悪感を覚えた。

⏰:09/03/26 23:56 📱:P906i 🆔:T1.t4GZE


#787 [ちか]
「ですが、昨日‥‥。
あんなに他人(ヒト)を愛しそうに見つめる恭くんは初めて見ました…。」

(それが俺なのか…)

俺はしゅんとする神楽さんをよそに内心すごく嬉しかった。
本当に恭弥は俺を好きで居てくれてるんだと確認出来て、嬉しかった。

ニヤけてしまいそうな顔がバレないように顔に力を入れていたその時。

神楽さんの俯いていた顔が勢いよくこちらへと向いた。

⏰:09/03/27 00:01 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#788 [ちか]
「冥さんっ!!!!!」

「へ、はぃッ?!?!」

俺を見つめる瞳に、もはやおっとりとした雰囲気の神楽さんは居なかった
その真剣な眼差しに俺は思わず怯(ヒル)んだ。
声まで上擦ってしまう始末。情けないよなぁ…。

なんてことを考えているうちに、神楽さんはずいずいと俺に近づいていた。

そしてこう言ったのだ。

⏰:09/03/27 00:07 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#789 [ちか]
「私と勝負してください!!」

勢いよく放たれた言葉に俺の頭は一時フリーズした。

―…しょ、しょ、
「勝負ッッ?!?!」

神楽さんの目は真剣そのもの。

「じょ、冗談じゃないです!!」

女の子(破壊力は最強だけど)と勝負なんてそんな…っ

「もちろんです!!私も冗談で申してる訳ではありません!!」

いや、そう言う意味じゃなくて!!!

⏰:09/03/27 00:24 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#790 [ちか]
だって、性別の壁ってもんがあるだろ?!

殴り合うようなことは男として絶対手あげられないし!!

逆に花嫁対決みたいな、料理とか掃除とか、そりゃあずっと一人暮らしだったから普通の男よりは全然出来るけど!!

こんな良いとこのお嬢様に敵うような腕前はない

どっちにしろ、答えは

「無理です!!!!」

に決まってる。

⏰:09/03/27 00:30 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#791 [ちか]
驚いて目を丸くする俺を見て、神楽さんはその真剣な眼差しで言う。

「ご心配は要りません。
どちらにも不利が無いよう勝負内容は考えさせて頂きましたから。
もう準備は全て整っております。
後は、この車が目的地に着くだけです!」

「えぇッ?!?!」

そう言えば、この車どこ向かってんの?!?!

⏰:09/03/27 00:35 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#792 [ちか]
気づいた時にはもう遅かった。
あの時、神楽さんの車に乗った瞬間からこの人の計画は始まっていたのだ

徐々にスピードを上げていく車。

「後は私にお任せください。」

そう言ってハンカチのような物を俺に当てた。

「っな!!!任せ‥ら‥れる‥わけ‥‥―――」

そこで俺の意識は途切れた。
最後に頭の中で浮かんだのはあの時の優里の、
『神楽姉には気を付けろ』と言う言葉だった‥‥―――

⏰:09/03/27 00:43 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


#793 [ちか]
――――‥‥

「………ん……?」

次に意識が戻った時、俺の視界には見慣れない景色が広がっていた。

「た…たみ?」

鼻の奥まで薫ってくる独特の匂い。
むくりと起き上がり、辺りを見渡してみる。
和風な装飾品が飾られた広い部屋。

何が何だか分からず、ぽけっとしているとやがて襖が静かに開いた。

⏰:09/03/27 14:06 📱:P906i 🆔:Kttm89gw


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