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#136 [なおみ]
亮「そこに、居眠り運転してたトラックが向かいから来て、正面衝突した。」
私はその場にへたりこんだ。
亮「公貴、ハンドル切った跡はあったらしいんだけど、少し遅かったのかな。」
亮の声も震えてた気がする。
亮「最初は助からないだろうって話でさ。俺ら病院に呼ばれたんだよ。」
私は息が荒くなってきた。
:12/08/07 00:24
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#137 [なおみ]
亮「それでこの間...。」
亮は何かを堪えるように黙った。
私は亮の言葉を待った。
亮「それでこの間、脳死って診断された。」
え?
その頃まだ世間は脳死に対して疎かったと思う。
私は恥ずかしながら、その頃、脳死とはどんなものかということすら知らなかった。
:12/08/07 08:28
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#138 [なおみ]
亮「脳死ってさ、知らないと思うんだけど、名前の通り脳が死んだことを意味しててさ。手足を動かすこともできないんだけど、呼吸も自分でできなくなるんだよ。」
私は亮の言葉を飲み込むことにいっぱいいっぱいだった。
亮「俺介護やってるから分かるんだけど脳死って、医者的には死んだことと同じだと思ってるんだよ。」
わけが分からなくて、泣けもしなかった。
助かるの?助からないの?
そんなことばっかり思ってた。
:12/08/07 08:46
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#139 [なおみ]
私「なんか...全然分かんないし、信じられない。ごめん...。」
亮はやっと口を開いた私に少し安心したような感じだった。
亮「まあ、当たり前だよ。俺もこんな説明偉そうにしてるけど、実は分かってない。」
私はまた黙り込んでしまった。
亮「なおみ、土曜は何もない?病院行けそう?」
私「うん...。」
亮「じゃあ、池袋に10時待ち合わせで!」
私は元気なく返事をした。
:12/08/07 21:58
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#140 [なおみ]
亮「あんま落ち込むなよ!脳死でも回復したって事例はあるらしいからさ。俺も夏樹も、その奇跡を待ってんだよ。」
私「ナツキ...?」
私は聞き覚えのない名前に反応した。
亮「ああ、夏樹って、公貴の奥さん。」
私は色んな思いが駆け巡った。
ただ、今の状況で夏樹さんを避けたいという気持ちは少しもなかった。
:12/08/07 22:10
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#141 [なおみ]
むしろ会いたい。
そんな気持ちだった。
あっという間に土曜になり、私は亮との待ち合わせ場所に少し早く着いた。
省吾には今日のことは嘘をついて出掛けてきた。
私はこの時も、今もこれからも、省吾にきみちゃんの話をするつもりはない。
省吾に余計な心配をかけたくない。
そんな気持ちからだった。
:12/08/07 22:18
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#142 [なおみ]
しばらくしたら、亮が到着した。
亮「お!久しぶり。雰囲気変わったな。あの頃のギャルギャルしさが抜けちゃって!大人な女性になった。」
亮は笑った。
亮はあの頃のままだった。
相変わらず塚本高史だった。
それから2人で30分くらい電車に乗った。
その間、私の空気を和ませようと、亮は色んな話をしてくれた。
私はそんな亮の優しさに泣きそうになった。
:12/08/07 22:25
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#143 [なおみ]
電車を降り、病院に向かう道中、亮は急にしゃべらなくなった。
きっと、私に気をつかいすぎて疲れたんだろう。
自分だって、重い空気のはずなのに。
私「夏樹さんてどんな人?」
今度は私から話しかけてみた。
亮「ん?ああ...。おもしろい奴だよ。ちょっと変わってるかな。大学時代からの知り合いでさ。」
私「ふうん。てか、あたしが行ってどんな繋がりって説明すればいいの?」
私は急に不安になった。
亮「うーん...。とりあえず夏樹と話してみろよ。」
亮は優しく笑った。
:12/08/07 22:41
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#144 [なおみ]
しばらく歩くと、病院に着いた。
大きくて、意外に人がいなかった。
裏口から入ったのか、小さな入口だった。
節電しているのか、薄暗く感じた。
私はこの時、初めて大きな病院に来た。
ドラマでの病院のイメージがあったから、もっと人がわんさかいて、明るくて、看護師さんたちが慌ただしくしてるものだと思ってた。
亮「公貴が病室移動してから俺も初めて来るんだよ。部屋番号聞いてくるな。」
亮は受付で質問していた。
:12/08/08 08:17
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#145 [なおみ]
待ってる間、まだ実感が湧かない自分に、戸惑った。
私はただ亮の背中を見つめてた。
亮はいそいそと戻ってきて、私を案内してくれた。
エレベータを降りたら、人がいくらかいた。
廊下がずーっと向こうまで続いていて、すごく長く感じた。
亮「ここだ。」
亮は一室の前で立ち止まり、ドアを開けた。
:12/08/08 08:39
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