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#143 [なおみ]
電車を降り、病院に向かう道中、亮は急にしゃべらなくなった。

きっと、私に気をつかいすぎて疲れたんだろう。
自分だって、重い空気のはずなのに。

私「夏樹さんてどんな人?」

今度は私から話しかけてみた。

亮「ん?ああ...。おもしろい奴だよ。ちょっと変わってるかな。大学時代からの知り合いでさ。」

私「ふうん。てか、あたしが行ってどんな繋がりって説明すればいいの?」

私は急に不安になった。

亮「うーん...。とりあえず夏樹と話してみろよ。」

亮は優しく笑った。

⏰:12/08/07 22:41 📱:Android 🆔:3SWE5aJ6


#144 [なおみ]
しばらく歩くと、病院に着いた。

大きくて、意外に人がいなかった。

裏口から入ったのか、小さな入口だった。
節電しているのか、薄暗く感じた。

私はこの時、初めて大きな病院に来た。
ドラマでの病院のイメージがあったから、もっと人がわんさかいて、明るくて、看護師さんたちが慌ただしくしてるものだと思ってた。

亮「公貴が病室移動してから俺も初めて来るんだよ。部屋番号聞いてくるな。」

亮は受付で質問していた。

⏰:12/08/08 08:17 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#145 [なおみ]
待ってる間、まだ実感が湧かない自分に、戸惑った。

私はただ亮の背中を見つめてた。

亮はいそいそと戻ってきて、私を案内してくれた。

エレベータを降りたら、人がいくらかいた。
廊下がずーっと向こうまで続いていて、すごく長く感じた。

亮「ここだ。」

亮は一室の前で立ち止まり、ドアを開けた。

⏰:12/08/08 08:39 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#146 [なおみ]
部屋に入った瞬間、きみちゃんの匂いがした。

私は急に切なくなった。

亮が部屋に入り、夏樹さんと何か話していた。
私は夏樹さんに挨拶もできずに、夏樹さんを見ることもできずに、ただ一点に集中していた。

部屋の奥のベッド。

頭に包帯をぐるぐる巻いていて、色々な機材が繋がれている人。

間違いなく、きみちゃんだった。

⏰:12/08/08 08:48 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#147 [なおみ]
私「きみちゃっ...」

私は思わずきみちゃんの両肩を掴んだ。

きみちゃんは眠っているようで、ただ繋がっている機械の音が響いていた。

私「や、きみちゃん!きみちゃん...!」

私は恐くて揺することはできなかったけど、何度も名前を呼んだ。

腫れ上がっている顔を見て、別人のような気もしたけど、紛れもなくきみちゃんで、これが現実なんだって実感した。

⏰:12/08/08 20:34 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#148 [なおみ]
泣きながらきみちゃんの名前を呼ぶ私を見て、亮も夏樹さんも泣いていた。

私は亮からきみちゃんのことを聞いたあと、脳死のことをちょっと調べてた。
内容は、亮が言ってた通りだった。

回復する事例は奇跡的なこと。

その回復したっていう事例だって、脳死って誤診だったんではないかって書き方もちらほらあった。

セカンドオピニオンを受けるとか、色々まだやれることはある。
けど、私は赤の他人だってこと。

奥さんでもなければ、親戚でもない。

私がとやかく口出しできる立場じゃないってこと。

そんなやるせない気持ちでいっぱいだった。

⏰:12/08/08 20:51 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#149 [なおみ]
私がいつまでもきみちゃんの手を握って泣いている状態を見て、亮が椅子を持ってきてくれた。

亮「なおみ...。」

私は立てなかった。
それを分かって、亮が私を持ち上げて座らせた。

ティッシュで私のぐちゃぐちゃになった顔を拭いてくれた。

その光景が、お別れをしたときのきみちゃんの姿と重なって、また泣けた。

⏰:12/08/08 20:58 📱:Android 🆔:qJLOHZs6


#150 [なおみ]
私「うっ...」

私はまた泣き出した。
亮はそんな私を抱き締めてくれた。

亮「泣くな泣くな。公貴の前では笑ってろ。」

私は亮のその言葉に余計泣いた。

夏樹さんがお茶を買ってきてくれた。

夏「なおみちゃん?初めまして。公貴の妻の夏樹です。」

夏樹さんはしゃがんで、お茶を渡してくれた。

⏰:12/08/09 10:06 📱:Android 🆔:GbTiD2/k


#151 [なおみ]
私「初めまして...。すみません、なんか、あたし...こんな...。」

夏樹さんは少し笑って私を撫でた。

夏「ありがとう、公貴のためにそんなに泣いてくれて。」

夏樹さんは、線が細くて、大人な女性って感じだった。
イメージと少し違った。

夏「公貴もね、きっと喜んでる。」

眠っているようなきみちゃんを、夏樹さんは見つめてた。

⏰:12/08/09 10:13 📱:Android 🆔:GbTiD2/k


#152 [なおみ]
夏「亮にね、なおみちゃんを呼んでって言ったのは私なの。」

私「え...?」

私は亮の顔を見た。
亮も私を見つめ返した。

夏「公貴が危篤状態のとき、公貴の携帯から色んな人に連絡取ったの。そしたら、なおみちゃんのメールを見て。」

私はそのときまっすぐ夏樹さんを見ることができなかった。

夏「最初は、哀しみしかなかった。」

私は俯いた。

⏰:12/08/09 10:34 📱:Android 🆔:GbTiD2/k


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