私が恋をしたのは……恋しちゃいけない人でした……
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#1 [知慧]
あたしは、小さい頃からずっと、男の人の声が聞こえている。
この声の持ち主は誰なんだろう…??
いつしかあたしは、この声に恋をしていた。
きっと、この声の持ち主が、あたしの王子様なんだ…。
:13/03/13 14:22
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#2 [知慧]
「あ〜!テスト超ヤバかったしっ♪♪」
最後の試験を終えて、帰り支度をしているあたしの席に、友達のマナとカナがやってきた。
「ちょっと〜チエ!その顔はテストてごたえアリって感じじゃないのぉ??」
「まあ、ね♪」
「いいな〜!カナなんて、汚職事件をお食事券って書いちゃったよ〜ヤバス♪」
あたしは、勉強はそこそこできる、ごくごく普通の女の子だ。
:13/03/13 14:23
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:4U/7YS1Y
#3 [知慧]
普通の子のあたしに比べて、マナとカナはちょっぴり不良だ。
マナは、援助交際とかしちゃってる。ブランド品が大好きだから、お金が欲しいらしい。
カナは、少し前までキャバクラでバイトしてたんだけど、最近やめた。客だったおじさんと付き合うようになったからだ。ちなみに不倫。
そんな二人と、どうして友達なのか、マジで不思議。ケータイ小説だからかなぁ??
「テストも終わったことだし、街にナンパされにいこーよっ♪」
「そんな、ナンパ
:13/03/13 14:24
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#4 [知慧]
「もぉ〜、チエは相変わらず純粋だなぁ!」
「チエには、運命の王子様がいるんだもんね〜♪」
マナがニヤニヤ笑いながらからかった。
「ちょっと、ちょっとちょっと!その話はナイショだって言ったでしょっ!」
「え〜ナニナニ、なんなのよぉ!カナだけ仲間外れなんてズルイ〜」
結局、カナにも例の「声」のことを話した。
バカにされるかと思ったけど、カナは感動したみたいだった。
:13/03/13 14:24
:iPhone
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#5 [知慧]
「感動したっ!!運命の相手ってカンジ♪カナもね、今の彼氏は運命の相手だと…」
「あ〜はいはい。あんたには何人運命の相手がいるのよ(笑)」
「あははっ。じゃあ、あたしは先に帰るね。ばいばい♪」
二人は街で寄り道をしてくというので、あたしは先に帰ることにした。
帰り道、あたしが高架下を歩いていると、目の前にガラの悪そうな男たちが立ちふさがった。
:13/03/13 14:25
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#6 [知慧]
「カ〜ノジョ♪今ヒマ??俺たちと一緒に遊ばな〜い?」
「暇じゃないです…やめてくださいっ」
あたしはいつの間にか、まわりを囲まれていた。
どうしよう…。
誰か、誰か助けてっ!!!
「何やってんだよ、おまえら」
!?
この声は…。
:13/03/13 14:26
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#7 [知慧]
声のした方を振り返ると、そこには金髪の男の子が立っていた。
見た目は、学ランの下に赤いトレーナーを着ていて、派手目なベルトに腰パンで、いかにもワルって感じ。
「テメーは…!!」
「「××高校の、ジュン!!」」
「その通りだ!!」
やっぱり!
彼の声は、あたしがずっと聞こえていた、あの声とそっくり…いや、あの声そのものだったのだ。
彼は、不良集団をあっという間にガッシボコにしてしまった。
:13/03/13 14:27
:iPhone
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#8 [知慧]
「…ありがとう…」
あたしは、彼にハンカチを差し出しながらお礼を言った。
彼の口端から、血が流れていた。
「別に…おまえを助けようと思ったんじゃねーよ。このクズ共が気に入らねーから…」
彼は服の袖で乱暴に血をぬぐうと、くるっと背を向けて立ち去ろうとした。
「待って…!!」
あたしは、思わず彼を呼び止めていた。
:13/03/13 14:28
:iPhone
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#9 [知慧]
「あたし、チエ!ジュン君にどうしてもお礼がしたいの!何でも言って?あたし、なんでもする?」
あたしは勢いよくまくし立てた。
「…マジで、、なんでもするんだな?」
「うん!」
「じゃあ、ウチ来いよ」
「…うん」
あたし、勢いあまって、とんでもないことを言っちゃったみたい…!
でも、彼…ジュンなら…。
:13/03/13 14:29
:iPhone
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#10 [知慧]
「ここが俺の家…」
着いたのは、お世辞にもキレイとは言えない、小さなアパートだった。
「おじゃまします…」
ジュンの後に続いて部屋の中へ入る。
部屋の中はかなり汚くて、男の人の部屋って感じ。
「一人で住んでるの??」
「あぁ…」
「ご両親は?」
あたしがそう訪ねると、ジュンは顔を曇らせた。
:13/03/13 14:30
:iPhone
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#11 [知慧]
あたしは、しまった!と思った。
「ゴメン!!聞かれたくないことだって、あるよね…」
「別に…親父は、俺が生まれる前に癌で死んだんだ」
「え…」
あまりの衝撃に、あたしは声が出なかった。
「母親は、小説みたいなのを書く人で…俺のことなんかどうでもいいんだよ。
昔、小説みたいなので荒稼ぎして金はあるみたいだから、こうして金はくれるけどな…」
:13/03/13 14:31
:iPhone
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#12 [知慧]
「なんでおまえが泣くんだよ(笑)俺は別に、気にしちゃいねーし」
「ご、ごめんなさい…なんでだろう…えへへっ」
あたしは、涙をぬぐって笑顔を作った。
ジュンは、こんなに切ナイ人生なのに、強くたくましく生きている…。
あたしも、泣いてないで笑わなくちゃ!!
「…さて、なんでも言うこと聞くんだったよな?」
「うんっ!ジュンのためなら、なんでもするよ♪♪」
マジでそう思えた。
ジュンになら、あたしの全てを、カラダをあげてもいい―――
:13/03/13 14:32
:iPhone
:4U/7YS1Y
#13 [知慧]
❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄
誰か読んでくれてますか❓😅
❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄❄
:13/03/13 14:37
:iPhone
:4U/7YS1Y
#14 [通りすがり]
読んでますよ❤️
:13/03/13 14:39
:iPhone
:4U/7YS1Y
#15 [知慧]
通りすがりさんありがとぅ🎶✨
❄❄❄❄❄
ジュンの要求は、手料理だった。
ぶっちゃけあたしは、ジュンはエッチを要求してくると思ってた。
でも、ジュンはそんな人じゃなかった。
やっぱり、あたしの王子様だ!!
「すげぇ…いただきます」
「どうぞ♪」
ジュンはビーフストロガノフに手を伸ばし、口に運んだ。
:13/03/13 14:40
:iPhone
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#16 [知慧]
ジュンはすっごい笑顔で笑った。
なんか、あたしまで笑顔になっちゃうよ。
「よかったぁ…あ〜!!あたしも超お腹すいたしっ♪♪いっただきまーす!」
私もお箸を手にとり、ヘルシーな春雨スープをすすった。
「チエ…」
ドキン。
あの声が、ジュンの声が、あたしの名前を呼んだ。
ジュンと、見つめ合う。
「な、何…??」
「…サンキュー。」
そう言って、ジュンはあたしを抱き締めた。
あたしの心臓は、うるさいくらいに鳴っていた。
「あたし…ジュンが好き。愛してる…」
「チエ…」
あたしたちはその夜
:13/03/13 14:42
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#17 [知慧]
「やっほー、チエ!なんか最近ご機嫌じゃん??」
マナがあたしの席に寄ってきて、鼻歌を歌うあたしを見てそう言った。
「フッフッフ。ついに見つけちゃったんだよねー、チエ♪♪」
「カナったらぁ〜、あんまり言いふらさないでよぉ!!」
「え〜、ナニナニ?!ちょっとぉ、マナにも教えなさいよっ!!」
あたしは、ジュンとのことを話した。
ジュンは偶然にもあたしたちと同じ学校だったから、二人はちょっと驚いたみたい。
:13/03/13 14:42
:iPhone
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#18 [知慧]
「ジュンって、あの3‐Bのジュン??」
「ねっ、やっぱマナも驚くでしょ!意外だよね〜、純情なチエがあんな不良となんて!」
ジュンは、学校ではかなり有名な不良だったみたい。
あんまり学校には来てなかったみたいだし、そういうことに疎いあたしは、全然知らなかった。
「でも、よかったね♪声の主が見つかって」
「あ〜あ、カナも運命的な恋がしたぁ〜い!!」
知られるのはなんだか少し恥ずかしかったけど、そんなことは気にならなかった。
あたしは、すっかりジュンに夢中だった。
:13/03/13 14:43
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#19 [知慧]
ジュンにご馳走を作ってあげようと、スーパーに買い出しに行ったていたら、あたりはすっかり暗くなっていた。
あたしはジュンのアパートに走った。
「きゃっ!ごめんなさい!」
角を曲がったところで、あたしは誰かにぶつかって尻餅をついた。
顔をあげると、見知らぬ数人の男が立っていた。
「あ…すいません。あたし…」
「大丈夫?ケガはない?」
ぶつかった男の人が、手を差し出してくれた。
:13/03/13 17:38
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#20 [知慧]
「あ、ありがとうございます…」
あたしがその手を取ろうとしたら、いきなりグイッと手を強く掴まれた。
「痛っ!!」
「悪く思わないでねチエちゃん♪」
なにか布のようなものを口の中に押し込まれて、喋れなくなってしまう。
あたしは男たちに体を押さえつけられ、近くに停めてあったワゴン車に引きずりこまれてしまった。
何これ…!?
怖い、怖いよぉ…!!
あたしは、男たちにレイプされた。
:13/03/13 17:39
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#21 [知慧]
ピーンポーン
ガチャッ
「チエ?遅かったな……?」
ジュンは、玄関に立つあたしの姿を見て呆然とした。
あたしは、髪や服は乱れ、血や精液で汚れていて、ひどい格好だったのだ。
「どうしたんだよ!?とりあえず、中入れよ」
あたしは、ジュンに言われるままにフラフラと部屋の中に入った。
深く傷ついたあたしは、ショックで声も出なくなっていた。
「ほら、これでも飲んで落ち着け」
ジュンは、あったかいミルクをいれてくれた。
:13/03/13 17:42
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#22 [知慧]
ミルクを一口飲むと、安心したのかポロポロと涙が流れてくる。
ドンッ!
ジュンが、机に拳を叩きつけた。
「クッソ…!!一体、誰がこんなこと…!!」
ジュンは、一緒に泣いてくれた。
守れなくってゴメンって、何度も何度も謝った。
「謝らなくていいから…その代わり…」
あたしは、ジュンにそっとキスをした。
:13/03/13 17:43
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#23 [知慧]
「ねぇ、ジュン…あたしのカラダを、ジュンでキレイにして…」
「チエ…」
「お願い…」
ジュンは、何度も何度もあたしを抱いてくれた。
いつになく、ジュンは激しくあたしを抱いた。
「ああっ!やっ…ジュン、もっとぉ…!アッー!ジュン、もっジュン、もっとぉ…!アッー!とジュン、あああ…もっとぉ…!やアッジュン、もっとぉ…!やアッジュン、あああ…もっとぉ…ー!ぉ…!やアッー!」
「チエ…!」
いまわしいあの出来事を、忘れさせるように、何度も…。
:13/03/13 17:45
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#24 [知慧]
次の日、あたしは学校へ行った。
「チーエちゃん♪昨日は楽しかったぁ??」
下駄箱で、マナがニヤニヤと笑いながら近づいてきた。後ろにはカナもいる。
「マナカナ…楽しかったって…?」
「じゃーん♪♪」
マナが見せてきたのは、あたしがレイプされている写真だった。
「!!!なんでそれ…!!」
「だってぇ、これ撮らせたのマナだもーん」
お約束の通り、真の犯人はあたしの友達のはずのマナだったのだ。
:13/03/13 17:46
:iPhone
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#25 [知慧]
「どうして!?あたしたち、トモダチでしょ!?なんでそんな…」
「トモダチ?トモダチが、トモダチのカレシ奪っちゃダメでしょー?」
「は…?」
マナの言っていることが、まったく理解できなかった。
「何言って…」
「この裏切り者!!純情に見せかけて、ほんとは男好きのビッチだったんでしょ!?」
カナまでもが、あたしに罵倒を浴びせる。
「マナの彼氏盗ったんだもん、これくらい当然よねぇ??」
:13/03/13 17:46
:iPhone
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#26 [知慧]
「待ってよ!あたしは、マナの彼氏なんて知らないし、そんなことしない!!」
「とぼける気?カレシが自分で言ったんだから!!」
「信じてよ…!」
「うるさい!!」
あたしは、女子トイレに連れ込まれた。
ホースで水をかけられ、汚いモップで顔をつつかれる。
過酷ないじめの始まりだった。
チャイムが鳴って、やっとあたしはモップ地獄から解放された。
マナは去り際、あたしにこう言った。
「あんたはマナのおもちゃなんだから」
:13/03/13 17:47
:iPhone
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#27 [知慧]
びしょ濡れのこんな姿じゃ、とても教室には行けなくて、あたしはなんとなく屋上へ向かった。
ガチャッ
屋上の扉を開けると、そこには大の字になって寝転ぶジュンがいた。
「ジュン…」
「チエ…おまえ、その格好…」
かくかくしかじかと理由を説明すると、ジュンは着ていた学ランをあたしの肩にかけてくれた。
その温かさに、あたしはまたジュンに甘えてしまう。
「ジュン…あたしには、もうジュンしかないの…」
「チエ…俺は同じ学校なのに何もできないけど、慰めることくらいならしてやれるから」
「じゃあ、今ここで、あたしを慰めて…」
あたしたちはまた愛し合った。
:13/03/13 17:47
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#28 [知慧]
そんな過酷な学校ライフでも、ジュンがいる。
ジュンが慰めてくれたから、あたしは耐えれた。
あたしには、ジュンさえいればいい…。
ジュンが、ずっとずっと、あたしを守ってくれる…。
でも、それは間違いだった。
:13/03/13 17:48
:iPhone
:4U/7YS1Y
#29 [知慧]
「チエ、俺と別れてくれ…」
あたしは、その言葉をすぐには理解できなかった。
ううん、理解したくなかったのかもしれない。
「え?俺と和歌詠んでくれ??」
「違う!俺と…別れてくれ」
「え…!?」
信じれなかった。
だって、あたしたちはラブラブで、順調で…。
どうして急に!?
「どうしてそんなこというの!?あたし何か悪いことした!?」
「もう、うんざりなんだよ!!」
すがるあたしの手を、ジュンは振り払った。
:13/03/13 17:49
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:4U/7YS1Y
#30 [知慧]
嫌…嫌だ嫌だ!!
ジュンと別れるなんて、絶対嫌だ!!
「嫌だよっ!!悪いところがあるなら直すから、だから…」
「そういうところがウゼーんだよ!!」
あたしの目から、涙がこぼれた。
「重いんだよ。セックスも大したことねーし…それに、俺、他に女いるから」
ウソ…。
ウソデショ…?
「そういうわけだから…もう俺の前から消えてくれ」
ジュンは立ち去った。
:13/03/13 17:50
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#31 [知慧]
ジュンは、絶対に運命の王子様だと思っていたのに…。
別れた後も、私を呼ぶあの声は聞こえてるんだよ…?
もう、生きていてもしょうがない。
いつからかあたしは、リストカットをするようになっていた。
リスカの痕は、あたしの心の傷そのものだ。
今日も、あたしは神社の石段に座って、リスカをしていた。
いつも持ち歩いているカッターを手首に当て、軽く引く。
「待てって…!」
:13/03/13 17:51
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#32 [知慧]
後ろから声がして、あたしは振り向いた。
そこには男の人が一人たっていた。
「なによ…あんたには関係ないじゃない!」
「命を、粗末にすんな」
彼は、あたしの目を真っ直ぐ見ながら言った。
「…あんたに何がわかるのよ!?誰にもあたしのキモチなんてわからない!!」
あたしは興奮して、カッターを彼に投げつけた。
「いっ…!!」
それは彼の手に当たり、彼は手を押さえてうずくまった。
地面に、ポタポタと血が落ちた。
:13/03/13 17:51
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#33 [知慧]
あたしは我に返って、彼に駆け寄った。
「ごめんなさい…!あたし、あたし…」
「いえ…ダイジョブです。…でも、」
彼はカッターを拾って、立ち上がる。
「これは、ボクが預かります…」
そう言って、はにかんだ。
:13/03/13 17:53
:iPhone
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#34 [知慧]
「あなた、名前は??」
「…パク、です…」
あたしは濡らしたハンカチで、彼の傷口をそっと押さえた。
「はい…ボク…在日なんです」
それからあたしたちは、自分のことをたくさん話した。
パクは、いわゆる在日韓国人で、朝鮮学校に通う高校生らしい。
パクは、在日という理由で差別を受けていることをあたしに話した。
それを話すパクの顔は、どこか悲しそうで…。
心に深い傷をおっているように思った。
あたしと同じ、心に傷がある…。
守ってあげたい。
あたしは、初めて、男の人を守ってあげたいと思った。
「パク…辛かったね」
「チエさん…」
あたしは、パクをそっと包み込むように抱き締めた。壊れちゃいそうだったから。
:13/03/13 17:55
:iPhone
:4U/7YS1Y
#35 [知慧]
これが、愛するということなのかな??
…ジュンも、同じように愛することができたら…結果は違っていたのかな??
ううん…ジュンのことを考えるのはもうやめよう…。
あたしとパクは、それから、付き合うことにした。
:13/03/13 17:56
:iPhone
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#36 [知慧]
「パクー!お弁当作ってきたよっ♪」
あたしとパクは順調だった。
あの声はいまだに聞こえているし、パクの声はその声と全然違うけど、あたしはパクを愛していた。
「おいしそうだね」
「おいしいよ♪」
弁当を食べるパクを見るのが、何よりも幸せだった。
そういえば、いじめは終わった。
あたしが彼氏を盗ったというのは、マナの勘違いということが分かったのだ。
あたしたちはトモダチに戻った。
:13/03/13 17:57
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#37 [知慧]
『ねぇねぇ、私見ちゃったんだけどさー』
学校帰り、パクのバイト先のキムチ屋へ行こうと、下駄箱で急いで上靴を脱いでいる時だった。
こっちに歩いてくる女子高生が、大声で喋っているのが聞こえた。
『入院してるおじいちゃんのお見舞に行ったんだけどさ、そこの病院に、あのジュンがいたの!!』
:13/03/13 17:58
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#38 [知慧]
『なんかすっごい痩せちゃってさ、ニット帽とかかぶっちゃって…あれはかなりの重病だね!!』
ジュンが…?
あたしは無意識に、その女子高生に飛び付いていた。
「それホント?!」
『な、何?』
あたしは頭が真っ白になって、ガクガクとその女子高生を揺さぶる。
「ジュンが病気って…ホントなの!?」
『ちょっと落ち着いて…!見ただけだからわかんないけど、相当具合悪そうだったよ
「病院名教えて!!」
『北××病院だけど…』
「ありがとう!!」
あたしは病院に向かって走っていた。
:13/03/13 18:00
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#39 [知慧]
ガラッ
「ジュン!!!」
あたしは、ジュンの入院している病室の扉を勢いよく開けた。
ジュンの部屋の位置が分かったのは、愛の力とかなんかそんな感じだと思う。
「チエ…!!」
ジュンはすっかり変わり果てた痛々しい姿で、そこにいた。
でも、声だけは変わってない…。
「ジュン…!いつから、いつからこんな…!?」
「チエ…バレちまったか…」
ジュンは力なく笑った。
:13/03/13 18:00
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:4U/7YS1Y
#40 [知慧]
「…チエには…こんな弱った俺の姿、見られたくなかったぜ…」
ジュンは、ゆっくりとベットから上半身を起こしてあたしを見つめた。
「何の…病気なの…?」
「…癌、だってさ…笑っちゃうだろ?」
「癌って…そんな…」
その病名に、あたしは頭を殴られたような耐え難い衝撃を受けた。
「悪性?良性??治療方法は!?摘出?抗がん剤?放射線治療!?」
「そこまで詳しく決めてないよ…」
:13/03/13 18:01
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:4U/7YS1Y
#41 [知慧]
まくし立てるあたしを黙らせるかのように、ジュンはかぶっていたニット帽を外した。
言葉を失った。
そう、ジュンの頭はツルツルだったのだ。
「カッコ悪いだろ?」
「そんな…そんなことないよっ!!」
あたしはジュンに抱きついた。
「やっぱり、あたし、ジュンのことがだいすきだよ!!」
「チエ…
:13/03/13 18:02
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#42 [知慧]
いったん落ちます
:13/03/13 19:37
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:4U/7YS1Y
#43 [知慧]
日に日に弱っていくジュンを見るのは辛かったけど、できるだけ一緒にいたかったから…。
あたしたちは、精一杯生きていた。
ジュンの声を、耳に焼き付けた。
パクとはそれから別れた。 最後まで優しかった。
ある晩、ジュンは血を吐いた。
「ジュン!!お医者さん、お医者さん呼ばなきゃ…!!」
:13/03/14 10:50
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#44 [知慧]
でも、それはジュンに止められた。
「…やめてくれ!」
「でも!!」
「どうせ俺はもう長くない…だから、最後に…チエと、あのアパートで…」
ジュンの、最後のお願いだった。
あたしはどうしても叶えてあげたかった。
あたしたちは、この狭い病室から抜け出した。
:13/03/14 10:51
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:1Gn0nMEo
#45 [知慧]
誰の目から見ても病人なジュンを連れ出すのは容易ではなかったけど。
そして、あたしたちはジュンのアパートにたどり着いた。
「なんか、なつかしいね…」
ちょっと来てなかっただけなのに、そこはなんだかなつかしかった。
あたしたちが別れる前の、ジュンが癌になる前のまま…。
「また…手料理作ってくれよ…ビーフストロガノフ…」
:13/03/14 10:53
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:1Gn0nMEo
#46 [知慧]
いったん落ちます❄
:13/03/15 15:01
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