○最後の四季○
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#30 [ゆり]
「まじなんもないよ?!」
笑いながら
隼人が焦る。

「わかったよ」
いつも通りの
あたし。

「も〜…怒らんでよー」

「…」

一気にウーロン茶を
飲み干して
席を立った。
 

⏰:06/08/31 20:54 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#31 [ゆり]
「行こ!」

気にしてない
そぶりは出来ても

笑顔で許せる程
かっこよくは
なれない。


「ゆり待ってよ〜」

隼人は膨れっ面で
あたしの手を取る。

振り払いたいけど
我慢我慢。
 

⏰:06/08/31 21:22 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#32 [ゆり]
「あたしも服見る〜ッ」

「うん♪
あっちの方
ゆりの好きそーな店
いっぱいあったよ!」

「じゃ-連れてって☆」

隼人は嬉しそうに
本当に嬉しそうに
笑って

あたしの肩を抱いて
歩き出した。
 

⏰:06/08/31 21:23 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#33 [ゆり]
この日は青い空が
果てしなく広がっていて

暑い夏の
日差しも強くて


隼人はあたしの日焼けを
気にしてくれていたね。

日影を探して歩いてくれたり

大きな手で
日が当たらない様にしてくれたり。
 

⏰:06/08/31 21:28 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#34 [ゆり]
そんな
無条件の優しさは

もういらないから


信用だけは
壊さないで
欲しかった。


あたしはあんたと
一緒に居られたら

それだけで
幸せだったんだよ。
 

⏰:06/08/31 21:29 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#35 [ゆり]
あたしの買い物を済ませて
アウトレットを出た。


帰り道の途中
洋食屋さんで夕飯を食べていた時

なにがどうなってかは忘れたけど

隼人が他の女の子と
メールしてたのが発覚。
 

⏰:06/08/31 22:01 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#36 [ゆり]
隼人の口から
メ-ルしてた事を
リアルに聞いた時は
マジでショックだった。

わかってはいたけど
あくまで妄想だったから

現実って
痛いな。
 

⏰:06/08/31 22:06 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#37 [ゆり]
あたしは
「うーわ」
って言った。


笑い飛ばしたかった。

そんな気持ちとは真逆に
涙が込み上げてきた。

堪えたけど。
 

⏰:06/08/31 22:08 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#38 [ゆり]
「あ〜
泣きそうだわ、ほんと。」


軽く笑いながら
目に溜まる涙を押さえた。


「でも俺にゆりがおるのは
向こうも知ってるし
なんもないよ?!」
 

⏰:06/08/31 22:10 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#39 [ゆり]
ハイハイ。
でもあんたさ
アド変した時ゆったじゃん。

ゆりと
家族と
学校の奴にしか
教えてないよ
って。

女の子と
メールなんて
してない
って。

なんもないなら
なんで
嘘ついちゃった?

上手い言い訳で
納得させてよ。
お願いだから。
 

⏰:06/08/31 22:12 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#40 [ゆり]
「あたしはさぁ…
メモリに女の子がいるとか
メールしてる子がいるとか
そーゆうのはいいんだよ。
言ってくれれば。
嘘つかれてた事が
悲しいだけ。」


食べかけの
オムライス。

このお店にも
二人で
よく来たよね。
 

⏰:06/08/31 22:15 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#41 [ゆり]
あたしが絶対
中途半端に残すのを
お腹いっぱいなのに
食べてくれたよね。


その後すぐ
お腹痛いとか
言い出して
毎回あたしが背中あっためたんだ。


そんな優しくて
情けないとこに
呆れてたけど

大好きだった。
 

⏰:06/08/31 22:17 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#42 [ゆり]
「嘘って言うけど
頻繁にメールしてる訳じゃないじゃん!
そりゃ毎日なら浮気にもなるけど…
俺はゆりだけだし」


「…もういいよ」


どうせあんたは
「こんな事くらい」って
思ってるんでしょ?
 

⏰:06/08/31 22:18 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#43 [ゆり]
でもね
あたしにとっては
した事の大きさなんて
どーでもいいの。

嘘ついてメールしようが
内緒で会おうが
キスしようが
えっちしようが

全部同じ。

した事自体が
問題だから。

様は
信用の問題だよ。
 

⏰:06/08/31 22:19 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#44 [グミ]
ゆりチャン☆
なんか読んでて心配。色々聞きたいけど、ネタばらしになっちゃうから…。
更新待ってるね!

⏰:06/08/31 22:34 📱:N901iC 🆔:☆☆☆


#45 [ゆり]
☆グミチャン→前作も読んでくれてたとか本当に嬉しいなァ(T-T) 総合に感想板作ったのでよかったら来て下さい☆ありがとう♪

⏰:06/08/31 22:38 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#46 [ゆり]
 

「…もー無理。」


あたしは
オムライスを見たまま
呟いた。


「…」

隼人は
うんざりした様に
溜め息を
吐いた。


それが過去の傷痕に
深く刺さった
気がしたんだ。
 

⏰:06/08/31 22:40 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#47 [ゆり]
「なんで隼人がキレてんの?笑」

「だって俺なんもしてないじゃん!」

「…ほんとにそう思うの?」

「だって…気持ちが浮ついたとかじゃないし
会った訳でもないし
俺はお前だけだって!」

「…」


あーオムライスが冷めちゃう。
食べよ。
 

⏰:06/08/31 22:42 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#48 [ゆり]
「なぁ…
ほんとにゆりだけだよ」


卵ふわふわだな-。
チキンライスもおいしいし。
優しい味。

「聞いてる?
俺まじでなんもやましい事ないよ?」


今日は絶対
全部食べ切ろう。
 

⏰:06/08/31 22:44 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#49 [ゆり]
「ゆり…なんか言ってよ」


やば。
下向いてたら
涙出てきちゃったよ。

「ゆり?泣いてんの?」


あー
悔しい。
泣いたら認める事になる。

こんなに隼人が
好きなんだって。
 

⏰:06/08/31 22:45 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#50 [ゆり]
「美味しいから
感動して
泣けてきただけ。」


あたしは滲むスプーンで
必死にオムライスを食べた。

財布から千円を出して
隼人の前に置いて
席を立った。

「じゃーね。」
 

⏰:06/08/31 22:47 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#51 [ゆり]
「…も〜…なんで…」

隼人はこんなあたしに
完璧呆れたみたい。


仕方ないじゃん。
突っ走っちゃう性格は昔からだし。

仕方ないじゃん。
あたし傷付いちゃったんだし。

勝手なのは謝るけど

仕方ないじゃん。

あんたがめっちゃ好きなんだから。
 

⏰:06/08/31 22:50 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#52 [ゆり]
店から出ると
生ぬるい風が
頬に当たった。

「あ〜食べ過ぎた…」

あたしは涙を拭いて
駅に向かって
歩き出した。

今は暗いけど
電車乗ったら
顔見えるよな。

化粧直ししとこう。
 

⏰:06/09/01 00:11 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#53 [ゆり]
近くのビルの
トイレに入った。

カチャカチャ…

ファンデを探してると
携帯が鳴った。

着信は
隼人から。

いつもなら無視するけど
なんか
どうでもよかった。
 

⏰:06/09/01 00:12 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#54 [ゆり]
ピッ

「もしもーし」

「…お前今どこ?」

少し怒ってる声。

なんでそっちが怒るんだよ-。

「トイレだよ☆」

熱くなるのすら
もう馬鹿馬鹿しい。

どんだけ言っても
あいつには解らないし。
 

⏰:06/09/01 00:15 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#55 [ゆり]
「どこの?
てかお前どうやって帰んの?」

「電車で帰るよ☆
隼人も気をつけて帰ってね♪」

「送ってくよ…
危ないじゃん」
 

⏰:06/09/01 00:16 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#56 [ゆり]
「大丈夫大丈夫!!
帰れるよ☆」

「…どこのトイレにおるの?」

あたしはビルの名前を言った。

頭ん中はポッカリしてて

怒りも悲しみも
もうなかったんだ。
 

⏰:06/09/01 00:17 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#57 [ゆり]
化粧直しをして
トイレを出ると
ちょうど隼人が来た。
汗かいてた。


お互い無言で
隼人はあたしの手を掴んで
歩き出した。


あたしの歩幅に合わせて

ゆっくり。
 

⏰:06/09/01 00:20 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#58 [ゆり]
ビルを出て
駐車場まで
人が少ない道を歩く。

隼人が静かに口を開いた。

「ゆり…無理とか言わんといて。」

「…」

「俺お前しかいねーから」

「…」

何を言われても
風みたいに
通り抜けてく。

あたしには
もう無意味な言葉。
 

⏰:06/09/01 00:23 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#59 [ゆり]
「メールしてたのはごめん。
でもやましい事ないから」

「…隼人…」

「なに?」


隼人に手を引かれ
下を向いたまま言った。

「あたしね
付き合ってく上で
1番必要なのって
愛じゃなくて
信頼だと思うんだよ。」
 

⏰:06/09/01 00:25 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#60 [ゆり]
「…うん
お前昔からそう言ってたよな」

「だからね
あたしは今も
隼人の事が好きだけど

信頼はなくなった。

だから付き合ってく事
出来ない。」


好きならいーじゃんね
って
自分で思いながら伝えた。
 

⏰:06/09/01 00:27 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#61 [ゆり]
隼人は黙ったままで
手を少し強く握った。

あたしの大好きな手。

熱いくらいの体温も

冷え性なあたしには
心地よかったんだよ。
 

⏰:06/09/01 00:30 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#62 [ゆり]
「でも俺
お前の事好きだもん」


何回そう言われて
許して来ただろう。

あたしも随分勝手な女だし
たくさん困らせたけど

嘘は言った事ないよ。
本当に大事に
してきたつもりだよ。

伝わってた?

あたしの想い。

ねぇ隼人…
 

⏰:06/09/01 00:36 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#63 [ゆり]
溜め息を飲み込んで
言葉を返した。

「あたしも好きだよ。
でも信じられないの。
ごめん」

「…別れるとか嫌だよ」

「じゃああたしだけ
傷付いてくの?
信じて裏切られてを
繰り返さなきゃいけないの?」
 

⏰:06/09/01 00:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#64 [ゆり]
「もう裏切らない…」


「…それも信じられない」


「…」


「一回で直らなかったら
一生直らないよ。」
 

⏰:06/09/01 00:40 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#65 [ゆり]
車についた。
乗り込んでも
隼人はエンジンをかけない。

あたしも何も言わなかった。



隼人は傷付いた顔して
被害者みたいな空気出して
ほんといいよね。

自分が壊しといて
離れてくのは嫌だ嫌だって
どんなん?

毎回毎回。
あたしより勝手だよ。 

⏰:06/09/01 00:42 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#66 [ゆり]
あたしは

疑われるより
疑う方が
辛いと思う。

許して貰えないより
許せない方が
辛いと思う。


両方後者は
あたし自身。


ほんとは
疑いたくない。
許したい。

でも自分じゃ
どうしようもないんだもん。
 

⏰:06/09/01 00:47 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#67 [ゆり]
あたしは今
どんな顔してる?

今まで以上に
色を失って

今まで以上に
冷たい瞳に
なっているかな。

なんか
吹っ切れた
喪失感。

それは多分
諦めから
きてる。

もう
いいや。

どうでもいい。
 

⏰:06/09/01 00:48 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#68 [ゆり]
「そんなに別れたくないなら
別れなくていいよ。」

静かな車内に
あたしの声が少し響いた。


「え?」

「いいよ。
隼人がしたい様に
すればいいよ。」
 

⏰:06/09/01 00:50 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#69 [ゆり]
「でもゆりは別れたいんでしょ…?」

あー
堂々巡り。
あたしが何言っても
どうせあんたは
だだこねて
別れないくせに。

「どっちでもいい。」

「なにそれ…」

あー
めんどくさい。

何言っても
こんなんじゃん。
 

⏰:06/09/01 00:51 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#70 [ゆり]
「あたしにどうしろって言うの?」

頭ん中が
ぐしゃぐしゃ。

もう傷付くとか
傷付けるとか
うんざりだよ。

「…俺は別れたくないんだって…」

ハンドルに手を置いて
隼人が俯いた。
 

⏰:06/09/01 00:54 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#71 [ゆり]
「じゃあ別れない。
それでいいでしょ?」


「…ゆり
俺の事好き?」

「好きだよ」

「…今回はごめんな」

「うん」

隼人はあたしを抱き寄せて
キスをした。
 

⏰:06/09/01 00:55 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#72 [ゆり]
好きだけど
大好きだけど

隼人の事
信用出来ない。

こんな風に
他の子とも
キスしたんだろうな。


あたしの特技は
妄想。
マイナスの妄想なんて
永遠と出てくる。


考えるのやめよ。

いいんだ。
もう…
 

⏰:06/09/01 00:56 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#73 [ゆり]
あたしはこの日から
変わった。

表面は変わらない。
笑って怒って悲しんで。

でも内面
完全に冷めてた。

「どうでもいい。」

傷痕が痛む度に
これが口癖になった。 

⏰:06/09/01 00:58 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#74 [ゆり]
隼人からの想いに
満たされる事も
なくなった。

いつもどこかで
疑う気持ちが消えてくれなかった。

心から信じる事が
出来ないんだから
満たされないのも
仕方ないね。
 

⏰:06/09/01 01:00 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#75 [あやぽん]
頑張れッ

⏰:06/09/01 02:34 📱:SH700i 🆔:C5pDNgNw


#76 [桜]
>>30-80

⏰:06/09/01 05:22 📱:P902iS 🆔:LFpQf7DA


#77 [ゆり]
あやぽんチャン☆
桜さん☆
ありがとォ(*´∪`*)

⏰:06/09/01 08:33 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#78 [ゆり]
こうして夏は進んでいったんだ。


今日もバイト。

疲れた…
休憩室に入った瞬間
勢いよく扉が開いた。

「ゆりチャ〜ン♪
休憩かぶったにゃー♪」

この黒くてライオンみたいなヘア-の男
三上達也。一個下。
黙ってればカッコイイのに。
 

⏰:06/09/01 08:35 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#79 [ゆり]
「そーだにゃ〜」

「しかも二人きりだにゃーん♪」

「にゃ〜ん」

意味不明な会話をしつつ
自販機で
お茶を買う。

三上くんは煙草に火をつけ
しゃべり出す。
 

⏰:06/09/01 08:37 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#80 [ゆり]
「ゆりチャン
彼氏とはどーよ?」

「まぁ普通」

「あらぁ〜
倦怠期〜??」

「いやもうラッブラブ」

「あはは(笑
俺の彼女飛んだし〜
ってか消えちったぁ!」

「消えたとか
どんなん(笑」
 

⏰:06/09/01 08:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


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