○最後の四季○
最新 最初 🆕
#51 [ゆり]
「…も〜…なんで…」

隼人はこんなあたしに
完璧呆れたみたい。


仕方ないじゃん。
突っ走っちゃう性格は昔からだし。

仕方ないじゃん。
あたし傷付いちゃったんだし。

勝手なのは謝るけど

仕方ないじゃん。

あんたがめっちゃ好きなんだから。
 

⏰:06/08/31 22:50 📱:V703SH 🆔:O7rysDvw


#52 [ゆり]
店から出ると
生ぬるい風が
頬に当たった。

「あ〜食べ過ぎた…」

あたしは涙を拭いて
駅に向かって
歩き出した。

今は暗いけど
電車乗ったら
顔見えるよな。

化粧直ししとこう。
 

⏰:06/09/01 00:11 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#53 [ゆり]
近くのビルの
トイレに入った。

カチャカチャ…

ファンデを探してると
携帯が鳴った。

着信は
隼人から。

いつもなら無視するけど
なんか
どうでもよかった。
 

⏰:06/09/01 00:12 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#54 [ゆり]
ピッ

「もしもーし」

「…お前今どこ?」

少し怒ってる声。

なんでそっちが怒るんだよ-。

「トイレだよ☆」

熱くなるのすら
もう馬鹿馬鹿しい。

どんだけ言っても
あいつには解らないし。
 

⏰:06/09/01 00:15 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#55 [ゆり]
「どこの?
てかお前どうやって帰んの?」

「電車で帰るよ☆
隼人も気をつけて帰ってね♪」

「送ってくよ…
危ないじゃん」
 

⏰:06/09/01 00:16 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#56 [ゆり]
「大丈夫大丈夫!!
帰れるよ☆」

「…どこのトイレにおるの?」

あたしはビルの名前を言った。

頭ん中はポッカリしてて

怒りも悲しみも
もうなかったんだ。
 

⏰:06/09/01 00:17 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#57 [ゆり]
化粧直しをして
トイレを出ると
ちょうど隼人が来た。
汗かいてた。


お互い無言で
隼人はあたしの手を掴んで
歩き出した。


あたしの歩幅に合わせて

ゆっくり。
 

⏰:06/09/01 00:20 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#58 [ゆり]
ビルを出て
駐車場まで
人が少ない道を歩く。

隼人が静かに口を開いた。

「ゆり…無理とか言わんといて。」

「…」

「俺お前しかいねーから」

「…」

何を言われても
風みたいに
通り抜けてく。

あたしには
もう無意味な言葉。
 

⏰:06/09/01 00:23 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#59 [ゆり]
「メールしてたのはごめん。
でもやましい事ないから」

「…隼人…」

「なに?」


隼人に手を引かれ
下を向いたまま言った。

「あたしね
付き合ってく上で
1番必要なのって
愛じゃなくて
信頼だと思うんだよ。」
 

⏰:06/09/01 00:25 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#60 [ゆり]
「…うん
お前昔からそう言ってたよな」

「だからね
あたしは今も
隼人の事が好きだけど

信頼はなくなった。

だから付き合ってく事
出来ない。」


好きならいーじゃんね
って
自分で思いながら伝えた。
 

⏰:06/09/01 00:27 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#61 [ゆり]
隼人は黙ったままで
手を少し強く握った。

あたしの大好きな手。

熱いくらいの体温も

冷え性なあたしには
心地よかったんだよ。
 

⏰:06/09/01 00:30 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#62 [ゆり]
「でも俺
お前の事好きだもん」


何回そう言われて
許して来ただろう。

あたしも随分勝手な女だし
たくさん困らせたけど

嘘は言った事ないよ。
本当に大事に
してきたつもりだよ。

伝わってた?

あたしの想い。

ねぇ隼人…
 

⏰:06/09/01 00:36 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#63 [ゆり]
溜め息を飲み込んで
言葉を返した。

「あたしも好きだよ。
でも信じられないの。
ごめん」

「…別れるとか嫌だよ」

「じゃああたしだけ
傷付いてくの?
信じて裏切られてを
繰り返さなきゃいけないの?」
 

⏰:06/09/01 00:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#64 [ゆり]
「もう裏切らない…」


「…それも信じられない」


「…」


「一回で直らなかったら
一生直らないよ。」
 

⏰:06/09/01 00:40 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#65 [ゆり]
車についた。
乗り込んでも
隼人はエンジンをかけない。

あたしも何も言わなかった。



隼人は傷付いた顔して
被害者みたいな空気出して
ほんといいよね。

自分が壊しといて
離れてくのは嫌だ嫌だって
どんなん?

毎回毎回。
あたしより勝手だよ。 

⏰:06/09/01 00:42 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#66 [ゆり]
あたしは

疑われるより
疑う方が
辛いと思う。

許して貰えないより
許せない方が
辛いと思う。


両方後者は
あたし自身。


ほんとは
疑いたくない。
許したい。

でも自分じゃ
どうしようもないんだもん。
 

⏰:06/09/01 00:47 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#67 [ゆり]
あたしは今
どんな顔してる?

今まで以上に
色を失って

今まで以上に
冷たい瞳に
なっているかな。

なんか
吹っ切れた
喪失感。

それは多分
諦めから
きてる。

もう
いいや。

どうでもいい。
 

⏰:06/09/01 00:48 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#68 [ゆり]
「そんなに別れたくないなら
別れなくていいよ。」

静かな車内に
あたしの声が少し響いた。


「え?」

「いいよ。
隼人がしたい様に
すればいいよ。」
 

⏰:06/09/01 00:50 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#69 [ゆり]
「でもゆりは別れたいんでしょ…?」

あー
堂々巡り。
あたしが何言っても
どうせあんたは
だだこねて
別れないくせに。

「どっちでもいい。」

「なにそれ…」

あー
めんどくさい。

何言っても
こんなんじゃん。
 

⏰:06/09/01 00:51 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#70 [ゆり]
「あたしにどうしろって言うの?」

頭ん中が
ぐしゃぐしゃ。

もう傷付くとか
傷付けるとか
うんざりだよ。

「…俺は別れたくないんだって…」

ハンドルに手を置いて
隼人が俯いた。
 

⏰:06/09/01 00:54 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#71 [ゆり]
「じゃあ別れない。
それでいいでしょ?」


「…ゆり
俺の事好き?」

「好きだよ」

「…今回はごめんな」

「うん」

隼人はあたしを抱き寄せて
キスをした。
 

⏰:06/09/01 00:55 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#72 [ゆり]
好きだけど
大好きだけど

隼人の事
信用出来ない。

こんな風に
他の子とも
キスしたんだろうな。


あたしの特技は
妄想。
マイナスの妄想なんて
永遠と出てくる。


考えるのやめよ。

いいんだ。
もう…
 

⏰:06/09/01 00:56 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#73 [ゆり]
あたしはこの日から
変わった。

表面は変わらない。
笑って怒って悲しんで。

でも内面
完全に冷めてた。

「どうでもいい。」

傷痕が痛む度に
これが口癖になった。 

⏰:06/09/01 00:58 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#74 [ゆり]
隼人からの想いに
満たされる事も
なくなった。

いつもどこかで
疑う気持ちが消えてくれなかった。

心から信じる事が
出来ないんだから
満たされないのも
仕方ないね。
 

⏰:06/09/01 01:00 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#75 [あやぽん]
頑張れッ

⏰:06/09/01 02:34 📱:SH700i 🆔:C5pDNgNw


#76 [桜]
>>30-80

⏰:06/09/01 05:22 📱:P902iS 🆔:LFpQf7DA


#77 [ゆり]
あやぽんチャン☆
桜さん☆
ありがとォ(*´∪`*)

⏰:06/09/01 08:33 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#78 [ゆり]
こうして夏は進んでいったんだ。


今日もバイト。

疲れた…
休憩室に入った瞬間
勢いよく扉が開いた。

「ゆりチャ〜ン♪
休憩かぶったにゃー♪」

この黒くてライオンみたいなヘア-の男
三上達也。一個下。
黙ってればカッコイイのに。
 

⏰:06/09/01 08:35 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#79 [ゆり]
「そーだにゃ〜」

「しかも二人きりだにゃーん♪」

「にゃ〜ん」

意味不明な会話をしつつ
自販機で
お茶を買う。

三上くんは煙草に火をつけ
しゃべり出す。
 

⏰:06/09/01 08:37 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#80 [ゆり]
「ゆりチャン
彼氏とはどーよ?」

「まぁ普通」

「あらぁ〜
倦怠期〜??」

「いやもうラッブラブ」

「あはは(笑
俺の彼女飛んだし〜
ってか消えちったぁ!」

「消えたとか
どんなん(笑」
 

⏰:06/09/01 08:38 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#81 [ゆり]
いいなぁ。
そーゆうラフな付き合い。

本気の愛とか
もう疲れたよ。

嫉妬とか
束縛とか
不安とか
信用とか

なにもなくて
次から次へ
渡り歩いて。

傷付いたり
傷付けたりも
なくて。
楽だろうなぁ。
 

⏰:06/09/01 08:41 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#82 [ゆり]
「俺寂しい〜!」

ライオンが吠えてる。

「笑
…あたしも寂しい。」

少し笑って
席を立って
ゴミ箱に缶を捨てた。
 

⏰:06/09/01 08:44 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#83 [ゆり]
「ゆりチャン
なんかあったなりかー?」

心配そうな
純粋な瞳。

いいな。
あたしの瞳はもう
濁っちゃったよ。

昔みたいに満たされる事
一生ないだろうな。

「大丈夫なりよ〜(笑」

次の休憩の人達が入ってきて
あたし達は仕事に戻った。
 

⏰:06/09/01 08:47 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#84 [ゆり]
バイトを終えて
外に出る。
夏の匂いは消えてきて
今日は少しだけ
肌寒い。


「お疲れ」

大橋くんだ。

「あ、お疲れ様」
 

⏰:06/09/01 08:49 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#85 [ゆり]
「今日も歩き?
送ってくよ。」

「ありがと。」

ガチャ…

バタン

「明日バイト入ってる?」

車に乗り
シートベルトを締めた瞬間
大橋くんが言った。
 

⏰:06/09/01 08:50 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#86 [ゆり]
「明日は〜休みだよ。
やっと4連勤終わったの」

「そっか〜お疲れ。
明日休みなら
今からどっか行かない?」

びっくりした。
三上くんならまだしも
大橋くんはそんな事言う感じに
見えないから。
彼女いるし。
 

⏰:06/09/01 08:51 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#87 [ゆり]
「あ、朝から予定あったりする?」


彼女さんの事が気になった。
隼人の顔が過ぎった。

でも
どうでもよかった。


「ううん、いいよ」

あたしはそう答えてた。
 

⏰:06/09/01 08:53 📱:V703SH 🆔:ZFLxxx9g


#88 [ゆい]
ゆりさんぁんたさー人と好きになるってゅーのわぉ互いの価値観を分け合って成長していくもんなんだょ!男だって我慢してくれてんだからあんたも理解しなよ!自分がほかの人とメールしないだけでそれわあんたの価値観ぢゃん!その価値観をあわせてくれちゃうモルモットがいいわけ?って思いました

⏰:06/09/01 20:17 📱:D902i 🆔:0sGc3WIQ


#89 [ゆり]
ゆいさんへ☆
言いたい事めっちゃわかります(>_<)
価値観を押し付けるのわ良くないってコトですよね(*ノω<*)
あくまでこれはあたしの隼人との時間の中で作られた恋愛観、二人の約束なので…×
不快にさせてしまったならすみませんでした(*´`*)

⏰:06/09/02 00:23 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#90 [ゆり]
「いいの?
どこ行こっか〜」

「大橋くんが行きたいとこでいいよ〜」

「海とか行く?」

「あ、行きたい!」

「よしっじゃあ出発」

途中でコンビニに寄ったりして
1時半くらいに着いた。
真っ暗。

波の音が
染み渡る。

堤防を二人で歩いた。 

⏰:06/09/02 00:25 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#91 [ゆり]
「高原さん〜てか
ゆりちゃんでいい?」

「ああなんでも」

「じゃあゆりちゃんで(笑
寒くない?」

「大丈夫だよ☆」

「てかヒール大丈夫?
コケたらほかって帰るからな」

「うわヒドッ
すごい勢いで追い掛けるでいいよ」

「怖ッ(笑
…ほら、手。」
 

⏰:06/09/02 00:27 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#92 [ゆり]
少し先を歩いてた大橋くんが
あたしの方に右手を出した。

「ありがと。」

あたしは左手で
握った。

あったかいな。


「…俺が言うのもおかしいけど
こんなとこ来てて
彼氏怒らない?」

「怒るんじゃないかな」

「なんじゃそら(笑
大丈夫なの?」
 

⏰:06/09/02 00:28 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#93 [ゆり]
「大丈夫じゃないよ。
でも
いいんだ。」

それ以上
大橋くんは何も聞かなかった。


あたしはいつから
こんな弱くて
こんな勝手で
いつも何かのせいにして
大切なものを
自分から遠ざける様に
なったんだろう。
 

⏰:06/09/02 00:32 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#94 [ゆり]
隼人に言った。
自業自得って言葉。

今あたしにも
当て嵌まる。

わかってるつもりでも
出来ない事ばかり。


歩いてると
大橋くんが止まった
から
あたしも止まった。

「俺彼女とケンカしたんだー」
 

⏰:06/09/02 00:34 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#95 [ゆり]
ありきたりな展開。

二人で傷の舐め合いか。
なんか虚しいね。


「なんで喧嘩したの?」

「めんどくさくなっちゃってさ」

「あはは
あたしと一緒だ。」
 

⏰:06/09/02 00:37 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#96 [ゆり]
「そーなの?」

「うん
あたしは自分が
めんどくさい。」

「重傷だな(笑」

「重傷ですね…」


少し沈黙があって
波の音を聞いてた。

一定に打っては返って。
あたしには
悲し過ぎるくらい
優しい音だった。

⏰:06/09/02 00:41 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#97 [ゆり]
「あー!さみぃ」

いきなり大橋くんはそう言って
あたしを抱きしめた。


「あったけ〜」

「…」


やっぱ人って
あったかい。

温もりって
いいなぁ…

そんな事を
考えてた。

でも風が冷たくて
心が
寒い。

埋まらない。
 

⏰:06/09/02 00:44 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#98 [ゆり]
「大丈夫か?」

「うん」

隼人以外の人の香りなんて
2年ぶり。

改めて気付く。

隼人の腕に愛が溢れてた事。
隼人の腕にいつも優しさがあった事。
 

⏰:06/09/02 00:49 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#99 [ゆり]
「ごめ…
もう…離して」

身体を離すと
二人の間に
冷たい風が吹いた。

「ごめん」

大橋くんは頭を下げて謝った。
 

⏰:06/09/02 00:52 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#100 [ゆり]
「ううん…
彼女の事
めんどくさくても
信じられるうちは
大事にしてあげて下さい。」


大橋くんは
まだきっと
彼女さんに満たしてもらえるから。
満たしてあげられるから。
だから、ね。
 

⏰:06/09/02 00:54 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194