○最後の四季○
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#90 [ゆり]
「いいの?
どこ行こっか〜」

「大橋くんが行きたいとこでいいよ〜」

「海とか行く?」

「あ、行きたい!」

「よしっじゃあ出発」

途中でコンビニに寄ったりして
1時半くらいに着いた。
真っ暗。

波の音が
染み渡る。

堤防を二人で歩いた。 

⏰:06/09/02 00:25 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#91 [ゆり]
「高原さん〜てか
ゆりちゃんでいい?」

「ああなんでも」

「じゃあゆりちゃんで(笑
寒くない?」

「大丈夫だよ☆」

「てかヒール大丈夫?
コケたらほかって帰るからな」

「うわヒドッ
すごい勢いで追い掛けるでいいよ」

「怖ッ(笑
…ほら、手。」
 

⏰:06/09/02 00:27 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#92 [ゆり]
少し先を歩いてた大橋くんが
あたしの方に右手を出した。

「ありがと。」

あたしは左手で
握った。

あったかいな。


「…俺が言うのもおかしいけど
こんなとこ来てて
彼氏怒らない?」

「怒るんじゃないかな」

「なんじゃそら(笑
大丈夫なの?」
 

⏰:06/09/02 00:28 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#93 [ゆり]
「大丈夫じゃないよ。
でも
いいんだ。」

それ以上
大橋くんは何も聞かなかった。


あたしはいつから
こんな弱くて
こんな勝手で
いつも何かのせいにして
大切なものを
自分から遠ざける様に
なったんだろう。
 

⏰:06/09/02 00:32 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#94 [ゆり]
隼人に言った。
自業自得って言葉。

今あたしにも
当て嵌まる。

わかってるつもりでも
出来ない事ばかり。


歩いてると
大橋くんが止まった
から
あたしも止まった。

「俺彼女とケンカしたんだー」
 

⏰:06/09/02 00:34 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#95 [ゆり]
ありきたりな展開。

二人で傷の舐め合いか。
なんか虚しいね。


「なんで喧嘩したの?」

「めんどくさくなっちゃってさ」

「あはは
あたしと一緒だ。」
 

⏰:06/09/02 00:37 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#96 [ゆり]
「そーなの?」

「うん
あたしは自分が
めんどくさい。」

「重傷だな(笑」

「重傷ですね…」


少し沈黙があって
波の音を聞いてた。

一定に打っては返って。
あたしには
悲し過ぎるくらい
優しい音だった。

⏰:06/09/02 00:41 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#97 [ゆり]
「あー!さみぃ」

いきなり大橋くんはそう言って
あたしを抱きしめた。


「あったけ〜」

「…」


やっぱ人って
あったかい。

温もりって
いいなぁ…

そんな事を
考えてた。

でも風が冷たくて
心が
寒い。

埋まらない。
 

⏰:06/09/02 00:44 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#98 [ゆり]
「大丈夫か?」

「うん」

隼人以外の人の香りなんて
2年ぶり。

改めて気付く。

隼人の腕に愛が溢れてた事。
隼人の腕にいつも優しさがあった事。
 

⏰:06/09/02 00:49 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


#99 [ゆり]
「ごめ…
もう…離して」

身体を離すと
二人の間に
冷たい風が吹いた。

「ごめん」

大橋くんは頭を下げて謝った。
 

⏰:06/09/02 00:52 📱:V703SH 🆔:wd4TjqJk


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