それでも君が

明らかに裕ｸﾝの布団。

『わざわざ持ってきてくれたの？』

「おぅ･･///」

照れくさそうに答える裕ｸﾝを
可愛いなって思った。

『そっか♪ありがとっ』

そういえば
車の中の温度
すごい高い

さっきから
「寒くない？」
って何度も聞いてくる

『大丈夫だよ』

って毛布の中から答えた。

真っ暗な夜の駐車場。

ふと聞こえたのは
お父さんの車のマフラーの音

探してるんだ･･･

『探しとる･･･』

「まじで!?まぁそりゃそうやろ･･･大事な娘が家出なんてよ」

見つかるんじゃないかという恐怖が友梨を襲った。

毛布から顔を出すと

「だーめっ。」

ってまた毛布をかけられた。

他の場所に移動するよう頼んだ

連れてこられたのは･･･
見たこと無い場所

暗くてよくわかんないけど
川の音がするから
川の近くなんだってわかった

『初めて来た･･･』

友梨は毛布をよけると
車から降りた

裕ｸﾝが友梨の後を
ついてくる。

「なぁ･･･」

『こんな場所あったんやね!』

裕ｸﾝの言葉を遮るように
少し大きな声で話した

"なぁ･･･"

その言葉の先はきっと
友梨が聞きたくない言葉だって
何となくだけど
気づいてたから

聞きたくなかった･･･

そんなこと繰り返してたら
急に裕ｸﾝが友梨の前に来て
肩を掴んで

「俺の話聞けって!!」

って･･･

真剣な目で･･･
友梨は黙ってうなずいた。

「とりあえず車もどろ。風邪ひくから」

『友梨バカやで風邪やらひかんし!!』

「ん～でも寒いやろ？」

『もう寒くない』

ぶつぶつと
文句言いながら
手を引かれて
車に戻った。

「家帰ろ？」

まっすぐ友梨を見てくる
裕ｸﾝから目をそらして

『いやだ』

って言った。

また沈黙が続く･･･

『絶対やだ。あんな家』

自分自身に言うように
つぶやいた

「友梨･･･だめ!!!」

友梨の肩を掴んで
前後に揺する。

『やだ』

やだしか言わない友梨に
裕ｸﾝはため息をつくと

「わかった･･･。友梨の言いたいこと言えよ。聞くし」

その言葉に
友梨は素直になった

散々グチった
これでもかってくらい
ぶっさいくな泣き顔で
女なんか捨てて･･･

きっと裕ｸﾝだから出来たんだね

『ふぅ～』

ため息をつくと

『疲れたぁ～』

と吐いた