それでも君が

でもこの笑顔に

この優しさに

騙されるなんて
この時のアタシは
考えてなかったんだ･･･

ホントの優しさだったのかもしれないって

今ならわかるよ･･･

しばらくして
裕ｸﾝは仕事に戻るため
会社の駐車場に一人
車の中で待つことにした。

「一時に戻ってくるから。どこも行くなよ!!寝とけ!!」

『大丈夫。ここにおるで』

"10時半か･･･"

警察バレたら
補導されるやんか!!

なんて思いながら
毛布にくるまり
うとうとしかけた･･･

バンｯｯ!!

ドンｯｯ!!

『････!!?』

ドアを開ける音で
目が覚めた。

もう一時になったのかと思い
眠い目をこすり
なぜか慌てている裕ｸﾝに
話しかける

『お疲れさま～早かったね。もぉちょっとで寝るとこやったわぁ～笑』

時計を見ると
まだ30分しか経っていない

『あれ？もう仕事終わったの？てかどうしたの？何か変』

「･････」

黙ってエンジンをかける裕ｸﾝ

なにが起きているのか
さっぱりわからないほど
友梨だってバカじゃない

『やだｯｯ!!!!!』

『ねぇ？どこ行くつもり？』

「･･･」

『ねぇってば!!!』

「･･･」

『家なら帰らんよ!!』

「･･･」

無言のまま走り出した。

『何とか言えよ!!黙っとったらわからんやら!?』

「会わせたい人がおる」

『会わせたい人？』

誰だろう･･･

すごい焦ってる様に見えるのは気のせい？

博かな？

んなわけないか!!

『誰々～笑』

「･･･っ」

え･････

耳を疑った。

なんで？
どうして？

信じてたのに･･･

裏切り者。

'

"友梨のお母さんっ"

やだ･･･

友梨あんな家には帰んない!!

帰ったらなにされるか･･･

アザが出来るくらいじゃ
済まないだろう

円形脱毛なんかじゃ
収まらないだろう

きっとまた
殺されそうになるんだ･･･

そんな恐怖が友梨を襲い
体が震えだした

他人にはわかんない。
実の親に
怯えるなんて･･･
わかるはずない