それでも君が

「友梨!!!!!」

文博に呼び止められ
笑顔で振り返る

『なにー??』

「幸せになれよ!!博ってやつにちゃんと気持ち伝えろよ!!友梨はツエーで大丈夫や!!!!」

ありがとう･･･

ありがとう文博･･･

『おうｯｯ!!!任しとけ↑↑』

最後くらい
かっこつけさせて･･･

『幸せになってね!!』

それだけ言うと
また背を向けて歩きだした。

もう振り返らない。

決めたから。

電車に乗ると
以外に空いていて

楽に席に座れた。

電車が出発してすぐ
博にメールを送った。

"今から帰りまぁす"

―送信完了―

画面は一気に涙で滲んで見えなくなった。

元カレに会いに行った女を

元カレと体を重ねたことを

博はどう思うかな･･･

嫌われても仕方ない

だってそれだけのことをしたから。

でも話すって決めた。

帰る間中
博へどう話すかを考えていた。

文博との距離は
遠くなり

博との距離が
近くなる。

秋風が吹く１０月。

一つの恋に
終わりを告げた―――。

･･･伝えたい想い･･･

『もう終わりにした。』

「そっか。アイツが好きだから？」

『うん･･･』

「そっか･･･」

裕ｸﾝに電話した。

お世話になったから報告っていうのもあるけど

誰かに言わないと
友梨はまた振り向いてしまいそうだから･･･

誰かに言わないと･･･
前に進めなくなりそうだから。

だから裕ｸﾝに話した。

泣きたかった･･･

でも
博の前では泣けなくて

博に会いに行くほどの
時間も足も勇気もない。

友梨は最低な人間です。

呼べば必ず来てくれる
裕ｸﾝを利用しました･･･

本当･･最低だよね。

「今から？わかった。」

やっぱり･･･
いつも絶対来てくれる。

『いつもんとこ？』

「寒いで家の前でいいよ」

『ありがと。』

五分くらいして
裕ｸﾝがきた。

『お願いしまぁす』

「おぅ!!」

いつもの光景･･･

いつもの匂いに

いつもの声･･･

でも友梨は裕ｸﾝにあったことを後悔することになる･･･

『どこでもいいから走って』

六つも下の友梨のわがまま。
いつも文句一つ言わないで
聞いてくれる。