それでも君が

バンッ!!!

外れるぐらい思い切り部屋の戸を閉めた。

ムカつくはずなのに
悲しくなんかないのに
溢れる涙を拭って
大きな荷物を
いきおいよく手に取った

同時に
父が部屋に入ってきた。

『何？』

「座りなさい」

それから一時間にわたって
父との話し合いが行われた

最終バスが

行ってしまった･･･

せっかく学校休んだのに
意味ないじゃん。

もうすぐお母さんが
帰ってくる。

「ただいま～」

ほら来た。
最悪。
友梨の計画が･･･台無し

友梨が学校サボったこと
誰も口にしなかった
みんな黙っててくれた

無言でご飯を食べる友梨に
母が冷たく言った

『あんた部活休んだの？』

「頭痛かったで」

「あんな部活辞めなさいよ」

また説教かよ･･･

食べ賭のまま
箸を置き

『ごちそうさま』

そう言って立ち上がると

「いつまでも調子乗っとんやないよ!!」

母の甲高い叫び声に
食卓が静まり返る

「お腹空いてないんやろ？」

と優しく問いかける祖母。

庇ってくれたこと
本当は嬉しかった。

嬉しかったのに
今は･･･
反抗的な態度しかとれない

周りのこと考えてる
余裕はない

『食欲失せた』

パンッッ!!!

部屋中に響いた
頬をたたく音

『･････!!』

言葉にならない
この気持ちは

怖いとか
悲しいとか
そんな感情じゃなく

憎い。

他でもない怒りだった

そのあと完全に友梨の携帯を取り上げると
長々と始まった説教。

軽く三時間。

耳にたこがが出来るほど聞かされてきた罵声に

友梨はもう
慣れてしまった･･･

母はまた
｢あんたなんか生まなきゃよかった｣
そう言った･･･

しびれて感覚のない足

腫れた頬

それでも友梨は
泣かなかった。

泣き虫だけど
めちゃくちゃ低いけど
プライドぐらい
友梨にだってある。

"泣くもんか!!"

キュッと唇をかみしめ
涙をこらえた

母が落ち着きを取り戻す頃には
もう何のことで怒っていたのかわからないくらい話は横にズレている。

右から左へと
説教を聞き流し
考えてたのは
博のこと。

"助けて･･･"

なんど心で叫んだだろう