それでも君が

「もしもし？」

『あっ･･･急に電話してごめん!!今大丈夫？』

「ちょっとまってな!!」

受話器の向こうから部屋に移動する音が聞こえる。

「いいよ～」

『あっ!うん』

受話器から聞こえる
彼の声に友梨の心拍数は
どんどんと早くなる･･･

電話の相手は･･･博。

友梨の手に握られた
プリ帳を一枚破いた紙。

そこには･･･

親友の麻衣･晴子･裕ｸﾝ･文博のアドレスと携帯番号。

それから博。

親に携帯をとられた後
親の目を盗んで
メモした５人。

『ずっとメール返さんくてごめん!!』

勢いよく謝ったアタシに博は

「全然いいよ。何かあった？」

って優しく聞いた。

『親にケータイ取られてさ↓だからしばらくメールできん。』

「そっかぁ･･･」

社交辞令か博は残念そうに
ため息混じりで呟く。

『ごめん･･･せっかく仲良くなったのにねー』

「まぁしゃーねぇさ!友梨んち厳しいなぁ!!笑」

『笑い事じゃないよぉ･･･』

「わりぃわりぃ☆携帯戻ってきたらメールしてよ。待っとるでさ!!」

軽く流すような発言に思わず

『え～友梨寂しいし･･･』

「そやな～俺も寂しいよ!笑」
うわぁ～
思ってなさそ(-д-)

それもそのはず。

博にとって友梨は
ただの掲示板で知り合った女

友梨の片思い。

冗談ってわかってるのに
博に言われると
ドキドキしてるのがわかる。

ノリだから。

必死に言い聞かせるけど
次の一言で
友梨の自制心は一気に崩れる

「寂しいの？」

『うん･･･』

「まぁ大抵暇しとるし寂しかったらまた電話してきなよ。」

いいのっ!?
うそだぁ～夢みたい!!

『うんっ!!』

「そんな嬉しいか･･･??」

『嬉しいよ☆』

「ふ～んそっか笑」

博にとっては
何気ない一言でも
友梨にとっては
全部が大切な言葉で･･･

博の言葉一つで
嬉しくもなり
悲しくもなる。

友梨は毎日忙しい。

それから友梨は
頻繁に博に電話をかけた。

しつこいくらいに

二晩置きくらいのペースで。

地元も学校も違うせいか
話題が途切れることはなくて
毎日二時間とか
普通に話した。

博は人を引きつける力がある。

学校生活を見たことはないけど、なんとなくわかる。

いつもみんなの中心で
笑ってそうで

一人でいても
人が集まってきそうな･･･

そんな人。

博と同じクラスになりたい
なんて何度思ったことか。

クラスの女子との話を聞く度
胸が苦しくなって･･･

ヤキモチを妬く友梨。

でも『イヤ』なんて言う権利
友梨にはない･･･

友梨バカだから

『博モテモテじゃん!笑』

とか冷やかしてみたり･･･