それでも君が

博は左指を怪我してて
はめれなかったから
仕方なく右手の薬指。

でもやっぱり
友梨に９号は
ちょっと大きかった。

『ぶかぶかぁ～』

って博に
見せようとした瞬間

"ちゃりーん"

いい音を立てて
指輪が抜けた･･･

『ごめんっ!!』

友梨が拾うより早く
博は指輪を拾い上げると

「だから７号にしとけっていったにか。」

『だってぇ～↓↓』

「しかも欠けとるし。」

『まじで!?』

指輪を覗き込むと
少しだけ欠けていた。

ショックだった･･･

当然だけど博はご立腹。
口数も減った。

おまけに
右手の薬指にはめられた。

右手の方が利き手で
多少太いから。
らしい･･･

だけど
そのあとプリクラを撮ると

"ペアリング買ったお"

って書いてあって
やっぱりこの人が好きだと
実感した。

薬指に光る指輪。

大人になったら
今度は左の薬指に
着けたいな。

博と友梨が
恋人だって証を。

２人の愛の証を･･･

だから今は
右手でいいよ。

いつか･･･

いつかこの指に
一生の愛の証を･･･

･･･エピローグ･･･

―２月―

誕生日の遅い博は
やっと本格的に
車校へ通い始めた。

相変わらず
バカップルやってます。

毎日肌身離さず
指輪を首から下げて
生活してる。

指に着けられないのが
ちょっと不満。

でも会うときは
ちゃんと着けたし
博もちゃんと着けてくれた。

なかなか会えなくても
会えば好きを実感した。

初めて
二人の未来を夢見た。

この人となら
博となら
幸せになれる。

そう思えた。

バカみたいに
ヤキモチ妬き。

呆れるくらい
心配性。

友梨より細い
その体。

おれそうな
あの腕枕。

頑固で強がるくせに
繊細で

いじめるくせに
すぐ謝るの。

涙が出るほど
優しくて。

どんな時も
支えてくれる。

クシュって笑う
その笑顔も

全部全部愛しい。

もしも
また心揺らいだとしても
友梨は信じてるからね。

博は必ず
戻ってくるって。

もう一度
信じてみようと思うの。

愛する人だから。

かけがえのない
たった一人の
大切な人だから。