もう二度と・・・
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#92 [林奈]
うちや兄は望まれて生まれたんじゃないんだね・・・。


言葉が出てこないくらい大泣きした。


そんな時親戚のおばさんが母に言ってくれた。


「この子達がどんな思いで過ごしていくか考えたことある?生まなきゃよかったなんて口が裂けても言わないで。あんた達親失格だよ!」


おばさんはうちと兄を引き取ると言ってくれた。うちはそれだけで救われた気がしたんだ。

⏰:07/04/18 10:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#93 [林奈]
嘘でもいい。嘘でもそんな事を言ってくれる人がいるなら、うちは強くなれるような気がした。
この家で強くなると決めた。
これから起きる困難たちに立ち向かう。

14歳の冬だった。

⏰:07/04/18 10:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#94 [林奈]
おばさんはいつでも電話してほしいと言って帰った。


その次の日から、自分の心に大きな爆弾を抱えて学校に通った。
亜由美達からのイジメ。
あんなヒドい事をされて、うちは“復讐”と言う気持ちでいっぱいだった。

⏰:07/04/18 11:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#95 [林奈]
そんな気持ちを必死に抑えこんで、春休みに入り、家に閉じこもる毎日。相変わらず家の電話は鳴りっぱなしで、そんな時、怖い人が家を訪ねてきた。



「お母さんいる?」

「いません」


「そうか。君はいくつかな?」


「14です」


「勉強頑張ってね」

笑顔でうちの頭を優しくポンポンと叩いて帰った。


テレビでしか見たことないような怖い人。けど初めだからか知らないけど、優しかった。


間違いなく借金取りだ。

⏰:07/04/18 11:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#96 [林奈]
母が帰って来た時、その人の事を話した。優しそうな人だと言うと怒り狂った。

「あんた嫌味?私が大変なのを面白がってるんでしょ?」



「そんな事ない」



何でもかんでも怒る母。


もういい加減何とも思わなくなってた。

⏰:07/04/18 15:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#97 [林奈]
叩かれても蹴られても何も思わない。
そんな自分が何だか怖かった。


もう諦めてたのかもしれない・・・。


次の日もまた怖い人は来た。
母はいない事を伝えると、アメをくれた。帰りを待つからと言い、うちに色々話しかけてくる。
ウザい反面、この人は何者なのか興味が湧いてた。

⏰:07/04/19 02:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#98 [林奈]
うちと同じ年の姪がいること、勉強は数学が得意だということ。そして“畑中”という名前だってこと。


パンチパーマでグラサン。真っ白なスーツ。いかにもそちらの筋の方。


でも畑中さんはうちに笑顔を絶やさなかったんだ・・・。


“きっとほんとは優しいんだろうな”


そう思いながら、どこか実の父よりも父らしく感じてた。

⏰:07/04/19 05:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#99 [林奈]
一時間くらいしてから、チラチラ見えるうちの右腕のアザに気付いた。


「どうしたんだ?」

母にやられたなんて言えずに黙り込んだ。


「学校でイジメられてるのか?誰にやられた?」



「転んだんだよ」



うちの目をジーッと見る。

⏰:07/04/19 05:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#100 [林奈]
「オジサンには嘘つけないぞ。そのアザはなんだ?」



「お母さんにやられた」



「一回じゃないな?いつからだ?」



「いつからかも分からない。もう慣れちゃった」



畑中さんは怒りだした。

⏰:07/04/20 13:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#101 [林奈]
「俺も散々悪い事して、今もこんなんだけどよぉ、自分の嫁や子どもに手上げた事はない。俺がお母さんに言ってやるから」



「いいよ。オジサンが言ったあともどうせ殴られるんだし」


「我慢することないんだからな」



ヤクザの人は冷たい人ばかりだと思ってた。見た目はむちゃくちゃ怖くて、こんな事言ってくれるなんて思わなかった。

⏰:07/04/20 13:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


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