もう二度と・・・

“え？”

そう思った時、ノブヒロの後ろからたくさん人が入ってきた。
数えたら１０人はいる。

声が出なかった。

「お前ら何してんだよ！その子らに何をした？」

「は？誰だてめぇ」

「その子らのツレだわ」

ノブヒロは私らを見るなり駆け寄ってきてくれた。

「大丈夫か？」

「なんで来てくれたの？」

「そりゃあ電話繋がっても林奈訳分からんこと言うし、けどただ事じゃないのが分かって、鹿沼倉庫だけが聞こえたらいきなり切れるし。ツレたくさん呼んで助けに来た」

私は涙が出た。
一気に涙が出てしまったんだ。

ノブヒロのツレ達はジュン達をボコボコにした。
一部始終を見て、私は震えが止まらなかった。

ノブヒロ達に体を支えられて、車に乗り、向かったのはノブヒロの家だった。

玄関で待っててくれたのはノブヒロの奥さんだった。

「大丈夫？とりあえず上がって」

心配そうに私らを上げてくれた。

「何があったんだ？」

ノブヒロの質問に私は全部答えた。

ノブヒロは私らに怒った。

「何をしてんだよ！そんな事になる前に何で俺や警察に相談しんかったんだ？」

「できるわけないじゃん。私今家出してるしノブヒロは奥さんいるんだよ？自分で何とかするしかないやん」

「嫁には前からお前の話をしてた。俺が昔援交してた事も全部話して許してもらった。お前は妹みたいなヤツだからって話したばっかだ。そんな矢先にこんな事があるなんて」

ノブヒロは泣いた。そしてノブヒロの奥さんが言った。

「この人ね、林奈ちゃんには幸せになってほしいって思ってたの。確かに昔の事は腹が立ったけど、今この人を信じようと思ったの。でもあなた達の命だけでも助かってよかった」

奥さんが私らを一人一人抱きしめてきたんだ。

私から電話があった時、様子がおかしいと思い、奥さんも聞いてたそうだ。奥さんが助けに行くよう言ってくれて、ノブヒロはツレをかき集めてくれたそうだ。そしてわかった事は、ノブヒロが元ヤンだという事。
ノブヒロのツレ達はすぐに集まってくれたみたい。

私は本当に感謝した。この人たちがいなかったらと思うと、涙が止まらなかったんだ・・・。

その日はノブヒロの家に泊まり、次の日奥さんのすすめで病院に行った。

三人とも異常はなく、けど一週間後に検査結果を聞きに行くことになった。

ノブヒロの奥さんは、“アヤ”さんと言う。アヤさんとノブヒロは私らが落ち着くまで家にいていいと言ってくれた。