もう二度と・・・
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#517 [林奈]
そんな私を見て父は言ってきた。
「お前、本当は甘えたいんじゃないのか?俺にはちゃんと甘えられなかっただろう?もう我慢しなくていいんだぞ」
父の優しい顔。
けど何か少し寂しそうだった。
:07/05/27 04:45 :W43CA :☆☆☆
#518 [林奈]
“ほんとは会いたいのかもしれない。今まで逃げるように押し殺してきたのかもしれない”
私はふとそう思ったんだ。
もう大人としての会話ができるんじゃないか。
私は決意した。
:07/05/27 04:47 :W43CA :☆☆☆
#519 [林奈]
母と一緒に、父親のいる町に行った。
新幹線で一時間半。そこは海の見えるキレイな町だった。
新幹線の中、母は父親の事を話してきた。
:07/05/27 04:49 :W43CA :☆☆☆
#520 [林奈]
私が住んでる町で、偶然母は父親と再会した。
何十年も会っていなかったのに、お互いにすぐ分かったらしい。
当時私を殴ってしまってた事、借金がある事、全部話した時、父親は泣いたそうだ。
「一目でいいから会わせてほしい」
父親は私が家出をしてる間、頻繁に家に来ていた事がわかった。
:07/05/27 04:53 :W43CA :☆☆☆
#521 [林奈]
けど育ての父は、そんな父親を責める事なく、繰り返し説得してたらしい。
「あの子が二十歳を過ぎるまで待ってほしい。きちんと受け止められる年まで」
って・・・。
:07/05/27 04:56 :W43CA :☆☆☆
#522 [林奈]
私を思い必死になってた父。
私は思わず涙が出てた。
どんな思いだったんだろう・・・。
それを考えただけで切なくなった。
:07/05/27 15:07 :W43CA :☆☆☆
#523 [林奈]
駅からまた一時間車を走らせた田舎。
待ち合わせ場所にした小さな喫茶店に入った。
そして数分後、ドアの鈴が鳴り、私も母も見入った。
するといたのは、中年の男の人・・・。
:07/05/27 15:24 :W43CA :☆☆☆
#524 [林奈]
「タツヒコ」
母が口走った。
タツヒコと言う人は私達に近付いた。
「林奈ちゃん?」
タツヒコという人は私に聞いた。
:07/05/27 16:16 :W43CA :☆☆☆
#525 [林奈]
「はい」
「初めまして。今日はありがとう」
優しい顔をした。
私はそんなタツヒコさんに一瞬ためらった。
:07/05/28 08:59 :W43CA :☆☆☆
#526 [林奈]
「この人があんたの父親」
“分かるよ。分かるけどどう話せばいいか分からない”
戸惑いを隠せなかった私。
そんな私にタツヒコさんは言った。
:07/05/28 09:28 :W43CA :☆☆☆
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