もう二度と・・・
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#49 [林奈]
全力疾走。久々に走った。けど警官の足はさすがに速い。すぐ捕まった。
「来なさい」
そう言われて連れていかれた派出所。
心臓バクバクだった。
:07/04/09 22:19 :W43CA :☆☆☆
#50 [林奈]
「ほんとはいくつなの?」
「14です」
「東京の子じゃないよね?」
カンずかれてた。警官はうちらに出した紙。
家の電話番号を書きなさいと言われて、うちらは拒否した。
:07/04/11 21:01 :W43CA :☆☆☆
#51 [林奈]
拒否した時、警官に言われたこと。
「家族に不満があるならこんな形じゃなくて言葉で伝えなきゃ分からないよ」
確かにそうだと思った。けどこんなちっぽけなうちらの声に親は耳を傾けない。だからうちらは早く“自立”がしたくてしかたなかった。それが“家出”と言う形になっただけ。ただそれだけなんだ。
:07/04/12 19:48 :W43CA :☆☆☆
#52 [林奈]
警官に話しても、分かってくれるわけない。頭ごなしに説教。イライラした。だからうちらは黙ったままになり、派出所に来てから二時間。前田くんが口を開いた。
「家に電話してください」
うちはムカついた。あんなに家が嫌いだって言ったのに、簡単にあきらめる前田くんに対して、一気に冷めた。
:07/04/12 19:55 :W43CA :☆☆☆
#53 [林奈]
そしてうちもあきらめて家の番号を教えた。
警官がまず前田くんのお母さんに電話した。お母さんはすぐに駆けつけると言った。そしてうちの家に電話。父が出た。父と母が来ると言った。
“もしかして少しは心配してるかな?”
今度こそ期待できるかもしれない。。
:07/04/12 20:07 :W43CA :☆☆☆
#54 [林奈]
1時間くらい待った。先に来たのは前田くんのお母さん。
お母さんは前田くんと会話をする前に、ひたすら頭を下げてた。そんな姿が、何か羨ましいと思ったんだ。
:07/04/12 21:12 :W43CA :☆☆☆
#55 [林奈]
お母さんはうちの顔を見て言った。
「あなたがこの子を巻き込んだんでしょう?この子は有名な高校に行かせるんだからもう構わないでよ」
うちはただ謝るしかできなかった。
でも思ったんだ。
こんな風に自分の子をかばう親がいてくれて、前田くんは幸せだよって・・・。
うちには考えられない光景だった。
:07/04/13 10:15 :W43CA :☆☆☆
#56 [林奈]
その後すぐに、父と母が来た。
血相を変えて来た。そして母はうちを抱きしめてきた。
「心配したんだよ」
初めて言われた。
これが『親』の本心なんだよね?
期待してよかった。そう心から思ったのに・・・。
やっぱりうちはいらない子だった。
:07/04/13 10:20 :W43CA :☆☆☆
#57 [林奈]
警官に謝り、前田くんともお母さんとも会話をしずに別れた。車の中。無言が続く。
「ゴメンナサイ」
勇気を出して言った一言。
けど伝わらなかったんだ・・・。
「ほんとはあんたなんてどうでもいいんだけどね。けど捕まって恥かくのは御免だよ」
物凄い悲しさが突き刺さった。
:07/04/13 16:19 :W43CA :☆☆☆
#58 [林奈]
うちは泣くにも泣けずに下を向くしかできなかった。
父も母の言葉に対して怒ることもしない。
ほんとに悲しかった。自分の存在価値なんて、そんなもんなんだと悟った。
:07/04/13 17:44 :W43CA :☆☆☆
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