もう二度と・・・
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#146 [林奈]
うちはまず祖父に聞いた。
けど知らないの一点張りだった。
帰ってきた父にも問い詰めた。
気まずそうな顔。
一瞬で分かった。
あの手紙が事実だという事が・・・。
:07/04/27 21:53 :W43CA :☆☆☆
#147 [林奈]
「座りなさい」
いつも以上に真面目な顔の父は、話を切り出した。
兄が生まれてすぐ、母は前の恋人と駆け落ち。そして何年かして戻って来た時に、うちが母のお腹の中にいたらしい。恋人は無職。そんな母を置いて出て行き、仕方ない母は家に戻りうちを産んだ。
そんな母を、祖父達は許すはずがない。けど父は、兄のためにと離婚はしず、母をまた家に入れる事にした。
それから15年。
うちがだんだん母みたいになると同時に、父も知らない恋人と言う男にも似てきた事に、戸惑いを隠せなかったそうだ。
:07/04/28 00:46 :W43CA :☆☆☆
#148 [林奈]
逃げた恋人を恨み、そしてその人と血を分けたうちの事も憎い母。
だからうちは可愛がってもらえなかったんだ。
この時今まで母や祖父達にされてきた事が全てつながった。
ただただショックだった・・・。
うちは望まれなかったんだね・・。
:07/04/28 00:50 :W43CA :☆☆☆
#149 [林奈]
うちは父に聞いた。
「ねぇ、じゃあお父さんもうちの事可愛く思わなかったんだよね?」
「そんなことない」
言葉とは逆に、しっかり可愛くないと顔に書いてある。
父のあの表情は今も目に焼き付いてしまってる・・・。
:07/04/28 11:17 :W43CA :☆☆☆
#150 [林奈]
この複雑な気持ち。うちはどこにぶつけたらいい?
気づいたらノブヒロの携帯番号が書かれてる紙を握りしめてた。
“もう忘れてるよね?一年も経つし”
うちはそう思いながら誰かに聞いてもらいたくて電話した。
:07/04/28 11:32 :W43CA :☆☆☆
#151 [林奈]
コールが鳴り、手が震えた。
5回目のコール。
「はい。高島です」
「ノブヒロさんの携帯ですか?」
「そうですけど、あなた誰?」
「アユミです。一年前に会った」
一瞬無言になったノブヒロ。
うちは電話を切りたくなった。
:07/04/28 11:37 :W43CA :☆☆☆
#152 [林奈]
けどノブヒロはすぐに声を変えた。
「久しぶり。元気にしてる?電話ないからもう諦めてたよ」
優しい声。
うちはその声を聞いた途端に涙が出てきた・・・。
:07/04/28 11:39 :W43CA :☆☆☆
#153 [林奈]
溢れ出す感情。
何から話せばいいのか分からずただ泣くだけ。
ノブヒロはそれでも泣きやむまで待ってくれてたんだ。
少し落ち着いてうちから話す。
「ごめんね。忙しいのにね。切るね」
「ちょっと待って!明日会おう!19時に駅前で」
ノブヒロはうちと会う約束をしてきた。
:07/04/28 11:44 :W43CA :☆☆☆
#154 [林奈]
学校からすぐ帰り着替え、待ち合わせ場所に行く。
その足取りは軽やかで、一年振りに会うノブヒロにドキドキしてた。
そして駅前で待つスーツ姿の、ノブヒロ。うちは近付くにつれて何て声をかければいいのか迷ってた。
その時うちの姿に気付き寄ってくるノブヒロ。
:07/04/28 13:52 :W43CA :☆☆☆
#155 [林奈]
「久しぶりだね。アユミちゃん何かちょっと痩せたね?」
「そんな事ないよ。ノブヒロさんは変わらないね」
久しぶりなのに、何か暖かい気持ちになってく・・・。
車に乗りうちは気付いた。
ノブヒロの左手にある指輪。
:07/04/28 13:57 :W43CA :☆☆☆
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