もう二度と・・・
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#162 [林奈]
「アユミちゃんはお父さんもお母さんも大好きなんだね」
意外な言葉だった。思わずうちは返してた。
「大好きなわけないやん!めちゃくちゃ恨んでるよ」
「恨みもあるかもしれない。でも大好きだからこんなに涙が出るんだと思う。寂しいって言う感情は、好きな相手にしか現れないと思うけどな・・」
:07/04/29 01:30 :W43CA :☆☆☆
#163 [林奈]
ノブヒロの言葉がうまく飲み込めなかった。
そしてノブヒロはまた言う。
「お子ちゃまにはまだわかんないかな」
“え?”
「ほんとはまだ16とかだろ?」
:07/04/29 01:50 :W43CA :☆☆☆
#164 [林奈]
「何で?」
「分かるよ。アユミちゃんと別れて考えたらさぁ、やっぱり年偽ってるなって思った」
全部バレてた。
:07/04/29 01:52 :W43CA :☆☆☆
#165 [林奈]
「ほんとはいくつなの?」
「今高1だよ」
「そっかぁ」
「怒らないの?」
「俺が怒れるわけないやん。俺もやったんだし」
ノブヒロは苦笑いで答えてた。
:07/04/29 03:23 :W43CA :☆☆☆
#166 [林奈]
いつの間にかたわいもない話で盛り上がってた。
気付いたら親の事なんてどうでもよくなってた。
また車を地元へと走らせた。
車中でノブヒロは真面目にまた聞いててきた。
「あれから援助交際はしてない?」
「してないよ」
「よかった」
ノブヒロが笑った。
:07/04/29 03:26 :W43CA :☆☆☆
#167 [林奈]
ノブヒロといると安心してる自分がいた。けどそれは、恋愛とかじゃない。
お兄さんのような安心感だった。
帰り際、うちはノブヒロに聞いた。
「また会える?」
「いいけど仕事とかあるし嫁もいるから、アユミちゃんが会いたい時に会えないかもしれないよ?」
「いいよ」
ノブヒロは少し困った顔をしたけど、うちのワガママを聞いてくれたんだ。
ノブヒロはほんとに優しい人だった。
:07/04/29 03:30 :W43CA :☆☆☆
#168 [林奈]
家の近くまで来ると、頭をなでて笑ってくれたノブヒロ。
うちは思った。
“ノブヒロの家庭を壊したらいけない”って・・・。
家に着いた時はもう日付が変わってた。
:07/04/29 03:33 :W43CA :☆☆☆
#169 [林奈]
“きっとお父さんも起きてるわけない”
そう思いながら玄関に入り電気を付ける。すると玄関にうずくまりながらウトウトしている父がいたんだ。
“なんで?”
嬉しいのに素直になれずに父の横を通り過ぎた。
:07/04/29 10:13 :W43CA :☆☆☆
#170 [林奈]
気配に気付いた父が起きた。
「こんな時間まで何してたんだ。でも帰ってきてよかった」
小さく言った、“よかった”の言葉。
ちゃんと聞こえた。
今までどれだけ夜中になっても言われなかった一言。
:07/04/29 17:16 :W43CA :☆☆☆
#171 [林奈]
“この言葉が欲しかった”
心の中でとっさにつぶやいてたのを今もはっきり覚えてる。
でもだからと言って恨みが消えたわけでもなく、嬉しさと憎しみが半々の中でうちはまた、父にはむかった。
:07/04/29 17:18 :W43CA :☆☆☆
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