もう二度と・・・
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#200 [林奈]
一瞬後悔した。
けど、もう後戻りはできないから。


「辞めても友達だからね?」


サオリの顔は寂しそうだけど、優しかった。


マサにも伝えるからと言い、サオリと別れた。

⏰:07/05/02 10:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#201 [林奈]
その日の夜、母が家に来た。


「あんた学校辞めたんだって?」


「だからなに?」


「恥ずかしいと思わんの?」


“恥ずかしい?意味分からん”


うちは母の言葉に腹が立って言い放った。

⏰:07/05/02 10:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#202 [林奈]
「誰のせいだと思ってんの?あんたが15年前にした事は何?よその男との子ども作って、ギャンブルして、あんたの方がよっぽど恥ずかしいわ」


驚いた母の顔。
何で知ってるの?
そんな顔をした。


「全部聞いたわ!手紙も読んだ!うちなんて生まれてこなきゃよかったんだよ」

うちの言葉に複雑な顔をした母。


うちまで辛くなるよ・・。

⏰:07/05/02 11:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#203 [林奈]
結局母から謝りの言葉はなかった・・。

“何で生まれたんだろう”


本気で思った。
望まれて生まれてきたわけじゃない。


自分の存在価値なんてない。


悔しかった。

⏰:07/05/02 11:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#204 [林奈]
悔しくて悔しくて涙が出た。


何でこんな早く知っちゃったんだろう。大人になって知ってたなら、少しは許せたかもしれない。


15歳の心は完全に壊れた・・・。


そして見つけた答えは、“お金”だったんだ。

⏰:07/05/02 11:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#205 [林奈]
信じられるモノなんてない。


親も友達も結局うちを裏切る。


『悲劇のヒロイン』

言い訳並べて現実から逃げ出した。


向き合う事より、自分を“被害者”にすれば、楽になれると思ってた。


ほんとにバカだった。

⏰:07/05/02 11:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#206 [林奈]
次の日、うちはトモミと一緒にまた援交をした。


1日に二回も。


夜中、トモミは紹介したい人がいると言い、アパートに連れてかれた。

⏰:07/05/02 11:18 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#207 [林奈]
部屋に入り、いたのはトモミと同い年みたいな感じの女の子。


「こんばんは」


「入って」


「トモミ、この子が林奈ちゃん?」


「そうだよ」


うちは何だろう。そう思った。

⏰:07/05/02 11:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#208 [林奈]
「あたしは、ヒロコだよ。トモミのいっこ下の17だよ。林奈ちゃんの事は聞いてたよ。あたしも実はトモミとエントモなんだ」


「そうなんですか。よろしくです」


「敬語やめようよ」

可愛らしい笑顔のヒロコとの出会い。
でも見た目は、ヤンキーっぽい。
ヒロコはうちにすぐ慣れてくれて、うちもまたヒロコに何か共通なモノを感じた。

⏰:07/05/02 11:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#209 [林奈]
ヒロコとトモミは、友達を通じて知り合い、親に反抗してヒロコは家を出て、一人暮らしを始めたらしい。


うちはヒロコの生き方が格好いいと思った。


ヒロコとの出会いをきっかけに、うちは家を出た。
ヒロコは何も聞かずに家に入れてくれた。お金貯まるまで、家にいてもいいと言ってくれた。

⏰:07/05/03 11:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#210 [林奈]
そしてトモミも卒業を控えた三年目に、中退。
さすがにうちもヒロコも反対したけど、無理だった。


女三人の共同生活。

ワンルームのアパートは狭いけど、これから始まる未知の世界にワクワクしてたんだ。

⏰:07/05/03 15:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#211 [林奈]
昼間起きてそれぞれに、テレクラに電話する。
ヒロコは馴染みの人と約束したり色々。1日に3人の相手をして、10万近く儲ける。
夜中ゴキゲンなうちらは、ナンパ待ちに繰り出すんだ。


そんな生活を続けて、二週間近く経ってから、ノブヒロから電話があった。

⏰:07/05/04 01:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#212 [林奈]
だいぶ前に携帯を買ったことを留守電に入れてから、ノブヒロから連絡はなかった。


「久しぶりだね。元気?」


「元気だよ。ノブヒロさんは?」


「元気。学校ちゃんと行ってる?」


「辞めたよ」


「は?なんで?」


「色々とね」


そのあとノブヒロはうちに会いたいと言ってきた。

⏰:07/05/04 01:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#213 [林奈]
ヒロコの家から近い喫茶店で待ち合わせして、ノブヒロと色んなことを話した。

学校を辞めた理由に怒ることはなかった。でも、援交をまたやってるなんて言えずに、そのまま別れた。

⏰:07/05/04 01:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#214 [林奈]
ノブヒロに嘘をついたことへのモヤモヤ感。

初めて罪悪感が生まれた・・・。


そしてそんな気持ちを抱きながらうちは、援交を続けてた時、ある人にうちは出会った。


その出会いは最悪で何度も後悔した。


いつものように、ナンパ待ち。
たくさん声をかけられ、顔がなかなかいい人に付いていったんだ。

⏰:07/05/04 03:55 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#215 [林奈]
三対三。


カラオケに着き、自然と三組に別れる。うちの隣に座った、“ジュン”はうちの3つ上。
顔もさわやか系で、うちのタイプ。
話す事も面白いし、何よりさり気ない優しさが好印象だった。


けど今思えば、ただのたくらみだったんだ。

⏰:07/05/04 03:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#216 [林奈]
三時間カラオケをして、ヒロコとトモミはジュンのツレと飲みに行った。
うちとジュンは、飲みに行くより、ドライブがしたくて、海まで出かけた。


二人きりになっても手を出してこない。奥手なのか、うちに興味がないのかさっぱり分からなかった。


けど、海で話してる時、ジュンは急に元カノの話をし始めた。

⏰:07/05/04 04:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#217 [林奈]
浮気をされ、おまけに二股で、妊娠して結婚したらしい。だから女は信用できないと言った。


けど、そんな中、うちの顔をジーッと見る。


「なに?」


「ねぇ俺と付き合わない?」


「さっき会ったばっかじゃん」


「林奈ちゃんとならうまく付き合えそうなんだ」

⏰:07/05/04 04:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#218 [林奈]
うちもバカだったから、素直に、ジュンの気持ちが嬉しいと思ってしまった。
好きになるかどうかわからない。

けど、飽きたら別れればいいやん。


軽く考えてた。


けど、甘かった。

⏰:07/05/04 04:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#219 [林奈]
とりあえず携帯番号の交換。
社会人のジュンは、プーのうちを養うとまで言い出した。
うちはそれを真に受けて、ジュンを一気に好きになった。


ジュン自身ではなく、お金に惹かれてたんだ。

⏰:07/05/04 17:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#220 [林奈]
三時間半前に出会ったばっかのうちらは、後先考えることなく付き合った。


お金じゃなく、彼自身を好きになる日は必ず来る。


うちはそう信じた。

信じたはずなのに・・・。

⏰:07/05/05 09:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#221 [林奈]
家まで送ってもらった時はもう朝日が差し込んでた。
トモミとヒロコはまだ起きてた。


「やっと帰ってきた!心配したんだよ」

「ごめん。海まで行ってた」


「ならいいけどさ」

ニコニコのうちに、ヒロコはまた聞いてきた。

⏰:07/05/05 09:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#222 [林奈]
「朝っぱらからニヤニヤしてなに?」


「実は付き合うことにしたんよ」


「は?」


「貢いでくれるとか言うし、いいかなと思って」


二人はあっけにとられてた。

⏰:07/05/05 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#223 [林奈]
「まじで?」


「うん」


「ラッキーやん。でもあの子19くらいでしょう?あんたに貢ぐ金あんの?」


「あるんじゃない」

二人は少し不思議そうに言ったけど、反対はしなかった。

⏰:07/05/05 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#224 [林奈]
昼間目が覚めて、携帯を開ける。


―着信20件―


ジュンからだった。

“なにこれ?”


うちはすぐにジュンに電話した。何かあったのかと思った。

⏰:07/05/05 11:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#225 [林奈]
「もしもし。ごめん寝てた。どうしたの?何かあった?」


「ごめんな。少し話したかったから、電話したけど出ないから何回もしちゃってさ。ごめん」


「いいよいいよ。仕事は?」


「今日は夜勤だから、今から少し寝るよ。電話ありがと」


電話を切ったあと、ジュンのそんな所が可愛らしいと思ったんだ。

⏰:07/05/05 11:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#226 [林奈]
それがいつしか可愛いとは思わなくなるなんて・・。

想像もつかなかった。


ジュンは大手の車の会社に勤めてる。夜勤と昼勤があるらしい。


8時半から17時半までの決まった時間に終わるわけじゃない。だからそんなに縛られずに、援交ができると思った。

⏰:07/05/05 11:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#227 [林奈]
誰か読んでくれてるかなよければ感想くださいm

⏰:07/05/05 11:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#228 [林奈]
ジュンの夜勤中に、またうちは仕事に繰り出した。


そしてまた3万を頂き、帰る。
援交を、“天職”だと思ってたうち。


ほんとにほんとにバカな女だった。

⏰:07/05/05 11:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#229 [林奈]
そして時々ジュンとのデート。
ドライブや買い物。普通のカップル。
ジュンは優しくて、いつもうちを優先に考えてくれる。
そんなジュンに、うちはほんとに恋をし始めてた。


前田くん以来恋をする事が怖くて、オヤジやナンパしてきた相手に恋なんて望まなかった。


だから自分でも変な感じがして仕方なかったんだ。

⏰:07/05/05 11:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#230 [林奈]
帰り際、ジュンはうちに毎回、1万をくれる。
次に会うまでにこれを使ってって。
週に一度のペースで会い、援交以外で外に出る機会も減ったから、1万もほんとはいらなかった。

⏰:07/05/05 11:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#231 [林奈]
ジュンと付き合いだして1ヶ月。
うちは援交をしなくなってた。
今まで貯めたお金もあるし、ジュンからももらえる。
援交してるのが、バカバカしく感じるようになってた。


トモミとヒロコはそんなうちを、羨ましいと言ってたな。。

「やめれるなら援交なんてやめたほうがいいよ」


二人はジュンをきっかけにやめることをすすめてきた。

⏰:07/05/05 11:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#232 [林奈]
うちも、もうやめようと思ってた頃、ジュンが変わりだした。
メールが少し遅れると電話で怒鳴るし、ジュンが仕事中にでも、メールを入れなきゃ、わざわざ家まで来る。


少しおかしいとは思った。
けど、ただうちを好きでいてくれてるんだ。そう思ってた。

⏰:07/05/05 11:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#233 [林奈]
デート中でも体を求めてはこないし、そんなジュンは純粋な人なんだと思ってた時、ある人の話を聞くきっかけがあった。


それはコンビニに出かけた夕方。店内でうちに話しかけてきた女の人。

⏰:07/05/05 11:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#234 [林奈]
「あのぉ、ジュンくんの彼女さん?」


「はい。そうですけど、あなたは?」


「ジュンの元カノ」

「なんでうちを知ってるの?」


「少し前に、あなたとジュンが歩いてるの見かけて、また会えると思って毎日通ってたんだ」


「何のために?」

⏰:07/05/05 11:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#235 [林奈]
「時間ある?ちょっと話せないかな?」

「いいですよ」


コンビニの前にあるファミレスに入り、女の人は自己紹介をし始めた。

⏰:07/05/05 11:53 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#236 [林奈]
女の人は、ナツミさんと言い、ジュンとは三年前に付き合っていたらしい。学年的にジュンの二つ上の、21歳。


ナツミさんはうちにどうしても伝えたいことがあると言う。

「伝えたい事ってなんですか?」


「信じる信じないはあなたの自由だけど、今から話すことは全部事実だから」


「はい」

⏰:07/05/05 11:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#237 [林奈]
ナツミさんと付き合ってた時、束縛がひどくて、少しでも待ち合わせに遅れると、殴られたりしてたそうだ。そんなジュンに嫌気がさして、男友達に相談して、その人の事が好きになったから、別れを切り出したら、今度はストーカー。ナツミさんは妊娠して結婚をきっかけに、ジュンからのストーキングはなくなったそうだ。

⏰:07/05/05 12:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#238 [林奈]
それだけじゃない。ジュンが片思いしてた、ナツミさんの知り合いの子にも、ストーカー的なことをしていたそうだ。
それも、二人だけじゃなくて、4人に。

ナツミさんは、ジュンとうちの姿を見て、同じ目に遭ってるんじゃないかと思ったらしい。うちはナツミさんの話を聞いて、寒気がした。

⏰:07/05/05 12:07 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#239 [林奈]
“まさか”


そんな風に思いながら、必死に言い聞かせた。
けど思い出すのは、最近のジュン。


「付き合ってどれくらい?」


「1ヶ月くらい」


「最近変って思うことない?」


「ある」


うちも最近のジュンの話をした。

⏰:07/05/05 13:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#240 [林奈]
「悪い事言わないから、別れた方がいいよ」


「でも・・」


ナツミさんの言うことに嘘はないと思う。わざわざ自分の悪い所まで言うくらいだから。


けど、ジュンの事は好きなんだ・・・。

⏰:07/05/05 13:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#241 [林奈]
どうすればいいか分からない。


ナツミさんと、2時間近く話をしてる間にもジュンからの電話は鳴りやまなかった。


ナツミさんともう会うことはないだろう。そう思いながら別れた。

⏰:07/05/05 13:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#242 [音々]

読んでマス
凄くイィですョッ
楽しみにしてるんで
コレカラも頑張って下さぃ

⏰:07/05/05 15:59 📱:D902iS 🆔:☆☆☆


#243 [林奈]
すぐにジュンに電話した。


「ごめん寝てた」


「昼間っから寝てんじゃねーよ。今から行くから」


「意味わかんない。急になに?」


「会いたいからにきまってるだろ」


ジュンはキレ口調で言ったあと、電話を切った。

⏰:07/05/05 16:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#244 [林奈]
音々さんありがと読んでくれる人あんまりいないと思ってたからさm頑張るよ

⏰:07/05/05 16:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#245 [林奈]
うちはすぐに準備して、ジュンを待った。けど、ナツミさんの言った事がどうしても頭から離れない。


信じたくない。けど、うちもナツミさん達と同じ目に遭ったらどうしよう。



色んな気持ちが交差する。

⏰:07/05/05 16:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#246 [林奈]
カマをかけようと思った。うちの質問に、ジュンはありのままを答えてくれるなら、ナツミさんの言った事は忘れよう。

もし嘘をつくなら・・・たとえそれがどんな理由でついた嘘でも別れよう。


うちは大きな賭けにでた。

⏰:07/05/05 16:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#247 [林奈]
ジュンはさっきの事は何もなかったかのように普通の顔をしてる。
ご飯食べて、ドライブして。いつもと変わらないデート。


そしてうちはジュンに聞いてみた。

⏰:07/05/05 17:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#248 [林奈]
「ねぇ、ジュンはフラれた時はきっぱり諦めるタイプ?」


「なんで?」


「友達がね、別れようって彼氏に言ったらすぐにいいよって言ったらしくて、男はみんなそうなのかなって言ってたからさ。ジュンはどうかなと思って」


「俺もすぐ手引く方かな。今までもそうだし。未練たらしくいたくないしね」


“嘘だ”


ジュンはうちに嘘をついた。

⏰:07/05/05 17:35 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#249 [林奈]
「そっかぁ。未練たらしいのはダメだよね」


ナツミさんに聞いた事を言うか迷った。でも、もし逆ギレしたら?
そう思ったら言えなくて・・・。


また話題を変えた。

⏰:07/05/05 17:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#250 [林奈]
違う話をしても頭から離れない。


“過去は過去だし”

今は違うかもしれないしね。
嘘をついたのは、それだけうちを大事に思ってくれてるからなんだって言い聞かせた。


別れようなんて、怖くて言えずに、家に帰った。

⏰:07/05/05 17:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#251 [林奈]
その次の日からジュンの束縛はエスカレートしていった。
用がなくても、1日に電話は二回すること。
ジュンからの着信はワンコールで出ること。
出掛ける時は必ずメールか電話をすること。
友達と出掛ける時は、女友達か確認するために、ジュンに電話すること。


まだあったと思うけど忘れた。

⏰:07/05/05 17:46 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#252 [我輩は匿名である]
私わ束縛好きなんですょxxだからそれくらいの束縛されたいです。

⏰:07/05/05 17:48 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#253 [林奈]
ジュンのスケジュールは前もって知らされていて、ジュンが電話に出れる時間しか、出かけたらいけなくなり、しまいには夜は外出禁止になった。


うちもバカだったから全部言うことを聞いてしまってた。

⏰:07/05/05 17:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#254 [林奈]
我輩さんは好きなんだm中にはそういう人いっぱいいるよねでも、これ結構しんどかったよm

⏰:07/05/05 17:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#255 [ゆん]
匿名になってたL確かにしんどそう電話かけてくるのわうらやましいですIP

⏰:07/05/05 17:53 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#256 [林奈]
ゆんさんへ
電話だけならまだ許せるかもしれないけどね・・mでもうちは耐えられなかったなm

⏰:07/05/05 17:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#257 [林奈]
トモミとヒロコはそんなうちを見て心配してた。


単純にジュンが好きだったから。


けど、好きだけじゃ済まされないことが起きた。


トモミもヒロコも巻き込んでしまった出来事・・・。

⏰:07/05/05 17:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#258 [林奈]
忘れもしない出来事は土曜日の夜に起きた。


その日の夕方、昼勤を終えたジュンから電話があり、いつものようにワンコールで出た。


「おつかれ」


「うん」


元気がない様子だった。

⏰:07/05/05 18:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#259 [ゆん]
私、束縛っていうものされた事ないから林チャンがうらやましいなっxて思ったけど、辛そうですねソ書くの見守ってます!!

⏰:07/05/05 18:01 📱:W41SA 🆔:☆☆☆


#260 [林奈]
「どうしたの?」


「今日、職場の先輩達に飲みに誘われて、彼女と彼女の友達も連れてきてって言われたんだ」


「そうなんだ。で、どうするの?」


「職場の人達だし、断れなくていいよって言っちゃった」


「え?まじでか」


「ごめんな」

⏰:07/05/05 18:03 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#261 [林奈]
ゆんさんへ
ありがとうイ頑張って書くねメ最後まで読んでください

⏰:07/05/05 18:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#262 [林奈]
「いいよ。聞いてみるから」


ジュンと電話を切ったあと、ヒロコとトモミに聞いた。
二人はジュンの顔を立てるために、承諾してくれて、うちら三人はジュンの地元まで行った。

⏰:07/05/05 18:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#263 [林奈]
駅でジュンは待っててくれてて、会うなりうちらに必死に謝ってた。


そして居酒屋に入り、ジュンの先輩達はもう飲んでた。
一人一人紹介して、まるでキャバクラのように先輩達の間に入り、それぞれ話をしながらお酒を飲んでいた。

⏰:07/05/05 18:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#264 [林奈]
それをジュンは嫌みたいで顔に出てた。お酒もすすんで、みんないい感じになったら、一人の先輩がうちの手を握り、手相を見ると言い出した。
うちはヒヤヒヤしてた。
ボディタッチが激しくなり、ジュンの顔が強張る。

⏰:07/05/05 18:12 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#265 [林奈]
さり気なく振り払っても、肩や腕、しまいにはお尻まで。
我慢して我慢して、やっと解放された時は、日付が変わる少し前だった。


おごってくれたから先輩達には一応お礼だけ言って、うちら三人はジュンの車に乗り込んだ。

⏰:07/05/05 18:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#266 [林奈]
ジュンの機嫌が悪いのは明らかにわかるから、うちは何とかよくしようと色々話を振った。


けど無駄だった。


急に車を路肩に止めて、静かだったジュンが口を開いた。

⏰:07/05/05 18:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#267 [林奈]
「お前、何ヘラヘラしてんだよ!そんなに嬉しかったか?」

「嬉しいわけないやん」


「ならきちんと断ればよかっただろ」


「誰のために行ったと思ってんの?ジュンの顔を立てるためなんだよ」


「そんなの関係ない。お前は淫乱だな!ほんとは嬉しかったんだろ」

⏰:07/05/05 18:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#268 [あやめ]
頑張ってね

⏰:07/05/05 18:22 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#269 [林奈]
頭に来た。


「はぁ?淫乱で結構。どうせうちは淫乱女だわ!あんたみたいなねぇ、ストーカー男こっちから別れたるわ」


「ストーカーってなんだよ」


「あんたの元カノから聞いたわ!あんたがストーカー行為してたから、うちに忠告してきたんだよ」

「どういうことだ」

我に返った時はもう遅かった。

⏰:07/05/05 18:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#270 [林奈]
あやめさん、ありがとうイ

⏰:07/05/05 18:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#271 [林奈]
“しまった!でも後戻りはできない”


そう思いうちは全部をぶちまけた。


「あんたの束縛はもうこりごりだわ!別れてよ」


「嫌!俺は別れないからな」


「それがストーカーっつうんだよ!」


その瞬間、ジュンはうちの首を絞めてきた。

⏰:07/05/05 18:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#272 [林奈]
男の力に逆らえない。“苦しい”そう思った時、トモミとヒロコがジュンの手を離した。


「やめろよ!おめぇ林奈殺す気か」


「お前らに関係ない」


その瞬間、トモミがうちの手を引っ張り、走り出した。

⏰:07/05/05 18:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#273 [林奈]
うちら三人は必死に走った。
ジュンは追いかけてこない。


うちは何だか分からず涙が止まらなかった。


コンビニまで走り、そこからタクシーで帰った。

⏰:07/05/05 18:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#274 [林奈]
タクシーの中、さっきの事が頭を駆け巡り、みんな無言だった。
部屋に入り、座り込んだ時、ヒロコが先に口を開いた。



「まじ危なかったな。でも逃げられてよかったよ」


「二人ともごめん」

「そんなんはいいけど、元カノの話って何だよ」


ヒロコとトモミはうちに元カノの話を聞いてきた。

⏰:07/05/05 18:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#275 [林奈]
ジュンの元カノと会い、過去の話を聞いたことを全て二人に話した。


「何でもっと早く言ってくれんかったんだ?」


「心配かけさせたくなかったから」


「そりゃ心配するけど友達だろ?うちもトモミもこうなる前に考えたよ」


「ごめん」


二人の飾らない気持ちが伝わって、自然に涙が出た。

⏰:07/05/06 06:16 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#276 [林奈]
二人はジュンを責めようとしてた。
けどうちにはできない。
ジュンのした事はいけない。でも、援交してた汚いうちが、ジュンを責めることができないって思ったんだ。



これから先どうなるのか全く分からなかった。
これでジュンが諦めてくればいいけど、何かまた一波乱ありそうな気はしてた。

⏰:07/05/06 06:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#277 [りんか]
頑張ってください!!
いつも読んでます

⏰:07/05/06 10:39 📱:SO903i 🆔:☆☆☆


#278 [林奈]
りんかさんありがとう!下手くそだけど最後まで読んでください!

⏰:07/05/06 13:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#279 [林奈]
嫌な出来事から、三日経ってもジュンからの連絡はない。
もしかしたらこのまま終わってくれるんじゃないか。
変に期待してた。


けど・・・。


一週間経った日の夜、ジュンが行動を起こした。

⏰:07/05/06 13:23 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#280 [林奈]
まず非通知の電話。そしてポストにうち宛てのハガキ。


『絶対殺してやる。覚えてろよ』


テレビのドラマに出てくるような、新聞を切り取った紙が貼り付けてあった。

⏰:07/05/06 13:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#281 [林奈]
急ですいません。これからは、『うち』を『私』に変えて書いていきたいと思います。ご了承下さい。

⏰:07/05/06 17:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#282 [林奈]
ハガキを見た瞬間、背筋が凍り付いた。私だけじゃない。
トモミもヒロコも。

「アイツ頭おかしくない?やっぱ元カノが言った事本当だったんだよ」


冷静にヒロコが言った事が益々私を恐怖へと誘う。


“どうしよう”


頭が真っ白になってた。

⏰:07/05/06 17:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#283 [林奈]
「でもさ、さすがに犯罪はしないよね?そこまでジュンも馬鹿じゃないよ」


「林奈、何を言ってるん?首絞めたり、こういうハガキ送り付ける時点でもう犯罪なんだよ」


トモミの言う事は正しい。けど、何もない事を信じたくて仕方なかった・・・。

⏰:07/05/06 17:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#284 [林奈]
ジュンに別れを告げた事は後悔はしてない。
私も怒ってたとはいえ、元カノの話をしてしまった事は後悔してる。


「これからどうなるんだろう」


ふと私はつぶやいてた。
するとヒロコから出た提案。


「引っ越そう。このままじゃおちおち寝てられないよ」


私は二人に申し訳なくて涙が出た。

⏰:07/05/06 17:38 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#285 [林奈]
そんな私に二人は優しかった。


「林奈、あんたは悪くないから泣かないの!うちらは大丈夫だからさ」


二人は笑ってくれてた。
それだけでも救われた気がした。

⏰:07/05/06 17:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#286 [林奈]
何とかその夜は過ぎ、朝になってた。
ヒロコは親戚の人に電話をしていた。
未成年の私らがアパートを借りるには、保証人が必要だからだ。


ヒロコを可愛がっている親戚のおばさんが来てくれた。

⏰:07/05/06 17:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#287 [林奈]
全ての事情を話し、おばさんは怒った。

「保証人になるのは構わないよ。けどね、本当は親元にちゃんと帰った方がいいんだよ。そんな男はあんたらだけじゃどうにもならないと思うよ」


「わかってます。けど、実家には絶対戻りたくないんです」

必死に訴える私に、おばさんはやっと承諾してくれたんだ。

⏰:07/05/06 17:48 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#288 [林奈]
今までいたアパートの保証人もおばさん。ヒロコは一度も滞納した事はない。だからおばさんは、ヒロコを信用していたから、新しいアパートを探してくれた。

私は怖くて外にも出れない。
いくらジュンが仕事中だとしても、休んでまでどっかで待ち伏せしていたらとか考えたら、怖くて仕方なかったんだ。

⏰:07/05/06 17:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#289 [林奈]
私の不安を取り除こうと、トモミとヒロコは一緒にいてくれてた。
それが嬉しい反面、申し訳なかった。


けど、心底思ったことがある。


“血の繋がった親よりも、二人の方が何十倍も信じられる”ってこと・・・。

⏰:07/05/06 17:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#290 [林奈]
おばさんは、その日のうちにアパートを探してくれた。


そしてまた日が暮れて、夜になった。


急にまた恐怖心から体が震え始めた。


“ジュンが来る”


私はそればかり考えてたんだ。

⏰:07/05/06 17:57 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#291 [林奈]
予感が的中・・・。

ドンドンと玄関のドアを叩く音。


何も言わず、音だけが鳴り響いてた。


ヒロコが小さい穴からそっと覗く。


血相を変えて戻ってきた。

⏰:07/05/06 18:00 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#292 [林奈]
「ジュンが包丁持って突っ立ってる。警察呼ぶか?」


「警察はダメ!そうなったら私ら間違いなく家に戻される」

私は警察じゃなく、自分で何とかしなければならない。
勝手な思い込みをしていた。


あの時、警察に早く電話していればよかった・・・。

⏰:07/05/06 18:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#293 [林奈]
トモミ、ヒロコ、私のせいであんな辛くて苦しい思いさせて、本当にごめんね。

今でもあの時の事は心に引っかかったままで・・・。


二人が今幸せだとしても、私を憎んでなくても、本当に本当に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだ。

ごめんね・・・。

⏰:07/05/06 18:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#294 [林奈]
ジュンの行き過ぎた行動が、恐怖心より先に怒りを覚えさせた。


私は玄関のドアを開けてしまった。


「ジュン、あんた何してんの?いい加減やめてよ」


「何言ってるんだよ!お前が全部悪いんだよ!お前ら三人、外出てこい」


「二人には関係ないでしょ!刺すなら私だけを刺せばいいでしょ」

⏰:07/05/06 18:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#295 [林奈]
「こうなったのも連帯責任だ!出てこなければ俺が行く」


意味の分からない言葉を並べるジュン。

本当に頭がおかしいと思った。

⏰:07/05/06 18:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#296 [林奈]
トモミとヒロコは仕方なく外に出てくれた。
携帯だけ握りしめ、アパートの前の公園に行った。


時間はもう23時を回ってたのを覚えてる・・・。


公園に着き、目の前の光景に驚かずにはいられなかった。

⏰:07/05/06 18:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#297 [林奈]
私らを待ってたのはジュンだけじゃない。ジュンを含めて、六人の男達がいた。

私ら三人を囲み、ニヤニヤ笑う。


「何なのあんたら」

ヒロコがはむかった。


すると一人の男が言った。

⏰:07/05/06 18:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#298 [林奈]
「粋がいい姉ちゃんだな。お前らどうせ淫乱なんだろ?俺らの相手してくれたら許してやるよ」


「意味わからんし!あんたらの相手ってなにさ?」


そう聞いた瞬間、私ら三人はナイフと言う武器で脅されて体を捕まれた。

⏰:07/05/06 18:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#299 [林奈]
「騒ぐと刺すよ?」

またニヤリと笑い、私ら三人は別々の車に乗せられた。


この時初めて、“警察を呼べばよかった”そう思ったんだ。けど、後悔しても遅い現実。


“殺される”


真剣に感じたんだ。

⏰:07/05/06 18:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#300 [林奈]
「どこ行くの?あの二人だけには何もしないで」


何を言っても何を聞いても答えない男二人。


私は暗闇の中、気付かれないように携帯を触った。

⏰:07/05/06 18:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#301 [林奈]
手探りでメモリの1番を押す。
いちかばちか賭けてみた。携帯に慣れすぎて暗闇でも押せる自分を少し誇らしくも感じてしまった。

ノブヒロへと通話ボタンを押す。


“お願い!出て”


それを願った。

⏰:07/05/06 20:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#302 [林奈]
ノブヒロの声が聞こえないように、通話音量を最低にまで下げ、私はノブヒロに助けを求めた。


ノブヒロにこの状況が伝わるように分かる範囲で、男達に話しかけた。


「どこに向かってるの?私らをどうするの?」


あらゆる言葉を使った。

⏰:07/05/06 20:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#303 [林奈]
30分くらいしてから着いた暗い倉庫。チラッと見えた名前。


“鹿沼倉庫”


私は鹿沼倉庫の名前を意味もなくデカい声で叫んだ。


きっと男達は私を壊れた女と思っただろう。

⏰:07/05/06 20:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#304 [林奈]
倉庫に入れられ、出られないように鍵をかける。私ら三人を真ん中に集め、囲む六人の男。


ナイフをちらつかせ、ニヤニヤ笑うヤツら。


私は怒り狂った。

⏰:07/05/06 20:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#305 [林奈]
「お前ら気持ちわりぃんだよ」


「な―に言っちゃってんの?男をナメると怖いんだよ」


そしてジュンがおかしな事を言う。


「こいつらヤッちゃって」


ジュンの合図で私らは男達にそれぞれ押し倒された。

⏰:07/05/06 20:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#306 [林奈]
「やめろよ」


私らの叫びは届かなかった・・・。


私ら三人は、男達の道具にされたんだ。何回も何回も回され、男達は頂点に立つ。


涙すらも出ない。
もう殺してほしいと思った・・・。


ただ怖かった・・。

⏰:07/05/06 20:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#307 [林奈]
何時間いたんだろうか。
私らにはものすごい長く感じた。
ノブヒロにも届かない。


ほんとに諦めた。


男達が疲れ果て、私らは抜け殻状態。


その時だった。

⏰:07/05/06 20:45 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#308 [林奈]
倉庫の出入り口のドアで音がした。
夜中に響き渡る音。

一人の男がドアを開けた時、目を疑った。


ノブヒロがいたんだ。

⏰:07/05/06 20:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#309 [林奈]
“え?”


そう思った時、ノブヒロの後ろからたくさん人が入ってきた。
数えたら10人はいる。


声が出なかった。

⏰:07/05/06 20:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#310 [林奈]
「お前ら何してんだよ!その子らに何をした?」


「は?誰だてめぇ」

「その子らのツレだわ」


ノブヒロは私らを見るなり駆け寄ってきてくれた。

⏰:07/05/06 20:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#311 [林奈]
「大丈夫か?」


「なんで来てくれたの?」


「そりゃあ電話繋がっても林奈訳分からんこと言うし、けどただ事じゃないのが分かって、鹿沼倉庫だけが聞こえたらいきなり切れるし。ツレたくさん呼んで助けに来た」


私は涙が出た。
一気に涙が出てしまったんだ。

⏰:07/05/06 20:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#312 [林奈]
ノブヒロのツレ達はジュン達をボコボコにした。
一部始終を見て、私は震えが止まらなかった。


ノブヒロ達に体を支えられて、車に乗り、向かったのはノブヒロの家だった。

⏰:07/05/06 20:59 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#313 [林奈]
玄関で待っててくれたのはノブヒロの奥さんだった。


「大丈夫?とりあえず上がって」


心配そうに私らを上げてくれた。


「何があったんだ?」


ノブヒロの質問に私は全部答えた。

⏰:07/05/06 21:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#314 [林奈]
ノブヒロは私らに怒った。


「何をしてんだよ!そんな事になる前に何で俺や警察に相談しんかったんだ?」

「できるわけないじゃん。私今家出してるしノブヒロは奥さんいるんだよ?自分で何とかするしかないやん」


「嫁には前からお前の話をしてた。俺が昔援交してた事も全部話して許してもらった。お前は妹みたいなヤツだからって話したばっかだ。そんな矢先にこんな事があるなんて」

⏰:07/05/06 21:09 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#315 [林奈]
ノブヒロは泣いた。そしてノブヒロの奥さんが言った。


「この人ね、林奈ちゃんには幸せになってほしいって思ってたの。確かに昔の事は腹が立ったけど、今この人を信じようと思ったの。でもあなた達の命だけでも助かってよかった」

奥さんが私らを一人一人抱きしめてきたんだ。

⏰:07/05/06 21:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#316 [林奈]
私から電話があった時、様子がおかしいと思い、奥さんも聞いてたそうだ。奥さんが助けに行くよう言ってくれて、ノブヒロはツレをかき集めてくれたそうだ。そしてわかった事は、ノブヒロが元ヤンだという事。
ノブヒロのツレ達はすぐに集まってくれたみたい。

⏰:07/05/06 21:20 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#317 [林奈]
私は本当に感謝した。この人たちがいなかったらと思うと、涙が止まらなかったんだ・・・。


その日はノブヒロの家に泊まり、次の日奥さんのすすめで病院に行った。

⏰:07/05/06 21:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#318 [林奈]
三人とも異常はなく、けど一週間後に検査結果を聞きに行くことになった。


ノブヒロの奥さんは、“アヤ”さんと言う。アヤさんとノブヒロは私らが落ち着くまで家にいていいと言ってくれた。

⏰:07/05/06 21:25 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#319 [林奈]
次第にアヤさんとノブヒロの優しさに、心が安らいでいったんだ・・・。
それはトモミもヒロコも一緒だった。


援交をしてる女だから、レイプされたくらい何とも思わないだろう。


普通思うと思う。


けど違うんだ・・。

⏰:07/05/06 21:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#320 [林奈]
同意のない関係はやっぱり怖い・・・。

自分の過ちで、トモミとヒロコまでも傷付けて、ノブヒロ達までにも迷惑をかけた。


ほんとに最低なヤツだ・・・。

⏰:07/05/06 21:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#321 [林奈]
検査結果を聞きにいき、問題はやっぱりなかった。
でも安心はできない。
またジュンに何かされるんじゃないか。それだけだった。

⏰:07/05/06 21:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#322 [林奈]
だいぶ落ち着いた頃、ノブヒロに連れられて、私らを助けてくれた人達にお礼を言いに回った。
みんないい人達で、無事でいる私らに笑顔を見せてくれたんだ。


そして私ら三人は新しいアパートへと移った。


ジュンの逆襲に怯えながら・・・。

⏰:07/05/06 21:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#323 [林奈]
トモミとヒロコはあんな目に遭わせた私を責めたりしなかった。
それが逆に辛くて。

二人は何事もなかったかのように笑ってる。それは私に対しても変わらなかったんだ・・・。

⏰:07/05/07 09:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#324 [林奈]
あの事がきっかけで、二人は援交をきっぱり辞めた。
それぞれ、新しいまともな仕事に就こうとしてた。


それは私も同じだった・・。

⏰:07/05/07 09:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#325 [林奈]
ヒロコはファミレスのバイト。
トモミは服屋のバイト。
私はドラッグストアのバイト。


私ら三人は戸惑いながらも新しい仕事に馴染み始めてた。

⏰:07/05/07 09:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#326 [林奈]
ジュンから何の連絡もなく、また平凡な生活が戻ってた。


あの事からもう1ヶ月経とうとしてた。

そしてノブヒロとアヤさんの家にも遊びに行けるようになった。
二人は私ら三人を妹のように可愛がってくれてた。

⏰:07/05/07 10:02 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#327 [林奈]
トモミもヒロコも変わりなく生活し、気付いたらもう私も、18になった。


その間に実家に帰ることは一度もなかった。心配にもならない。


“あんな家は家なんかじゃない”


私はずっと思って過ごしてた。

⏰:07/05/07 10:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#328 [林奈]
そんな日々の中、久しぶりに父から電話があった。


初めの言葉は、「元気にしてるか?」ではなく、冷たい言い方。


「話したい事があるから近々家に来なさい」


一方的に電話を切られた。

⏰:07/05/08 07:52 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#329 [林奈]
“今更なに?”


父の素っ気ない言い方に腹が立った。


次の日仕方なく何年振りに実家に戻ってみた。
相変わらず兄はまだ引きこもり。
変わらぬ家の中に、急に安心感を覚えたんだ。

⏰:07/05/09 10:34 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#330 [林奈]
父に会い、私の顔を見て、突然話し出した。


「ひぃばあちゃんが体調悪い。もう98にもなるし医者は時間の問題って言うんだけど、お父さんは仕事でなかなか看病できないからお前に帰ってきてほしい」

初めて私に頭を下げた父。

⏰:07/05/09 10:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#331 [のり]
毎日読んでるよ!がんばってぇぇ!

⏰:07/05/09 10:42 📱:N702iD 🆔:☆☆☆


#332 [林奈]
のりさんありがとね!がんばるね!

⏰:07/05/09 13:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#333 [林奈]
私は迷った。
今更って思った。祖々母にも可愛がられた記憶はない。


“あんなばぁさんどうなってもいい”


そう思うのに・・。迷う自分がいた。

⏰:07/05/09 13:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#334 [林奈]
私はノブヒロに相談した。
ノブヒロの家に行き、アヤさんにも聞いてもらった。


するとノブヒロは私に言う。


「もう帰ったほうがいいんじゃないか?いい機会だし。お父さん、ほんとは淋しいんだと思うぞ」


「淋しいわけないやん。久しぶりに電話してきても、元気か?の一言もないんだよ?」


「お前バカだな。久しぶりだから言えなかったんだよ。お父さんも迷ったんじゃないかな。帰ってやれよ」

⏰:07/05/09 14:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#335 [林奈]
私はノブヒロの説得で家に帰ることにしたんだ。


トモミとヒロコは寂しそうにしてくれたけど、ずっと実家にいるつもりはなかった。


実家に戻った時、父は少し笑顔だった。

⏰:07/05/09 14:05 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#336 [林奈]
何年か前まではありえない表情。
しかもよく見たら会わないうちに、痩せて老けた感じがしたんだ。


何かふと、申し訳なく思えた・・。

⏰:07/05/09 14:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#337 [あやめ]
頑張れ

⏰:07/05/09 22:05 📱:SH702iS 🆔:☆☆☆


#338 [林奈]
父が言った初めての「ごめん」は何だか切ないけど暖かい気がした。


私は家事全般をすることになった。
昔の自分ではありえない心の変化。


それは“この家にいてもいいかも”っていつしか思うようになってた。

⏰:07/05/09 23:26 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#339 [林奈]
家にいる間、兄と話す時間も増えてく。たわいもないテレビの話やご飯のメニュー。
兄はいつしか笑うようにもなった。


それは些細な事で、私が小さなミスをしたりするってだけの理由。

⏰:07/05/09 23:29 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#340 [林奈]
実家に戻り1ヶ月経った頃、祖々母の様子がおかしくなった。ご飯なんてあんまり口にしなかったのに、昔好きだったお肉が食べたいと言い出したんだ。

⏰:07/05/09 23:31 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#341 [林奈]
テレビで見たことがある。
亡くなる前、人はそれを分かってるから好きなモノを最後に口にしたいと言うらしい。


“もしかして”


私はそう思った。しきりにお肉が食べたいと言う祖々母に、私は脂気の少ないお肉を食べさせた。

⏰:07/05/09 23:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#342 [林奈]
あやめさん、いつも応援ありがとうメ
また少し書いてくね

⏰:07/05/09 23:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#343 [林奈]
「おいしい、おいしい」
と言いながら目に涙を溜める祖々母。
私に対して嫌がらせや嫌みを言ってた時の面影はなく、ほんとにほんとに優しい表情をしてた。


食べて終わり、片付けに行こうとした私の手を、祖々母が握ってきた。

⏰:07/05/09 23:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#344 [林奈]
「どうしたの?」
驚く私に祖々母は言った。


「あんたには色々苦労させたね。今さらだけどね、あんたの事は可愛くて仕方なかったんだ。こんなカサカサな手にさせちゃってごめんね」

初めて聞いた優しい言葉。
大粒の涙を流しながら言った祖々母。


胸が締め付けられてた。

⏰:07/05/09 23:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#345 [繭]
今までの読みました…

ほんまに感動する…

ほんまの小説にしたらいいのに…

小さい事で悩んでる自分がバカみたいで恥ずかしくなりました…


これからも書き続けて下さい★
最後まで読みます☆

⏰:07/05/10 01:06 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#346 [林奈]
》345さん、名前の漢字が難しくて読めないのごめんなさいmmありがとう!本にするつもりはないです。ただこんな生き方もあるって伝えたいだけで・・。最後まで頑張るね☆

⏰:07/05/10 01:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#347 [林奈]
後片付けをしていた時、祖々母の言葉が蘇る。


気付いたら私も泣いてた・・。


頑固で融通がきかない人が、泣いてた。

私も大粒の涙が溢れて止まらなかった。

⏰:07/05/10 01:13 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#348 [林奈]
祖々母はその二日後、息を引き取った。眠るように、優しい顔をして・・・。


葬儀の日、私は後悔してた。


“何でもっと大事にしてあげられなかったんだろう”


厳しさの裏にあった優しさに、私は気付きもしなかった。

⏰:07/05/10 01:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#349 [林奈]
幼すぎた自分。
私がもっと大人ならよかった・・・。


祖々母の部屋の机から見つかった写真と手紙・・・。


そこには赤ちゃんの頃の私が祖々母に抱かれてる姿が写ってたんだ・・。

⏰:07/05/10 01:19 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#350 [林奈]
写真と一緒にあった手紙を読んだ。


「林奈、今あんたは幸せかい?ちゃんと笑ってるかい?手紙を読んだってことはもうわしはいないんだろうけど、あんたは大事な大事な子やからな。血のつながりなど関係ない。お父さんにちゃんと甘えなさい」


日付が私が出ていった時だった。

⏰:07/05/10 01:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#351 [林奈]
私はただただ涙が止まらなかった。


不器用すぎる家族がいて、私は初めて家族への感謝の気持ちが込み上げてきたんだ・・・。


“気付くのが遅すぎたね・・・”


祖々母との事がきっかけで私は生まれ変わろうと思った。

⏰:07/05/10 01:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#352 [林奈]
葬儀から何日かして、久しぶりにトモミとヒロコに会った。

二人とも変わらない感じ。でも援交はもうやってないって自信満々に言ってた。

そして私も祖々母の事を話したら二人は優しい顔をしてた。

⏰:07/05/10 01:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#353 [林奈]
「林奈はもう大丈夫だよ。ちゃんと前を向いてける。こんなうちらが言うのもなんだけど、幸せにならなきゃね」


トモミの言葉が胸を締め付けた。


“汚れた過去と向き合うのは今しかないんだ”


私は強くそう思ったんだ。

⏰:07/05/10 01:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#354 [林奈]
私は家族との間にできてた溝を埋めようと努力した。


父と兄と祖父。


笑顔で話しかける私に、父も祖父も最初は戸惑ってた。
私はどんな時も冷静に歩み寄ることで、必ず分かり合えると思ったから。


一週間もしたら、家族が一緒に過ごす時間が増えてたんだ。

⏰:07/05/10 02:33 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#355 [林奈]
自分の部屋に引きこもりだった兄が、居間で寝るようにもなった。
家でご飯を食べる事があまりなかった父が、夕飯を楽しみに早く帰ってきてくれるようにもなった。いつもムスッとした顔して、自分からは話してくれなかった祖父が、喫茶店に誘ってくれるようになった。

⏰:07/05/10 02:37 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#356 [林奈]
それぞれ、何かを変えたくて努力してる。私は素直に嬉しかった・・。


食卓を囲んで笑い合うことなんて、絶対ないって思い込んでた分、ものすごい嬉しかったんだ。

⏰:07/05/10 02:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#357 [林奈]
私は信じた。


“もう一度家族を取り戻せる”


って・・・。


そして変わらない日が続き、大きな変化が訪れたんだ。

⏰:07/05/10 02:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#358 [林奈]
それは兄の進歩。


今まで引きこもりで何がしたいのかイマイチ分からなかったのに、兄は急に言ってきた。


「俺、調理師になりたい」


兄の突然の告白に、私も父も祖父も開いた口が閉じなかった。

⏰:07/05/10 02:44 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#359 [林奈]
「調理師?」


私は思わず聞いた。

「うん。俺前からちょくちょく料理はしてて、本気でやりたいと思ったんだ」


兄のまっすぐな目は真剣だった。

⏰:07/05/10 04:49 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#360 [林奈]
私も父も祖父も驚いたけど、兄が何かをやりたいなんて初めてだから、すごい嬉しくなった。


その日の夜中、目が覚めた私は台所に水を飲みに行った。
すると、家では普段飲まない父が、酒を飲んでた。

⏰:07/05/10 04:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#361 [繭]
まゆって読むよ(≧▽≦)

また更新されてて読みいったヾ(≧∇≦)〃

⏰:07/05/10 05:22 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#362 [林奈]
まゆさんって言うんだね(^-^)/ありがとう!

⏰:07/05/11 07:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#363 [林奈]
父の背中が震えてたんだ。
近付いて父の顔を見たら泣いてた。


「お父さん?」


「起こしたか?ごめん」


「ううん。泣いてるの?」


「なんかあいつが自分から何かやりたいなんて初めてだから嬉しくてさ」


くしゃくしゃな顔して泣いてた。

⏰:07/05/11 07:32 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#364 [林奈]
「お父さん、鼻水垂れてるよ」


私は父のそんな姿が嬉しくてつい言ってしまった嫌み。
けど父は笑ってくれた。


私は今まで母に虐待され、別の父の存在、そして家族に見離され、家を出て、ろくでもない生き方してきた。


父の泣き顔を見たら後悔が心を埋めてしまってた。

⏰:07/05/11 07:40 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#365 [林奈]
「お父さんごめん」

「何でお前が謝るんだ?」


「だってこんな娘だからさ」


「何言ってるんだよ。お前は可愛い娘だわ」


照れくさそうに言う父の顔は、『本当の父』だった・・。

⏰:07/05/11 07:50 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#366 [林奈]
私が泣きそうになった。
父から聞いた本音。やっと“親子”になれた気がしたんだ。

そして父は私に聞いた。


「林奈は俺を恨んでないのか?」


「もう恨んでないから」

⏰:07/05/11 07:54 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#367 [林奈]
「ほんとにか?」


「確かに最近までは恨んでたよ。お母さんに殴られても助けてくれなかった。本当の父親がいるって分かった時も、優しい言葉が欲しかった。けどひぃばぁちゃんの事があって、分かったんだ。お父さんは私を必要としてくれてるんだって」

⏰:07/05/11 07:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#368 [林奈]
「少しずつお父さんの一面がいっぱい見れるようになって、恨めないよ」


「ごめんな」


「いいよもう」


「お母さんの事は恨んでるんだろ?」


父の率直な質問に、どう答えればいいか分からなかった。

⏰:07/05/11 08:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#369 [林奈]
「正直今も恨んでる。どんな理由にしろお父さん裏切ったし、私にも母親らしい事してくれなかった。あの人が謝ったとしても私は許さないよ」


「そうか」


また少し悲しい顔をした父。
けど自分の気持ちに嘘はない。


“一生許さない”


私は改めて思った。

⏰:07/05/11 08:42 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#370 [林奈]
父とのやり取りから一週間くらいしてから、兄が出かけると言った。
もう何年も外を出歩かなかった兄が、家を出てく姿は、何か凛とした姿だった。

調理専門学校の説明会らしい。
目がキラキラしてたんだ。

⏰:07/05/11 08:47 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#371 [林奈]
帰ってきて、夕飯の支度をしている私に駆け寄ってきた。


「なぁなぁ俺やっぱり調理師やるわ。親父に頼んでみる」


「そっかぁ。頑張りなよ?」


「おう!ありがとな。てかごめんな。俺が引きこもりの時、お前に辛い思いさせてたんだよな。ずっと謝らなきゃって思ってた」


兄の素直な気持ち。それだけで十分だって思った。

⏰:07/05/11 08:51 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#372 [林奈]
「もういいよ。お兄ちゃんが悪いわけじゃないし。それより調理師に頑張ってなってよ」


「頑張るよ」


嬉しそうに笑った兄の背中が大きく見えた。
そして同時に願ったんだ。


“今度こそは”ってね・・・。

⏰:07/05/11 08:56 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#373 [林奈]
夕飯の時に、兄は父に頼んでた。すると父は何も言わずうなずいてた。


男と男の会話なんだろう。


祖父は兄に学校のお金を出すと言った。けど兄は断っていた。

⏰:07/05/11 08:58 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#374 [林奈]
今まで迷惑かけた分、来年入るまでバイトしてお金貯めて自分で行くと言ってた。
そんな兄を見て、祖父は後から一人で言ってたな。


「頑張れよ」

って・・。

⏰:07/05/11 09:01 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#375 [林奈]
兄はすぐバイトを見つけて夢に向かって歩き始めた。


けど私は?・・・。

私にはやりたい事なんてない。
トモミやヒロコは今の仕事を好きだと言ってるのに、私にはなかった。

⏰:07/05/11 09:04 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#376 [林奈]
私はほんとに久しぶりにサオリと連絡を取ってみた。時々メールをするだけで会うことをためらってた。


サオリやマサとは生きてた世界が違ってたから、私とはもう話が合わないと思ってた。

⏰:07/05/11 09:08 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#377 [林奈]
会った時、サオリはキレイになってた。当たり前だけど、前のようなチャラチャラした感じはもうなくて、すごく落ち着いてた。


いっぱい話した。サオリの恋、今の仕事、マサの事、そして私の汚い過去も。

⏰:07/05/11 09:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#378 [林奈]
サオリは今、介護の仕事をしてた。お母さんの影響みたい。マサはバイクの専門店で働いていて、彼女と来年結婚すると言っているらしい。

そして私の過去の話を全部した。引くかもしれない。そう思ったけど、サオリなら分かってくれると思ったから。

⏰:07/05/11 09:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#379 [林奈]
サオリは泣いた。


「辛かったね」って言いながら泣いた。

そして私の目を見て言ったこと。


「林奈も介護の仕事してみたら?きっと何かを得られる。そんな辛い思いしたなら、他の人にも優しくできるよ」


私は驚いた。


“自分が介護?”

⏰:07/05/11 09:21 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#380 [林奈]
祖々母の世話はしてたけど、でも他人だと・・・。


正直、介護の仕事はえらいだけだと思ってた。他人の汚物に触ったり、私にはありえないと思った。

けどサオリはそんな仕事を“楽しい”って話してた。

⏰:07/05/11 09:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#381 [か]
>>1-200
>>201-380

⏰:07/05/11 19:35 📱:N902iX 🆔:☆☆☆


#382 [林奈]
悩んだ。でも自分にはできないって最終的に思った。
だから私は違う仕事を見つけようとした。もちろん援交なんかではなく、普通の仕事を・・・。

⏰:07/05/11 22:10 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#383 [林奈]
その事を父に相談してみた。
そしたら父は知り合いの和食屋のバイトを紹介してくれた。

“とりあえずやってみよう”


私は気軽に始めてみた。

⏰:07/05/11 22:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#384 [繭]
頑張って書いてなぁ

自分のペースで

⏰:07/05/11 22:42 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#385 []
頑張ってねえ

ちゃんと読んでますょ

⏰:07/05/12 07:58 📱:N903i 🆔:☆☆☆


#386 [林奈]
まゆさん、さんありがとうメまた少し更新します

⏰:07/05/12 10:06 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#387 [林奈]
父の昔からの知り合いと言う、亭主の、“ヨシオさん”と肝っ玉って感じの奥さんの“サトミさん”が、二人で切り盛りしてるお店。
若い学生さんや、サラリーマン達がよく通うお店らしい。


バイト初日、私は二人に挨拶した。

⏰:07/05/12 10:11 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#388 [林奈]
「初めまして。父から紹介されて来ました、林奈です。今日からよろしくお願いします」


「林奈ちゃん初めてじゃないんだよ?まだ小さい頃よく来てくれてたんだよ。覚えてないよね?」


サトミさんが昔の話をしてきたけど、全く覚えてない。


「すいません。覚えてないです」


「そりゃそうだわ」

二人は大笑い。
すごく温かい感じがした。

⏰:07/05/12 10:15 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#389 [林奈]
くしゃくしゃな笑い顔。
すごい温かい二人に安心した。


仕事を色々覚えて勤務時間は11時から17時まで。休憩にまかないをくれて、私は仕事が楽しかった。

⏰:07/05/12 10:28 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#390 [林奈]
そんな生活の中、私が出会った人。
サトミさん達の親戚の子どもの、ストリートミュージシャンの“ユウくん”当時は23歳だった。


よく家に遊びに来るうちに私と仲良くなった。

⏰:07/05/12 10:36 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#391 [林奈]
私が休憩してる時に色々歌ったりしてくれた。
気さくな感じで私はだんだん惹かれ始めた。


ユウくんと私は自然に付き合いだし、幸せだった。

⏰:07/05/12 10:39 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#392 [林奈]
バイトをしながら、東京への上京を夢見るユウくんに、一生付いていきたいって思ったんだ。
それくらい真剣だった・・。


ユウくんとの付き合いにいい気をしない父。


20歳直前、私とユウくんはある決意をしたんだ。

⏰:07/05/12 10:41 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#393 [林奈]
まだまだ幼い私は、この人ならって思った。


ユウくんから出た突然のプロポーズ。


「結婚しよか」


私はめちゃくちゃ嬉しかった。

⏰:07/05/12 10:43 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#394 [林奈]
二人で働けば何とかなるって思った。


社会をまともに知らない、たったハタチのヤツが何ができるんだ。


今ならそう言えるのに・・・。


あの頃は目先の事にいっぱいいっぱいだった。

⏰:07/05/12 11:14 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#395 [林奈]
ユウくんは父に挨拶をしたいと言い、家に来た。


ユウくんと付き合ってる事はもう何年も前から父は知ってた。


「娘さんと結婚させてください」


真剣なユウくんに父は答えた。

⏰:07/05/12 11:17 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#396 [林奈]
「結婚させるわけにはいかない」


冷静な父の返事。


「お父さん何でダメなの?私達真剣なんだよ?」


「真剣だからいかんのだわ。ストリートミュージシャンがいけないとは思わない。けど将来性があると思ってるのか?子どもが生まれたらどうする?やってけるって言い切るお前たちはまだ甘い」


私はそんな父に腹が立った。

⏰:07/05/12 11:22 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#397 [繭]
また読ませて頂きました

更新されてて嬉しかった

⏰:07/05/12 13:04 📱:P902i 🆔:☆☆☆


#398 [林奈]
「お父さんには関係ない!言わなきゃよかった!お父さん本当は私の事可愛くないから言うんでしょ?どうせ血なんて繋がってないんだし」

私はカッとなって言ってしまったんだ。

父のものすごい悲しい顔が今も目に焼き付いてる。

⏰:07/05/12 15:24 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#399 [林奈]
我に返った時は遅かった。
父は部屋を出て行ってしまったんだ。


「ごめん」の一言が言えなかった・・。

父を傷付ける言葉。私を愛してくれてるのを分かってるのに・・・。


こんな時に血の繋がりを出す私は卑怯者・・。

⏰:07/05/12 15:27 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


#400 [林奈]
すごい後悔した。


結局父の反対で結婚は見送られた。


その数日後に分かったことがある。
ユウくんは借金をしてた。それが原因で別れた。


父とあれから話をしない毎日。お互いに顔を合わせないようにしてた。

⏰:07/05/12 15:30 📱:W43CA 🆔:☆☆☆


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