もう二度と・・・

そして一週間くらい経ってから来たメール。

《久しぶりです。島田さんにどんなメールを送るか迷ってたら、こんなにも経ってました。ごめんなさい》

不器用ながらも、絵文字も顔文字もないメール。
あまりの素っ気なさに笑えた。

その日から、アキヤとのメールのやり取りが始まった。
些細な毎日の出来事や、お互いの趣味。久しぶりに味わう感覚だった・・。

そしてアキヤから誘われた映画。

ドキドキでアキヤの迎えを待ってた。

車に乗り、私は笑顔であいさつしてるのに、無愛想のアキヤ。
私も自然に会話しにくかった。

お互い無言のまま映画館に着いた。

“何かつまんない”

映画を見る前からそんな事を思った私。

当時流行ってた、感動する映画を見ようって決めた私達。
エスカレーターに乗ろうとした時、私が足を踏み外した。
その時、アキヤが私の体を支えてくれたんだ・・。

とっさの行動。

「大丈夫？ケガしてない？」

心配そうに聞いてきた。

「大丈夫。ごめんね、ありがと」

「よかった」

笑顔になったアキヤに、私はドキッとした。

さり気ない優しさ。

“男らしい人だな”

私はアキヤの隣で一人ドキドキしてしまった。

映画を見て、私は号泣。
明かりが付いた時、アキヤも泣いてた。

目が合った時、私とアキヤは爆笑。

「マスカラ落ちてるよ」

「アキヤくんこそ鼻水垂れてるよ」

「男が泣くなんて恥ずかしいな？」

照れくさそうに笑うアキヤ。

「いいじゃん。我慢してるよりいいよ」

私はアキヤに言った。

アキヤは車に乗ってから一言つぶやいた。

「大好きな人が死ぬって辛すぎるよな」

アキヤの何気ない一言で私は確信した。

“私この人の事きっと好きになる”

アキヤは見た目と違って、純粋な人だった。

ご飯を食べてる時、最初とは違った雰囲気で話せた。
無愛想だと思ってた人が、笑顔になってる姿が、こんなに嬉しいもんなんだ。
私は、何か不思議な気持ちになってたんだ・・。

家に送ってもらって、部屋に帰ってから、急に寂しくなる。

“なんだろう？”

私はこの時もうアキヤを、大切な人だと分かってたんだと思う。