もう二度と・・・

トモミは夕方帰り、父が帰ってきた。

「お父さん、ありがとう」

「え？」

「トモミから聞いたよ。私のためにトモミに電話してくれたんだね」

「うん」

私は改めて感じた。こんな私でも、真剣に受け止めてくれる人がいる。

私はその分を生きなきゃいけない。

そして父からトモミの事を聞いた。

父が電話して、今の私の事を話すと、ひたすら泣いてたそうだ。

「なぁ林奈、お前にはあんなに泣いてくれる友達がいるんだぞ。大事にしろ」

“ありがとう”

心の中で何度思っただろう・・・。

そして私に新たな出会いがあった。

アキヤの死から１ヶ月過ぎた時、家に電話が鳴った。

アキヤのお母さんからだった。

「ごめんね。あなたに会いたいって言う人がいるの」

「誰ですか？」

「アキヤのいとこ」

「アキヤのいとこがなんで私に？」

「それは本人から聞いて。今日、家に行ってもいい？」

「はい」

二人が来るまで、ソワソワしてた。

“何の用事？”

見当がつかなかったんだ。

玄関のチャイムが鳴り、アキヤのお母さんといとこがいる。家に上がってもらった。

「この子、アキヤのいとこの、“ヨウヘイ”」

「初めまして」

これがヨウヘイとの“出会い”だった。

出会いと言うより、“再会”・・・。

私は何で会いたいのか聞いた。

「俺の事覚えてないよね？」

「は？」

ない頭で色々考えてみた。

“援交相手だった？” “ナンパしてきた人？”

けどどう考えても分からない。

「ごめんなさい。分からないです」

「俺、アキヤと君の写真見て思い出したんだ。何年か前の冬、君、川に入らなかった？」

「入りました。何で知ってるの？」

「助けたのは俺だから」

ビックリした。
まさかと思った。

けどこれが現実。

ヨウヘイはあれから私が気になっていたらしい。
アキヤの彼女だと知り、またあんなバカな事をするんじゃないかと思い、お母さんに頼んだみたい。

驚く以外ない。
あの時、街頭にチラチラ見えてた横顔。

思い出した。
きちんとお礼を言えなかった・・・。

ヨウヘイは笑った。

「元気そうでよかった」

“何この人？無神経じゃない？”

そう思った時、アキヤのお母さんが口を開いた。