〇ニ番目の四季〇
最新 最初 全
#156 [ゆり]
その間にも、
あたしがヒールだから
「足痛くない?」
だの
「カバン持とうか?」
だの
気を遣ってくれた。
(さすがチャラ男…女慣れしてる。)
あたしは危険人物リストにコイツを入れた。
:06/05/30 21:57 :V703SH :vYkyxf/c
#157 [ゆり]
「ゆりちゃんさ〜アイツふったでしょ」
「アイツ?あぁ…うん」
「やっぱり先輩が好きなんだ…?」
「うん…」
「…じゃあ男避けに指輪すればいーのに」
あたしの指には今まで指輪が光った事なんてない。
:06/05/30 21:59 :V703SH :vYkyxf/c
#158 [ゆり]
「いいよ…別に」
あたしは口を閉じて俯いた。
高橋さんで頭がいっぱいになる。
別れてからも
思い出さない日はなかった。
でももうダメなんだよ。
戻れない。
好い加減大人にならなきゃ。
:06/05/30 22:01 :V703SH :vYkyxf/c
#159 [ゆり]
「ごめん、俺お節介言ったわ、ごめんね?」
隼人が心配そうに顔を覗き込む。
「あっううん!ごめん、大丈夫だよ」
あたしは笑顔で答えた。
その日は駅まで送ってもらい帰宅した。
でも隼人と話してると
少しずつだけど
高橋さんを思い出に出来てる気がした。
:06/05/30 22:03 :V703SH :vYkyxf/c
#160 [ゆり]
それからも隼人はあたしの話しを聞いてくれて、
とにかく優しかった。
(まぁどうせ下心ありだもんな…
ヤレりゃいいんだよ)
裕也との出来事であたしは冷めてた。
でも隼人は違った。
二人きりで居ても手を出してこなかった。
イメージがイメージだっただけに意外で
どんどん隼人が気になる存在になっていった。
:06/05/30 22:07 :V703SH :vYkyxf/c
#161 [ゆり]
だけどやっぱり彼はチャラ男で、
ある日の放課後
金髪ギャルと歩いてるのを目撃した。
あの時の光景はまだ目に焼き付いてる。
(はぁ〜?何やっとんの…ッ)
あたしは苛々してる自分に気付いた。
明らかに嫉妬だ。
だけどあんなチャラ男
好きになる訳ない。
自分に言い聞かせてた。
:06/05/30 22:09 :V703SH :vYkyxf/c
#162 [ゆり]
6月の半ば
雨が降る夜。
あたしは高橋さんを思い出していた。
こんな夜は特に記憶がクリアに蘇る。
まるで昨日の事みたいに。
傘を忘れたあたしは
近くの本屋の前で雨宿りをしていた。
(あーぁ…どうしよ)
迎えに来てくれる人もいないし、
家までは30分かかる。
:06/05/30 22:12 :V703SH :vYkyxf/c
#163 [ゆり]
(濡れるしかないか)
そう思って行こうとすると
見慣れたヘッドライトが見えた。
本屋の前に停まり、
助手席の窓が開いた。
「やっぱりゆりちゃんだ」
中からは懐かしい…
高橋さんの顔と声。
あたしはびっくりして声が出なかった。
:06/05/30 22:15 :V703SH :vYkyxf/c
#164 [ゆり]
「風邪ひくよ?乗って」
その声に誘導される様に
助手席のノックも忘れ
香水も香ったまま
車に乗り込んだ。
「久しぶりだね、学校帰り?」
「…あっハイそうです」
いきなりの事態にあたしは困惑していた。
「髪巻き巻きじゃん〜大人っぽくなったね」
そう言って自然に左手であたしの髪に触れる。
:06/05/30 22:28 :V703SH :vYkyxf/c
#165 [ゆり]
「エクステ付けたから…」
「そーなんだ〜高校の時はギャルって感じだったのにね(笑)」
会ってなかった時間が嘘みたいに
高橋さんとの距離が埋まる。
でも何かが違う。
そう思ったんだ。
:06/05/30 22:32 :V703SH :vYkyxf/c
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194