〇ニ番目の四季〇
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#521 [ゆり]
「もうこっから一人で帰れる…ありがとう」

隼人の背中に声をかけた。

「…うん」


そう言って
歩いて行った。


初めて突き放された感じがした。


だっていつもの隼人なら
ありえないくらい心配してくれるのに。
 

⏰:06/06/15 20:42 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#522 [ゆり]
そういえば
いつも隼人があたしを見送ってくれて

隼人の歩いてく後ろ姿って
見た事なかった。


優しさに甘え過ぎてた。

分かってたけど
優しく出来なくて
本当にごめんね。
 

⏰:06/06/15 20:44 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#523 [ゆり]
ボーッとしたまま
ホームまでの階段を下りる。


隼人
ごめん。
ごめんね。



立ったまま
何本か地下鉄を見送った。


「えッまじ!?」
声がした。

少し左に視線をズラすと
あたしの顔を覗き込む
慶太がいた。
 

⏰:06/06/15 20:49 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#524 [ゆり]
「…」

あたしはまた真っ直ぐに視線を移動した。

「無視?!笑」

「…話し掛けないで…」
泣きそうで
それしか言えなかった。


慶太は何も言わずに
手を引っ張って歩き出した。

「ちょ…やだってばぁ」

結局また泣いてしまった。
最近情緒不安定。
なんで?
どうして隼人が来ないの?
 

⏰:06/06/15 20:56 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#525 [ゆり]
振り払おうとしても
慶太は何も言わなくて

だけど後ろ姿が
少し怒ってる様に感じた。

「もーやだぁ…」

歩くスピードは上がって
よくわからないまま
違う乗り場に行って
電車に乗った。
 

⏰:06/06/15 21:00 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#526 [ゆり]
人がいっぱい乗ってたのに
あたしは下を向いて泣いてた。

慶太は手を離さなかった。

着いたらしく
また手を引かれ電車を降りた。

慶太があたしの定期を出して乗り越し精算をして
切符を渡してきた。
 

⏰:06/06/15 21:03 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#527 [ゆり]
受け取って
改札を抜けた。

外は真っ暗だった。


早足で着いた先は
慶太のアパートだった。

あたしはまだ泣いていた。
涙はいつまで出てくるんだろう。
 

⏰:06/06/15 21:09 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#528 [ゆり]
慶太は無言で鍵を開けて
手を引いて部屋に入った。

しまってないカーテンから
月明かりだけが部屋を照らしていた。


電気も付けずに
あたしをベットに押し倒した。
 

⏰:06/06/15 21:12 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#529 [ゆり]
涙は出たまま
頭もボーっとしてる。


少し息の上がったあたしの唇に

慶太の唇が触れた。

ふわふわの布団と
優しい月明かりと
慶太の熱いくらいの体温が

冷え切ったあたしに染み渡った。

 

⏰:06/06/15 21:17 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


#530 [ゆり]
慶太は身体には触れずに
指を絡ませて

唇だけを重ね続けた。

涙は止まらなかった。


こんな
あたしの弱さで
慶太も

隼人も

傷付けてるんだ。
 

⏰:06/06/15 21:22 📱:V703SH 🆔:qO6SEqHA


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