〇ニ番目の四季〇
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#546 [ゆり]
チャイムと同時に教室に入る。
隼人がいない。
なんで休みなの?って友達に聞かれるたびに
わかんないって言うのがすごく
辛かった。
机の下で携帯を開き
隼人にメールを送る。
「今日学校来ないの??」
送信。
返事はすぐに来た。
「行かない…」
:06/06/18 00:17 :V703SH :ThLyQD2Q
#547 [ゆり]
「どうして?」
「別に…でも大丈夫だから」
「今家にいるの?」
「うん家だよ」
あたしは教科書とバックを持って
席を立った。
「ゆりちゃんどーしたん?!」
「帰らなきゃ」
よく覚えてないけど
そんな事を言って教室を出た気がする。
:06/06/18 00:18 :V703SH :ThLyQD2Q
#548 [ゆり]
外は雨が振り出していた。
あたしは家を出る時に
雨が降ってなかったら
傘を持っていかない。
いつも隼人が入れてくれるから。
もう
ちゃんと天気予報チェックして
ちゃんと傘持って
家出なきゃダメ?
やだよ
めんどくさいじゃんか。
:06/06/18 00:23 :V703SH :ThLyQD2Q
#549 [ゆり]
あたしは走って駅まで向かった。
ヒールが入りそうな場所に来ると
隼人が「ハマるなよ」って言ってくれる声が
蘇った。
:06/06/18 00:26 :V703SH :ThLyQD2Q
#550 [ゆり]
ねぇ隼人
あたしは今まで生きてきて
それなりに本気の恋もしたんだけど
こんなに誰かを
必要とした事はなかった。
こんなに誰かを
失いたくないと思ったのも初めてだよ。
この気持ちに嘘はないって
きっと今なら誓える。
照れ隠しに抱きしめて
「俺も」って
もう笑ってくれないの?
:06/06/18 00:27 :V703SH :ThLyQD2Q
#551 [ゆり]
電車を降りて
隼人のマンションに着いた時には
髪から水滴が落ちてた。
髪はこんなだし
多分マスカラも落ちてる。
でも伝えなきゃ。
隼人が好きだって。
ピッ
プルルル
「…はい」
「あ、今下にいるんだけど
ちょっと会えない?」
:06/06/18 00:31 :V703SH :ThLyQD2Q
#552 [ゆり]
「…今誰もいないから
開けるで入ってきて」
「分かった」
オートロックが開いて
エレベーターに乗った。
心臓が鳴ってるのが
自分でもわかった。
ピンポーン…
ガチャ…
ドアが開いた。
隼人がいた。
:06/06/18 00:34 :V703SH :ThLyQD2Q
#553 [ゆり]
「わっお前濡れてんじゃん!
傘は?!」
手を引っ張って玄関に入れた。
隼人の手だ。
隼人の声だ。
隼人の匂いだ。
「いつも隼人が傘入れてくれるじゃん!」
いつの間にか泣いてたあたしは
叫びながら言った。
:06/06/18 00:38 :V703SH :ThLyQD2Q
#554 [ゆり]
「そーだけど…」
「隼人が来ないから濡れちゃったんじゃん!」
「わかったから…(笑」
洗面所からタオルを取ってきて
髪を拭いてくれた。
:06/06/18 00:39 :V703SH :ThLyQD2Q
#555 [ゆり]
「お前本当バカだな〜」
「学年トップだもんね」
「頭はいいけど…とにかくバカ(笑」
「うん…」
「おっ認めた(笑」
「あたしバカだったみたい」
「どーしたぁ?
ゆりらしくないじゃん(笑」
ゆりって名前呼ぶだけで
あたしの事こんな幸せに出来るなんて
隼人だけだよ。
:06/06/18 00:40 :V703SH :ThLyQD2Q
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