〇ニ番目の四季〇
最新 最初 全
#272 [ゆり]
次の瞬間
追い打ちをかける様に
ベロベロに酔った隼人が来た。
「みんな飲んでるー!?」
ビール瓶を両手に持って、
ありえんくらいのハイテンション。
周りは盛り上がってたけど
あたしはそんな隼人見たくなかった。
「ゆりちゃん!ちょー来て〜♪」
そう言うと同時に
隼人はあたしの腕を掴んで違う席に連れていった。
:06/06/02 18:44 :V703SH :Zfxg/uXs
#273 [ゆり]
その席には
一年の女の子ばっかり。
あたしは強引に隼人に肩を抱かれた。
「俺の彼女のゆりちゃんでーすッッ♪」
「いえーぃッッ♪」
「綺麗〜♪お似合い〜♪」
女の子達はきゃぁきゃぁ盛り上がる。
無理矢理席に座らされ
皆に見られて
あたしは人形か。
屈辱感でいっぱいだった。
:06/06/02 18:49 :V703SH :Zfxg/uXs
#274 [ゆり]
雰囲気だけは壊さないように
笑顔で席を立って
戻ろうとした。
裏で隼人に手を掴まれた。
「どうした?」
「何が?」
「なんか機嫌悪い?」
「別に」
実際隼人はそこまで酔ってなかった。
だからかえってムカついた。
酔ったフリしてあれだよ。
:06/06/02 18:52 :V703SH :Zfxg/uXs
#275 [ゆり]
「離して?
あたし向こうで飲むから」
「…わかった」
手の力が緩んだ瞬間
あたしは隼人から離れた。
トイレに入り
少し泣いた。
なんかよくわかんないけど
涙が出た。
:06/06/02 18:54 :V703SH :Zfxg/uXs
#276 [ゆり]
上を向いて
中指で涙を拭いて
鏡でチェックして
あたしは席に戻った。
友達は完全に潰れてて
隣に岩田くんがきた。
岩田くんは隼人の友達で、クラスメイト。
「ゆりちゃん、あいつちょっとヤバくない?」
あたしはカシスソーダを一口飲んだ。
「なんで〜?」
「やり過ぎっつーか、さっき一年の子の腰に手回してたし」
「…」
:06/06/02 19:01 :V703SH :Zfxg/uXs
#277 [ゆり]
「先輩とケー番も交換してたよ?」
「…ふ〜ん…やるね〜アイツも(笑」
何かごまかす様に
あたしは近くのグラスのお酒を飲み込んだ。
「苦いッ」
「あ〜それ俺のっすよ〜」
「あ、爽やかボーイの?いいじゃんいいじゃん!追加頼もうッ」
あたしはよくわかんないまま
夢中で違う事を考えようとしてた。
岩田くんは心配そうに
あたしを見ててくれた。
:06/06/02 19:06 :V703SH :Zfxg/uXs
#278 [ゆり]
それからあたしは
隼人の行く先も
行動も
聞こえてくる騒ぎ声も
全部見ないフリした。
午後9時。
「そろそろお開きだよ〜!!皆気をつけて帰ってね〜♪」
4年の先輩の声が響き渡る。
あたしは靴箱の鍵を手に取って
席を立った。
:06/06/02 19:10 :V703SH :Zfxg/uXs
#279 [ゆり]
「先輩!彼氏さんに飽きたら連絡下さい♪」
爽やかボーイはそう言って
アドを書いた紙をあたしに押し付け帰っていった。
「ゆ〜りチャン♪」
ご機嫌なテンションで肩を組んできた隼人。
あたしは
「酒臭い」
と一言言って手を払いのけた。
その時見たのが隼人と一年生の子のアイコンタクト。
:06/06/02 19:16 :V703SH :Zfxg/uXs
#280 [ゆり]
「彼女怒っちゃったんですかぁ?」
「なんかそうみたい」
そんなやりとりが
目だけで行われてた。
そして違う一年生の女の子軍団が
「先輩かっこい〜♪」
とかはしゃぎながら帰ってく。
それに「お疲れね〜♪」とか笑顔で手を振る隼人。
こんな気持ち
なんて言えばいいの?
:06/06/02 19:23 :V703SH :Zfxg/uXs
#281 [ゆり]
あたしは友達に笑顔でバイバイを言って
足早に店を出た。
早く誰もいない所に行きたかった。
歩きながら
涙は出てた。
(あたし涙腺緩過ぎ)
涙を拭いて
スピードを上げた。
交差点を渡ってる途中で
手を掴まれた。
:06/06/02 19:32 :V703SH :Zfxg/uXs
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194