〇ニ番目の四季〇
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#326 [ゆり]
「おまたせ」
後ろから声をかけると
隼人が焦った様に振り返る。
「あ、うん、いきなりごめんね」
「いいよ」
いつも通り歩き出す。
気まずい空気なのに
何故かすごく安心したのを今でも覚えてる。
:06/06/03 21:58 :V703SH :ip8fjOhw
#327 [ゆり]
近くのファミレスに入り
禁煙席に座った。
「吸わないの?」
「煙草吸いながらする話しじゃねーし…」
その言葉で
あたしの心臓はまた早くなった。
メニューを開き
「アイスティー」
と言うと
すかさず隼人が
「ケーキは?」
と聞く。
いつもの会話。
それがなんか嬉しかった。
:06/06/04 09:20 :V703SH :Ecxpdyi.
#328 [ゆり]
「今日はいいや」
「珍しいじゃん」
隼人が少し笑った。
少しホッとした。
アイスティーとコーラがくると沈黙。
あたしは口を開いたけど
正直何言ったか覚えてない。
頭テンパってた。
隼人は
「…謝って済む事じゃないって分かってるけど
ごめん。
あの時、俺にお前引き止める権利なんてなかった。本当ごめんな」
そう言いながら
辛そうな顔をしてた。
:06/06/04 09:23 :V703SH :Ecxpdyi.
#329 [ゆり]
「ごめんはもういいよ…」
謝られるのはあんま好きじゃない
言われる度に自分が可哀相になってくるから。
「…でも俺、本気で好きだよ。お前の事」
「…」
「だから別れたくない」
「…」
あたしは下を向いてた。
正直どうしたらいいのか分からない。
好きだけど…
信じたいけど…
でも…恐い。
:06/06/04 09:26 :V703SH :Ecxpdyi.
#330 [ゆり]
「…これ…」
そういって隼人が
何かをあたしの前に置いた。
視線を上げると
あたしが投げ捨てた
指輪があった。
「…え」
静かに手に取る。
中に記念日が彫られてるシルバーリング。
確かにあたしのだ。
「お前の指輪そんな小さいんだな」
隼人が寂しそうに笑った。
:06/06/04 09:30 :V703SH :Ecxpdyi.
#331 [ゆり]
そして迷いない
いつもの瞳で言ってくれた。
「信じれなくても…俺は好きだから
それだけは分かって。」
その時の隼人の顔を見て
声を聞いて
あたしはもう一度
この人を信じようと決めた。
:06/06/04 09:32 :V703SH :Ecxpdyi.
#332 [ゆり]
理屈じゃない
ただあたしには
隼人が必要なんだ。
信じなきゃいけないって
気持ちじゃなくて
あたし自身が信じたいって
確かに思ったから。
:06/06/04 09:35 :V703SH :Ecxpdyi.
#333 [ゆり]
「つけて」
あたしは手を差し出して言った。
「え?」
「ゆーびーわ!
買った日も隼人がつけてくれたじゃん」
「えっあぁハイ」
隼人は焦って掌から指輪を取り、
震えた指先で薬指に指輪をはめる。
:06/06/04 09:37 :V703SH :Ecxpdyi.
#334 [ゆり]
「何震えてんの?(笑)」
「あ、すいません!」
「敬語だし(笑)」
「うんごめん…ゆり…本当ごめん」
指輪の光ったあたしの手を
両手で包んだ。
温もりは本物だ。
「次はないからね」
泣きそうなのを悟られない様に
強気で言った。
:06/06/04 09:39 :V703SH :Ecxpdyi.
#335 [ゆり]
「次やらかしたら
毛全剃りにするから」
「えッ下も?!」
「当たり前だし。
むしろ下を重点的にツルッツルにするから」
アイスティー飲みながら
真顔で言うあたしに
本気で恐怖感じた顔してた。
それ見て笑った。
「大変な彼女持ったね(笑」
「いえ、最高の彼女です…」
今度は二人で笑った。
また二人で笑い合えた。
:06/06/04 09:45 :V703SH :Ecxpdyi.
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