〇ニ番目の四季〇
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#451 [ゆり]
隼人が浮気なんてする訳ない
って気持ちより
マイナスの想像が頭を支配してた。
全部見なかった事に出来たらいい
何も聞かなかった事に出来たらいいのに。
:06/06/11 22:32 :V703SH :tJhX7XgE
#452 [ゆり]
「次下りますよ」
慶太の事で顔を上げた。
手を引かれるままついて行く。
瓦屋根が多い
古きよき町並みを少し歩くと
恐ろしくボロボロのアパートの前で
慶太の足が止まった。
:06/06/11 22:34 :V703SH :tJhX7XgE
#453 [ゆり]
「ここ」
「ふーん」
「ボロ過ぎて引いた?笑」
「ううん」
ポツ…ポツ…
雨降ってきた。
「あー洗濯物やべぇ!」
あたしの手を強く引き
一階の1番奥の部屋の鍵を開けた。
てかあたし何ノコノコ男の部屋入ってんだろ…
:06/06/11 22:37 :V703SH :tJhX7XgE
#454 [ゆり]
中は意外に綺麗だった。
キョロキョロするあたしに
洗濯物を引っ張り込みながら慶太が
適当に座っててと言った。
あたしは部屋を見渡してパイプベットの前に座った。
爽やかボーイらしい
爽やかな部屋。
雨音が強くなり
ザーがドォーって音に変わった。
:06/06/11 22:39 :V703SH :tJhX7XgE
#455 [ゆり]
「すげー雨…」
慶太は洗濯物を押し入れに投げ込んで
台所からお茶を持ってきてくれた。
「ありがとー…」
「先輩暑くないですか?」
「だいじょぶです…」
「あ、座布団いりますか?」
「だいじょぶです…」
「緊張してるんすか?笑」
「してないです…」
慶太はベットの上に座った。
:06/06/11 22:40 :V703SH :tJhX7XgE
#456 [我輩は匿名である]
:06/06/12 15:47 :P902i :uxTBNr/Q
#457 [ゆり]
匿名さんありがとうございますo(^-^)o
:06/06/12 21:37 :V703SH :enZ4xznQ
#458 [ひLI]
げX02(*
´艸`)
:06/06/12 21:44 :N901iC :/cEUooT2
#459 [ゆり]
「煙草いる?」
慶太が煙草をくわえながら聞く。
「吸わないから…」
「あ、そーなんだ」
そいや新歓でも吸ってなかったねって話しになった。
「あの日ってどーなったんですか?
彼氏さんかなり盛り上がってたけど。笑」
「ん〜別に」
新歓の事はあんまり触れて欲しくない。
まだ痛い。
だけど信じたいって思ったのに。
:06/06/12 21:47 :V703SH :enZ4xznQ
#460 [ゆり]
ブーブー…
「先輩の携帯?鳴ってますよ」
「あぁうん…」
画面には着信で
隼人の名前。
あたしは携帯を閉じた。
やっぱりプライドが邪魔して
出てたまるかって感じだった。
慶太は何も言わずに
煙草を灰皿に押し付けながら口を開いた。
:06/06/12 21:49 :V703SH :enZ4xznQ
#461 [ゆり]
「彼氏さんどーせ遊び人なんでしょ?
別れればいーじゃん」
…簡単に言うな。
そんなん出来たら
とっくにしてるよ。
「あんたに言われたくない」
あたしはお茶を飲んだ。
雨音は静まらない。
慶太はベットに寝転がって
からかう様にあたしの頭をくしゃくしゃした。
:06/06/12 21:51 :V703SH :enZ4xznQ
#462 [ゆり]
可愛い女の子ならきっと
「やだぁ〜♪」とかはしゃぐんだろーけど
あたしは本気でキレる。
「ちょッぐしゃぐしゃになるだろーが!」
「アハハ顔が本気だし!」
なんかコイツ
あたしに似てる。
全部わかった様に笑うし
性悪ッ。
:06/06/12 22:06 :V703SH :enZ4xznQ
#463 [ゆり]
「慶太くんさ〜モテるからって調子乗ったらかんよ?」
髪を直しながら言う。
「だって先輩可愛いんだもん(笑」
「あ〜よく言われる」
性格悪い者同士の
どっちもどっち対決が始まって
あたしは普通に笑ってた。
さっきまで泣いてたのに
人間って不思議だ。
:06/06/12 22:07 :V703SH :enZ4xznQ
#464 [ゆり]
「先輩お昼食べてないよね?何か食う?」
笑いながら慶太が起きた。
「何か作って〜」
「いいよ〜チャーハンとかでいい?」
「うん!」
「じゃーちょい待ってて(笑」
慶太は台所に向かった。
あたしも後ろから付いてった。
:06/06/12 22:09 :V703SH :enZ4xznQ
#465 [ゆり]
「何でついてくんのよ〜」
「だって料理見るの好きなんだもん」
「じゃあ先輩が作ってよ」
「やーだよー」
慶太は笑いながら冷蔵庫を開けて
手際良くチャーハン完成。
「うまいッ!!」
本当感動した。
「よかった〜」
テレビを付けて
二人で見ながら食べた。
なんでいきなりこの子とご飯食べてんだろう、みたいな気持ちで。
:06/06/12 22:11 :V703SH :enZ4xznQ
#466 [ゆり]
「あ〜お腹いっぱい!ごちそうさま!」
「ごちそうさま〜!」
あたしは慶太と自分の食器を持って立ち上がり台所に向かった。
洗っていると急にテレビの音が消えた。
振り返ると慶太がリモコンを持ってた。
「なんで消すの〜あたしニュース聞いてたのに」
食器を拭きながら言う。
「先輩早くこっち来て」
いつもより少し低い声に驚いた。
:06/06/12 22:12 :V703SH :enZ4xznQ
#467 [ゆり]
「なに?」
食器をしまい
手を洗って慶太のところに行くと
ベットに座った慶太があたしの手を思いっきり引っ張った。
次の瞬間にはもう慶太が上にいて
両手はすごい力で押さえられてた。
:06/06/12 22:14 :V703SH :enZ4xznQ
#468 [ゆり]
時間が止まったみたいに
何秒か目が合ってた。
目が反らせないってこういう感じか。
「コラ何してんの」
自分でも謎だけど
妙に落ち着いてた。
「抵抗しないの?笑
しないならやっちゃうよ?」
目は笑ってなかった。
:06/06/12 22:16 :V703SH :enZ4xznQ
#469 [ゆり]
手を振り離そうとしても
ビクともしない。
男ってこんなに強いの?
「まじでやめて」
そう言った瞬間
セットされてたかの様に
バッグの中であたしの携帯が振動した。
:06/06/12 22:20 :V703SH :enZ4xznQ
#470 [ゆり]
ブーブー…
あたしは助かった!と思った。
「ちょ…携帯鳴っとる。出なきゃ…」
顔を背けた。
「だーめ」
慶太は静かにそう言って
あたしの首筋にキスをした。
嫌でも体が反応する。
足をバタバタさせても
慶太はやめない。
:06/06/12 22:23 :V703SH :enZ4xznQ
#471 [ゆり]
いつの間にか携帯も鳴り止んでた。
隼人だったと思うと
なんとも言えない気持ちになった。
「先輩…もう俺にしときなよ」
手が胸に触れた。
弱い首筋を舐められて
胸も触られて
感じない訳なかった。
隼人が他の女といた光景が頭をよぎると
やけになろうとする自分もいた。
:06/06/12 22:27 :V703SH :enZ4xznQ
#472 [ゆり]
部屋に上がったんだから
何かある事くらい
予想してたじゃん。
顔もいいし一回くらい
いいじゃん。
隼人だってやってるんでしょ?
でも嫌だ。
彼氏に浮気されて
他の男に付け込まれて
当て付けみたいにヤルなんて
あたしそこまで弱くないはず。
:06/06/12 22:30 :V703SH :enZ4xznQ
#473 [ゆり]
今なら戻せるものも
きっと戻せなくなる。
それくらい好い加減
身に染みて分かってるから。
:06/06/12 22:33 :V703SH :enZ4xznQ
#474 [ゆり]
「ねぇほんとにやめて」
あたしの真剣な声に
慶太が顔を上げた。
「離して」
その言葉で
強めていた手を緩め
あたしから体を離した。
あたしも体を起こした。
慶太は下を向いたまま
何もしゃべらない。
あたしも言葉が見つからなかった。
:06/06/12 22:34 :V703SH :enZ4xznQ
#475 [ゆり]
雨音だけが部屋に響いて聞こえた。
隼人と付き合った日も
隼人をもう一度信じようと決めた日も
こんな雨の日だった。
:06/06/12 22:36 :V703SH :enZ4xznQ
#476 [ゆり]
ねぇ隼人
今どこで誰といるか知らないけど
証は外してない?
あたしの指には
ちゃんと光ってるよ。
:06/06/12 22:39 :V703SH :enZ4xznQ
#477 [ゆり]
「なんで…?」
「え?」
慶太の声でハッとした。
「なんであの人なんですか?
…浮気してんのに」
「…」
隼人が誰とヤッたとか
それが嘘とか本当とか
実際もうどーでもいい。
:06/06/12 22:40 :V703SH :enZ4xznQ
#478 [ゆり]
頭では分かってるよ。
そんな男ほんとは捨てたい。
でもどうしようもない。
こんなに誰かを失いたくないなんて
初めて思ったから。
:06/06/12 22:41 :V703SH :enZ4xznQ
#479 [ゆり]
「なんでだろ…
あたしもわからん。
だから困ってる」
「困ってるんだ(笑」
慶太が優しく笑った。
「本当になんであいつなんだろうね」
溜め息混じりに言うと
「俺なら幸せにしてあげるのに」
慶太はそう呟いた。
:06/06/13 07:19 :V703SH :LVTpf/zg
#480 [ゆり]
「…」
あたしは隼人に
幸せにしてもらえる自信なんてない。
あたしが隼人を
幸せにしてあげられる自信もない。
でも未来に
二人なら幸せになれるって確信がある。
だからあたしは
隼人じゃないと
ダメなんだ。
きっと。
:06/06/13 07:22 :V703SH :LVTpf/zg
#481 [ゆり]
「あたしは今でも
じゅーぶん幸せだよ」
当たり前の幸せに慣れちゃいけない。
それは高橋さんとの恋愛で
あたしが学んだ事。
何かを貰うとか
そうゆんじゃなくて
ただ名前を呼んで貰える
あたしとの時間を過ごしてくれる
それだけで
十分。
:06/06/13 07:27 :V703SH :LVTpf/zg
#482 [ゆり]
「やっぱりあたしは
あいつじゃなきゃダメだ」
「…あっそ」
「…うわ〜ムカつく言い方」
「俺のがムカついてるし。
女なんて誰でも簡単に落ちたのに」
「そーやって女見下してるからダメなんだっつーの」
「確かに(笑」
「…あたしも部屋上がったりしてごめん」
:06/06/13 07:33 :V703SH :LVTpf/zg
#483 [ゆり]
「ほんとだよ。(笑
でもあんだけマジに拒否られたの初めてだから…
どうしたらいいかわからんくなった(笑」
「うん…ごめん」
何故か頭を下げて謝る自分。
それを見て慶太が笑った。
「なんか全然イメージと違いますね(笑」
:06/06/13 07:37 :V703SH :LVTpf/zg
#484 [あやぽん]
:06/06/13 13:44 :SH700i :hNDxLBss
#485 [我輩は匿名である]
:06/06/13 20:06 :N900iS :p2w9piNk
#486 [ゆり]
あやぽんチャンありがとうッ☆
最近試験続きなのであんまり更新できなくてごめんなさい(*´ω`*)
よかったらまた覗いて下さい☆
:06/06/14 07:24 :V703SH :uwhDiWoo
#487 [ゆり]
「イメージ?
あぁ性格男っぽいって言いたいんでしょ(笑」
「それもある(笑
なんか堅いんだなぁと思って」
「誰とでもやりそう?」
「軽そうには見えんけど…彼氏に浮気された後なら普通流されません?」
「浮気ねぇ…」
:06/06/14 07:33 :V703SH :uwhDiWoo
#488 [ゆり]
その言葉で
バックから携帯を出した。
不在着信
20件
全部隼人からだった。
「彼氏さん?」
「…え、あ…うん」
「かけ直したら?」
そう言われたけど
頭が回らなかった。
何を言えばいいの?
:06/06/14 07:41 :V703SH :uwhDiWoo
#489 [ゆり]
隼人はあの子といて
あたしはこんなとこで
男といて
何を責めれる?
何を誓える?
今更信じるとか
お互いに無理じゃん。
:06/06/14 07:43 :V703SH :uwhDiWoo
#490 [ゆり]
「…とりあえず帰ります…」
あたしはバックを持って立ち上がった。
「車出しますよ」
焦った様に慶太も立ち上がった。
またウルトラマリンの香りがして
気持ちが不安定になった。
本当は抱きしめてもらって
泣きたかった。
:06/06/14 07:48 :V703SH :uwhDiWoo
#491 [ゆり]
あたしはどこまで甘ったれなんだろう。
「大丈夫!」
急いで玄関を出た。
「…」
また慶太の家に戻りドアを開けた。
「帰り道が分かりません…」
「先輩ダサ〜(笑」
「あ?」
「車乗りたくないなら駅まで送るよ(笑」
「…すみません(笑」
:06/06/14 07:53 :V703SH :uwhDiWoo
#492 [ゆり]
慶太は笑いながら
玄関の鍵を締めた。
いつの間にか雨も止んでる。
「彼氏に会いに行くの?」
煙草を吸いながら慶太が聞いた。
どうしたらいいのかも
どうするべきかも
どうしたいかも
サッパリわからない。
:06/06/14 07:59 :V703SH :uwhDiWoo
#493 [あやぽん]
:06/06/14 08:35 :SH700i :0XRzTA.g
#494 [我輩は匿名である]
:06/06/14 10:06 :N902i :2xhUxhu.
#495 [ゆり]
「帰りながら考える…」
「そっか〜」
そう呟いて吐いた煙が
目の前に広がる。
隼人なら
「ごめんね」って言いながら
煙払ってくれるんだよ。
あたしが怒って帰るって言ったら
絶対に追い掛けてきてくれるんだよ。
それで
少し怒った声で
「一人じゃ危ないだろ」って
優しく手を握ってくれるんだよ。
隼人に会いたい。
:06/06/14 17:47 :V703SH :uwhDiWoo
#496 [ゆり]
「先輩大丈夫?」
泣きそうなのがバレてたのか
心配そうに顔を覗き込む慶太。
「大丈夫…もう帰れるから、ほんとありがとね」
あたしは軽く頭を下げて
早足で改札を通った。
一人になって
どうしようもない
不安に襲われた。
急いで携帯を出した。
:06/06/14 17:52 :V703SH :uwhDiWoo
#497 [ゆり]
隼人からの不在着信が
たくさんあった。
「隼人…」
あたしは必死でボタンを押して
隼人に電話をかけた。
プルル…
「ゆり?!」
ワンコールで出てくれた。
いつもと同じ
あたしを心配する声。
涙が溢れた。
:06/06/14 17:55 :V703SH :uwhDiWoo
#498 [ゆり]
「ぅ〜…はやと〜…」
ホームの端っこで
人目も気にせず泣いてた。
「どーした!?大丈夫か?!今どこ!?」
「わかんないよ〜!泣」
「ゆり!落ち着いて、近くになんかない?」
「電車ー!電車があるー!泣」
「駅?なんて駅?!」
:06/06/14 17:59 :V703SH :uwhDiWoo
#499 [ゆり]
あたしはキョロキョロして駅名を探し
隼人に伝えた。
「今から行くから待ってて!声かけられても付いてくなよ!」
「うっん…」
「ゆり大丈夫だから、な?」
「うん…」
携帯を閉じて
涙を拭いて
ホームの椅子に座った。
:06/06/14 18:02 :V703SH :uwhDiWoo
#500 [ゆり]
隼人はいつも
あたしの名前をたくさん呼んでくれる。
可愛いものがあったら
「ゆり、あれ可愛くない?」
って教えてくれるし
励ましてくれる時も
呆れてる時も
怒ってる時も
喜んでる時も
いつも言葉の前に
ゆりって付けてくれる。
それがいつも
とても嬉しかった。
:06/06/14 18:09 :V703SH :uwhDiWoo
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